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にっぽん男優列伝(273)萩原健一

2015-04-07 05:59:54 | コラム
50年7月26日生まれ、64歳。
埼玉出身。

公式サイト

キレたら危ないよ―と思わせるところが魅力となっているショーケンこと萩原健一(はぎわら・けんいち)さんが、映画俳優として最も輝いていた時代は自分が生まれた74年で、代表作はなんといっても『青春の蹉跌』です。

ロマンポルノで名を馳せた神代辰巳が、一般映画に初進出した作品。
脚本に長谷川和彦、共演は桃井かおり。

かつて学生運動に身を投じた主人公の焦燥―石川達三による原作小説も名著ですが、認知度では映画のほうが上といっても否定するひとは少ないと思います。

この映画のことをこよなく愛する先輩が居まして、このひとの口癖が「俺の人生は『青春の蹉跌』で狂わされた」。

分からないでもないです、この感覚。
自分が「『タクシードライバー』とさえ出会わなかったら、マトモな人生送ってた」なんていうのと一緒だと思うんです。

説明するのも野暮だとは思いますが、対象とする作品への愛―が、そういわせているわけで。


『傷だらけの天使』(74~75、日本テレビ)のオープニング映像も観たことがありますし、



マカロニ刑事も再放送で触れたことはありますけれど、

自分の世代にとってショーケンさんは、
黒澤との意外な組み合わせが新鮮だった『影武者』(80)の武田勝頼であったり、
ジイサンたちが頑張るアクション『いつかギラギラする日』(92)であったりします。

ですから、テレビドラマの俳優とか、歌手であるとか、そういうイメージは、あんまりないのですよね。




<経歴>

元嫁は、いしだあゆみ。
現在の奥さんは、モデルの冨田リカ。

高校在学中にスカウトをされ、バンド「ザ・テンプターズ」のヴォーカリストとして芸能界デビューを果たす。
まだ16歳でしたが、このころすでにショーケンと呼ばれていたそうです。
(ショーケンのショーは、大中小の小から)

「ザ・テンプターズ」解散後に井上堯之や沢田研二、岸部一徳らとPYGを結成。
しかし本人は音楽活動よりも映画活動、しかも演出をやりたかったようで、72年に音楽活動を休止します。

映画俳優デビュー作は、ヴォーカリストとして出演した『ザ・テンプターズ 涙のあとに微笑みを』(69)ですが、
「演ずる」という意味では、72年の『約束』でしょう。
当初は助監督として参加していましたが、主演俳優が降板したための代役でした。

この演技が高く評価され、オファーが立て続けに舞い込む。

『虹をわたって』(72)や市川崑の『股旅』(73)、『化石の森』(73)のような映画作品に出演しつつ、
マカロニ刑事を演じた『太陽にほえろ!』(72~86、日本テレビ)、
前述した『傷だらけの天使』、『前略おふくろ様』(75~76、日本テレビ)などのテレビシリーズも好評を博して人気者に。

『青春の蹉跌』、『雨のアムステルダム』(75)、『鴎よ、きらめく海を見たか めぐり逢い』(75)、『八つ墓村』(77)、『その後の仁義なき戦い』(79)、前述した『影武者』、
『誘拐報道』(82)、再び神代辰巳と組んだ『もどり川』(83)・・・

と、順調にキャリアを築いていましたが、83年に大麻不法所持で逮捕されて活動停止状態に。

復帰して以降もオファーは絶えなかった―というのは、ショーケンさんが信頼されているということだと思います、
鈴木清順と組んだ『カポネ大いに泣く』(85)、
神代辰巳による『恋文』(85)と『離婚しない女』(86)、
『南へ走れ、海の道を!』(86)、『夜汽車』(87)、『竜馬を斬った男』(87)、『226』(89)、『裏切りの明日』(90)、『渋滞』(91)、
深作欣二のエネルギッシュな『いつかギラギラする日』などの話題作に出演。

このころの映画はすべてリアルタイムで触れていますが、なかでも94年の『居酒屋ゆうれい』は傑作だと思います。

軽妙洒脱といえばいいのか、良質なコメディとして完成されていますね。
山口智子もかわいいし。

『ダブルス』(2001)、『月の砂漠』(2001)、『ザ・ゴールデン・カップス ワンモアタイム』(2004)。

2004年―。
交通事故を起こし、業務上過失致傷罪で現行犯逮捕される。
同年にはスタッフやキャストに暴言を繰り返したとして降板し話題になった『透光の樹』のギャラ問題が発生、製作側から恐喝未遂容疑で告訴されてしまいます。
(懲役1年6ヶ月、執行猶予3年)

以降、映画への関わりが途絶えていましたが、2009年の『TAJOMARU』で復帰。

映画の出来は「しょーもない」感じ、でもショーケンさんは未だギラギラしている感じで、やっぱり自分は好きだなぁ! と、あらためて思いましたよ。

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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

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明日のコラムは・・・

3連続でいきます、
『にっぽん男優列伝(274)萩原流行』
コメント (3)
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