Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

初体験 リッジモント・ハイ(147)

2015-10-07 06:07:19 | コラム
小学生のころ、家庭科の授業で、何組かに分かれてケーキを作った。

チームの女子曰く「まっき~にも食べさせてあげるから、手を出さないでね♪」

なかなかに残酷なことばだが、「♪」と表記したとおり、突き放すようないいかたではなかった。

だから自分は、「うん、分かった♪」と返して、黙って調理の過程を見学していた。

独り暮らしを始めて間もないころ、カレーを作ろうと鍋にサラダ油を入れた・・・らば、鍋底に小さい穴が開いていて引火、あっという間に台所の天井が真っ黒になった。

そんなこんな経験を繰り返し、料理に対する恐怖心だけが肥大していった。

自分は「女子は○○」「男子は○○」といった意識は「あまり」ないはずだが、料理に関しては上記のようなエピソードが山ほどあるため、台所イコール女子が理想だな、、、と思ってしまうところがある。

その昔、漫画家の小林よしのりが「男の手料理、女のカップ麺」どっちがそそるのか―という面白いテーマで漫画を描いたことがあり、よしりんは後者を選んでいたが、自分も同意するぜよ! と。


さて。
自分が、初めて「愛する女子のために」ケーキを作った話。

ネットで、「ホットケーキミックスで作る、ガトーショコラ」のレシピを発見した。

なんか簡単そうなので、自分でも出来るかもしれない、、、と思ってしまった。

「しまった」と書いたとおり、出来るわけがないのに「出来るかもしれない」と思わせるほど、そのレシピの表現が上手だったのだろう。

だって、工程の1番目「卵黄と卵白に分ける」という意味が分からなかったのだもの!!

知っているひとにとっては・・・というか、料理しないひとでも知っていることなのかもしれないが、自分は知らなかった。

だから、身体が固まってしまったんだ。

なんだそれ、卵黄と卵白に分けるって?
分けかた、書いてくれていないし!
書かなくとも分かるっしょ? というのは不親切過ぎやしないか?
まほう、でも使えというのか??

知り合いの女子に電話をして、やりかたを聞く。
彼女は笑いながら教えてくれたが、ヤレヤレ・・・と思っていたにちがいない。

レシピどおりに作れば2時間も要さないらしいが、結局、5時間くらいかかった。

分かったことはひとつだけ。
腕力さえあればいい? メレンゲだけは、うまく作れるぞ・・・ということ。



味見をしてみると・・・

うん、まあまあいける。
三流四流のコンビニ? で売っているケーキくらいの味。

よかったよかった、これならヒトサマに召し上がってもらえるだろう、練習おわり!

そうこれは、あくまでも練習で、本番はあしたなのだった。
金と時間は要するが、だから繰り返すように、ぶっつけ本番でケーキ作れるようなセンスはないんだっての!!

翌日―。

10秒くらいで卵黄と卵白を分けられるようになったので笑、時間は大幅に短縮されて3時間くらいで完成した。

それを丁寧に箱詰めして包装し、自転車でゆっくり運ぶ。

町田の端から、八王子の端まで。
ふつうに漕げば90分くらい、でもケーキを崩さないように運転しようとすると、その倍くらいはかかるかな・・・とか思いながら運転していたら、ちょうど真ん中あたりでパンクした。

真夜中、である。
つまり、チャリ屋は開いていない。

彼女の誕生日、その早朝に届けたかったからね。

仕方なく、自転車を押して歩く。

でも気持ちは晴れやかなものである、好いている女子に会いにいくわけだから。

5時間15分後―やっとのことで、彼女のアパート前に。

早朝の予定が昼前に変わってしまったが、原チャリがあるので彼女は在宅だろう・・・と思っていると、玄関が開いた。

彼女は、男と一緒だった。

知っているヤツである。
というか、職場が一緒だった。


・・・・・。


アパートの向こうに自転車を停め、玄関のほうに近づいていこうとしたとき―だったので、ふたりには気づかれていない。

どこに出かけていくのだろう、ご飯かな。

自分は、駅のほうに並んで歩くふたりを見届けてから、彼女の部屋のドアノブにケーキの箱を引っかけ、再び自転車を押して帰ったのである。


切ない、ねぇ。

青春、だねぇ。


おわり。


※そのころに、繰り返して聴いていた曲




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明日のコラムは・・・

『Calendar Girl』
コメント (3)
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