自分が私服の保安員をやっていたのは何度も書いているが、たとえば呑み会や合コンでいちばんウケるのは、そのときのエピソードだったりする。
映画の話は「詳し過ぎるから」と、映画小僧ではないかぎり敬遠される傾向にあり、
また、エロ話は「クド過ぎるから」と、一部から疎まれる。
アルバイトいろいろ経験してきたから、ほかの職場(ラブホテルなど)における面白いエピソードも沢山持っているのだが、やっぱりいちばん欲しがるのは、犯罪が絡んだ話というわけ。
そうかもね。
みんな、ひとの不幸が好きなんだ。
もう少しいえば、悲惨過ぎない不幸が。
万引きや盗撮で捕まる連中の話というのは、みんなにとって「ちょうどいい」のだろう。
けれども視点を変えれば、そんな「ちょうどいい」感覚こそ、この犯罪が減少しない一大要因であったりするのだが。
まぁいいや。
先日の呑み会でも、保安員のエピソードを話して好評だった。
最も興味を抱いてくれた女子が、自分に「じゃあ尾行とかも得意?」と聞いてきた。
尾行ねぇ。
店内というかぎられた空間とはいえ、自分の存在を悟られないように相手を監視する―という意味では、尾行といえば尾行なのだよね。
しかし。
自信があるのは「やりそうなヤツ」と「怪しいけど、たぶんやらないヤツ」を見分けるセンス、それから、犯罪が成立した際の「自然な声のかけかた」くらいで、尾行は自信がないし、実際に得意ではなかった。
犯行現場は目撃出来たのに、退店する前に相手に気づかれたこと「何遍も」あるし。
難しい。
ひじょーに、難しい。
映画で描かれる尾行を、思いつくだけ挙げてみる。
『インファナル・アフェア』(2002)と、そのリメイク『ディパーテッド』(2006)。
『フレンチコネクション』(71)、『フォロー・ミー』(72)、
『ハンニバル』(2001)、『FOLLOWING』(98)、
変化球では『アメリ』(2001)、
日本映画では『野良犬』(49)、『天国と地獄』(63)、『眠らない街』(93)か。
テレビドラマの尾行描写は、大半が誇張されている、、、が、あれは、観るものを笑わせる狙いがあるものだから不問にする。(実際に笑えたかどうかは、べつの話ね)
けれども映画を観ていても、
近づき過ぎではないのか、
その逆に遠過ぎなのではないか、
顔に緊張感あり過ぎて、振り返られたら誤魔化しようがないんじゃないか・・・そう思うことがある。
対象とする人物にやましいところがなく、尾行なんかされるはずがない―そう思っているのであれば、そこそこ、いや、かなり近づいてもばれないだろう。
しかし、やましいことだらけの人物だった場合―それこそ万引き犯や盗撮犯がそうだ―かなり警戒するだろうから、なかなか近づけないものだと思う。
マニュアルはあってないようなもの、だが、気をつけるとすればこの「距離感」なのだろう。
人間関係もそうだが、この距離感というものが悩みの種になるわけ。
だが昔に比べたら、尾行もやり易くなっているのかもしれない。
ケータイ画面を見ているふりをして歩けば、それだけでもうカモフラージュにはなっているし。
カメラの「超」小型化も進み、尾行しながら撮影だって可能なのだから。
ありがたい世の中だが、行為としては「なんとなく」後ろ暗いところがある。
でもしょうがない、
悪いヤツが居るかぎり、尾行はなくならないだろう。
いや、悪いヤツが全滅し、捜査や捕獲のための尾行がなくなったとしても、なんの罪もない美女を尾行するヤツは居る。
ストーカーだ。
そうか。
尾行の後ろ暗い感覚とは、ストーカーを想起させるところにあるのかもしれないねぇ!
