Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

た・い・か・ん ~15年度映画ベスト20(中)~

2015-12-03 05:42:18 | コラム
【2015総括シリーズ その拾弐】

きょうは、本年度の劇場公開作ベスト10位~5位の発表。

そして、きのう書いたことを若干訂正します。
3日間で展開―ではなく、4日間で展開、、、に。

書きたいことが多過ぎて!!笑


では、いってみよう。


※14年12月~15年11月に劇場公開された映画から選出


10位『ルック・オブ・サイレンス』

50年ほど前に起こったインドネシアの大虐殺を、生き残った加害者に「再現」させるという暴挙に出た衝撃のドキュメンタリー『アクト・オブ・キリング』(2012)を反転? させた仰天の姉妹篇。

本作でクローズアップされるのは、被害者。
虐殺によって兄を殺された「のちに」生まれた弟は、スタッフ陣の力を借りて「かつての加害者」と対峙することを決意するが・・・。

正義と悪がごちゃ混ぜになり、思考停止になること必至。
しかしこれが、21世紀の進化したドキュメンタリーのありかただと思った。

09位『薄氷の殺人』

映画的な、あまりに映画的な…。

ベルリン映画祭、グランプリ(金熊賞)と主演男優賞(銀熊賞)のダブル受賞を果たした現代中国映画の傑作。



99年と2004年―加害者が同一人物であると予想されるバラバラ殺人事件が起きる。
いずれの被害者も、疑惑を向けられている女ウーと関係を持っていたことが明らかになり、刑事を辞したジャンは独自の調査を開始しウーに近づいていくのだが・・・。

光と影。
省略。
映像で物語ることを最優先させた絵創り。

そのすべてが映画的で、創り手たちの「映画を創るんだ!」という気迫がこれほど伝わってくる作品も珍しい。

館内に明かりが戻ったあと「映画を観たなぁ」という感慨に浸り、たとえ劇場がガラガラであっても幸福な気持ちに満たされたのであった。

08位『マップ・トゥ・ザ・スターズ』

創作の場を「ひたすらカナダ」に置くクローネンバーグだからこそ描けた、夢の街ハリウッドの闇。

落ち目の女優ハヴァナが個人秘書として雇ったのは、顔に火傷の痕が残るアガサという少女だった。
おとなしく従順で、仕事もきっちりこなす彼女だったが、ハヴァナの叱責によって「本性」が姿を現して・・・。

グロテスクな人間模様の活写はクローネンバーグの得意とするところだが、この映画は、なにはなくともジュリアン・ムーアだろう。

おそらくハリウッドセレブにおいて「初めて放屁を披露したひと」であり、その女優魂に感服した。

オスカーは、こっちの演技で取ってほしかった―というのが本音である。




07位『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』

元売れっ子、いまはどん底―にある中年俳優が、再起を賭けてブロードウェイの舞台に立とうとするが・・・。

近年のオスカー受賞作では最も地味であり、一般的な映画ファンの食指は動かないかもしれないが、
映画「通」や「狂」を自称する向き―つまり、自分みたいなヤツ―は、これを観ていないと恥ずかしいとされる―そんな、本年度のオスカー作品賞受賞作。(そもそもマイケル・キートンという地味で器用な俳優を、若い映画ファンは知らない!!)

ワンシーンワンカット(の、ようにみせる)流麗で計算され尽くしたカメラワーク、
マイケル・キートンの悲哀、
自由過ぎるエドワード・ノートンに可憐なエマ・ストーン。

ミッキー・ロークがかつての輝きを取り戻した『レスラー』を、「より深刻で、より滑稽に」紡いでみせた物語、、、といえるかもしれない。

06位『幕が上がる』

アイドルを起用して、アイドル映画を超える。

高校の「弱小」演劇部の面々が、演ずることの幸福に気づき、演劇の全国大会を目指す姿を活写する。

どうにも好きになれなかった『踊る~』シリーズの本広克行監督が、キャリアで最高の演出力を発揮して「ほぼ」満点。
平田オリザによる脚本の力が大きいとはいえ、これは立派な仕事をしたと思う。

ももクロちゃんたちの演技はけっして上手とはいえないが、それをフレッシュさで補って及第点。



アイドル映画と侮るべからず。
表現したいことがあるものは、彼女たちの青春に涙することだろう。

05位『海街diary』…トップ画像

家族を捨てた父が、のこしてくれた家族―吉田秋生の人気漫画を、「ハズレ知らず」の是枝裕和が丁寧に繊細に映像化。

鎌倉の古い家に住む三姉妹と、そこで一緒に住むことになった腹違いの妹の物語。

映像美と、その空気感に尽きる映画・・・なのだが、なによりも感動的なのは、前作『そして父になる』で福山雅治を起用しスマッシュヒットを飛ばした是枝監督が、その成功で自身の気質? に気づき、今作では自覚的に確信的に「スターを主演に置くメジャー映画」へとシフトチェンジを図ったこと。

これって、じつはすごく勇気の要ることだと思う。
商業性を「徹底的に」無視したキャリアを築いてきた、そんな映画監督にとっては。

綾瀬はるか×長澤まさみ×夏帆×広瀬すず、といった人気女優のそれぞれの魅力をきちんと捉え、メジャーへの第一歩は「完璧に成功している」といえるのではないだろうか。

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明日のコラムは・・・

『た・い・か・ん ~15年度映画ベスト20(後)~』
コメント (1)
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