Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

初体験 リッジモント・ハイ(108)

2014-12-25 00:19:12 | コラム
クリスマスが描かれる映画でもうひとつ、大事な作品を忘れていた。

生涯のベストテンの一本に入れている、ミロシュ・フォアマン×ジャック・ニコルソンの『カッコーの巣の上で』(75)。

刑務所の強制労働がイヤで精神病を偽ったマクマーフィーが、入院した精神病院で「ひっちゃか、めっちゃか」を繰り返し、ついにはロボトミー手術で植物人間にされてしまう―という、じつにショッキングな映画だった。

シャバに戻りたくなったマクマーフィーが、病院からの「脱獄」を企てる。
しかし世間はクリスマスで浮かれている。
ここ(病院)に居続けるこいつら(患者たち)にも、少しは刺激が必要なはずだ。

脱獄前夜―。
彼は病院内に女子を連れ込み、患者たちに酒を振る舞った。

翌朝―。
鬼看護婦長が乱痴気騒ぎの「宴のあと」を目の当たりにし、怒りに震える。
ナンヤカンヤがあって、マクマーフィーは強制的に手術台に乗せられる・・・というわけ。

ロマンチックな日、、、のはずなのだけれどもね。


さて、自分の話である。

21歳のころ、バイト先の女子大生Kちゃんに恋をした。

脚美人。
アニメ声。
病弱風。

もろ自分の好みである。

けれども。
ちゃんと告白して、ちゃんと振られた。

聞けばKちゃんも、振られたばかりだという。
同じバイト先のSさんと、うまくいきそうで、いかなかったと。

じゃあ、どっちも傷心なんだねと笑い合う。
こうなると、ドラマなんかでは新しい恋が生まれたりするもの。

恋が生まれなくとも、たとえば『ディア・ハンター』(78)では・・・
帰還しない恋人(クリストファー・ウォーケン)を待つのが辛くなって、メリル・ストリープは共通の友人であるデ・ニーロに「お互い、慰め合いましょう」といってベッドに誘っている。
映画のなかのデ・ニーロは自尊心を傷つけられたような演技をしていたが、自分なら「ほい、きた!」とむしゃぶりつくところだろう。

だが現実は甘くない。
Kちゃんは、トーゼンだが「慰め合いましょう」といってくれなかった。

お前がいえって?

それはさすがにおかしいでしょう、狂っているでしょう、振られた張本人なのだから。

しかしクリスマスにひとりで居るのはさすがに寂しいから、その日の晩だけはデートみたいなことをしてみよう―ということになった。

デートの場所は、自分が住む町田のオンボロアパート。
なんとか出来そうだが、そうはさせまい! とする雰囲気が強く、これは無理だなぁと最初の10分であきらめた。

うん、なにもしてませんよ。
訂正、手だけつなぎました。

純よのぉ、自分にもそんな時代があったんだよ。


さて、そんな日になにを喰ったかという話である。

チキン?

ちがう。

ピザ?

ちがう。

ケーキ?

ちがう。


炊き込みご飯、だったのである。
Kちゃん手作り? の。


自分のリクエストではない。
白米推しだし。
炊き込みや、まぜご飯の類は「あんまり…」だし。
好きなのは唯一、わかめご飯くらいだし。

それでも、3合の炊き込みご飯はその晩で完食した。

エラソーにいうが、そこそこ美味かったから。


「ねぇ、なんでこれにしたの? チキンとかじゃなくて」
「クリスマスから、かけ離れたものを食べたかったんだもん」


なるほどなぁ。
傷心娘、いじましいじゃないかと。

というわけで、ふたりがどうこうしたとかいう展開は、ぜんっぜんなかった。

現実は、こんなものということで。


おわり。


※映画『ラブ・アクチュアリー』より、無言の告白シーン




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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

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明日のコラムは・・・

『ツキと6ペンス』

コメント (4)
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