※『フレンチ・コネクション』の尾行、、、ではなく、これはもう追跡のシーンだね。
久し振りに観直してみたが、じつによく出来た快作かと。
…………………………………………
本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『無冠の帝王』
映画の話は「詳し過ぎるから」と、映画小僧ではないかぎり敬遠される傾向にあり、
また、エロ話は「クド過ぎるから」と、一部から疎まれる。
アルバイトいろいろ経験してきたから、ほかの職場(ラブホテルなど)における面白いエピソードも沢山持っているのだが、やっぱりいちばん欲しがるのは、犯罪が絡んだ話というわけ。
そうかもね。
みんな、ひとの不幸が好きなんだ。
もう少しいえば、悲惨過ぎない不幸が。
万引きや盗撮で捕まる連中の話というのは、みんなにとって「ちょうどいい」のだろう。
けれども視点を変えれば、そんな「ちょうどいい」感覚こそ、この犯罪が減少しない一大要因であったりするのだが。
まぁいいや。
先日の呑み会でも、保安員のエピソードを話して好評だった。
最も興味を抱いてくれた女子が、自分に「じゃあ尾行とかも得意?」と聞いてきた。
尾行ねぇ。
店内というかぎられた空間とはいえ、自分の存在を悟られないように相手を監視する―という意味では、尾行といえば尾行なのだよね。
しかし。
自信があるのは「やりそうなヤツ」と「怪しいけど、たぶんやらないヤツ」を見分けるセンス、それから、犯罪が成立した際の「自然な声のかけかた」くらいで、尾行は自信がないし、実際に得意ではなかった。
犯行現場は目撃出来たのに、退店する前に相手に気づかれたこと「何遍も」あるし。
難しい。
ひじょーに、難しい。
映画で描かれる尾行を、思いつくだけ挙げてみる。
『インファナル・アフェア』(2002)と、そのリメイク『ディパーテッド』(2006)。
『フレンチコネクション』(71)、『フォロー・ミー』(72)、
『ハンニバル』(2001)、『FOLLOWING』(98)、
変化球では『アメリ』(2001)、
日本映画では『野良犬』(49)、『天国と地獄』(63)、『眠らない街』(93)か。
テレビドラマの尾行描写は、大半が誇張されている、、、が、あれは、観るものを笑わせる狙いがあるものだから不問にする。(実際に笑えたかどうかは、べつの話ね)
けれども映画を観ていても、
近づき過ぎではないのか、
その逆に遠過ぎなのではないか、
顔に緊張感あり過ぎて、振り返られたら誤魔化しようがないんじゃないか・・・そう思うことがある。
対象とする人物にやましいところがなく、尾行なんかされるはずがない―そう思っているのであれば、そこそこ、いや、かなり近づいてもばれないだろう。
しかし、やましいことだらけの人物だった場合―それこそ万引き犯や盗撮犯がそうだ―かなり警戒するだろうから、なかなか近づけないものだと思う。
マニュアルはあってないようなもの、だが、気をつけるとすればこの「距離感」なのだろう。
人間関係もそうだが、この距離感というものが悩みの種になるわけ。
だが昔に比べたら、尾行もやり易くなっているのかもしれない。
ケータイ画面を見ているふりをして歩けば、それだけでもうカモフラージュにはなっているし。
カメラの「超」小型化も進み、尾行しながら撮影だって可能なのだから。
ありがたい世の中だが、行為としては「なんとなく」後ろ暗いところがある。
でもしょうがない、
悪いヤツが居るかぎり、尾行はなくならないだろう。
いや、悪いヤツが全滅し、捜査や捕獲のための尾行がなくなったとしても、なんの罪もない美女を尾行するヤツは居る。
ストーカーだ。
そうか。
尾行の後ろ暗い感覚とは、ストーカーを想起させるところにあるのかもしれないねぇ!
※『フレンチ・コネクション』の尾行、、、ではなく、これはもう追跡のシーンだね。
久し振りに観直してみたが、じつによく出来た快作かと。
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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
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明日のコラムは・・・
『無冠の帝王』