Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

ヒールのメンタリティ

2015-10-18 05:34:45 | コラム
ボクサーの亀田興毅が引退を発表した。

柄にもなく、ひっそりと。

彼のキャラクター性を考えると、本意ではないだろう。
TBSの力を借りて、派手に引退したかったはず。

でも、それは出来なかった。
きのうの河野戦で敗戦をすると、「勝っても負けても引退するつもりやった。悔いはあらへん」といって控え室に消えたという。

好きか嫌いかでいえば、もちろん? 嫌いなファイターだった。

デビューして1~2年であったなら許せたかもしれない、
しかしチャンプとなって以降も、挑戦者に対して「メンチ切り」をするというガキみたいなパフォーマンスが腹立たしかった。

昭和の香りがしたのである。
いじめっこにしか見えなかったのである。

そもそもが誤解を受け易いスポーツ、
その誤解を「広げる」役目を、チャンプが担ってどうする。

ボクサーとしては、センスがあったほうだと思う。
少なくとも次男よりは。
三男が「最終兵器」「いちばん強い」とされているが、いいや、たぶん長男がいちばんだろう。

だから思うんだ、もったいない、あぁもったいないなぁ、、、と。


格闘技はヒールが必要とされる特殊な世界ではある。
あるが、彼はヒールになれなかった。
単なるキラワレモノでしかなかった。

秋山成勲を見てみるがいい。

このひとも「もちろん」嫌いだが、強靭なメンタリティだけは尊敬に値する。

あの年の大晦日、人気者の桜庭を相手にして全身にクリームを塗りたくり、寝技に持ち込まれないようにした。

最初はしらを切り、隠し通せない時点になって「乾燥肌なもんで…」とイイワケをした。

しかしその数年前にダウンタウンのバラエティ番組において「柔道選手だったころ、相手に道着を取られないよう、柔軟剤を大量に塗りたくった」と発言しており、常習犯であったことが発覚してしまう。

正直にいって。
桜庭は奇跡を起こすひとだけれど、ふつうに戦っていれば秋山が勝ったはず。

だから多くのひとは、なぜあんな真似を・・・と頭を抱えながら年越しを迎えた。

謹慎処分が解け、秋山はリングに戻ってきた。

ブーイングを受けながらも勝ちつづけ、主戦場を日本から米国のオクタゴン(八角形のマット)に移す。

応援は出来ないが、頑張っているなぁと思う。

いっぽうでバラエティ番組に出演する。
みのもんたよりも、松崎しげるよりも黒くなって。
次長課長の河本と同様に、その言動を観ても素直には笑えないが、たいしたもんだと思う。

図太さ、、、といったらいいのだろうか。

そのあたりが、興毅にはなかった。

どん! と構えたところがないというか。
虚勢を張っているようにしか見えなかったのだ。

彼のそうしたファイター人生を「父親の影響」と見る向きは多いだろう。
自分もそう思うが、用なしとして切り捨てたTBSにも罪があるはずで。

そこそこの視聴率を取って、そこそこの金が動いたわけでしょう。
最後まで面倒を見てやるのが筋だと思うけどね。

TBSに「まごころ」があったとしたら引退特番でも組んでやるはずだが、たぶん無視を決め込むだろうね。

あれに似ている、レッドフォードが演出した『クイズ・ショウ』(94)に。

興毅がジョン・タトゥーロで、井岡がレイフ・ファインズというわけ。

だからせめて、格闘技ファンだけはファイターとしての亀田興毅を正当に評価してあげたい。

少なくとも、内藤さんと戦った試合は面白かったよと。


おつかれさん。

嫌いだけど、おつかれさん! くらいはいってあげよう。

嫌いだけど笑笑




 
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明日のコラムは・・・

『初体験 リッジモント・ハイ(148)』
コメント (2)
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