Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

本気の呪文

2015-12-11 14:39:06 | コラム
エロイムエッサイム、我は求め訴えたり―。

漫画『悪魔くん』より。

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小学校3年生くらいだったと記憶する。

日曜日の19時ころ、クラスメイトのHくんと遊んでいると「ぜひ手伝ってほしいことがあるから、学校の校庭に忍び込もう」と誘われた。

日曜は18時で校門が閉まるが、面白そうなので快諾。
しかし誘った当人が浮かないというか、なんとなく暗い顔をしている。

過ぎてから合点がいくのだが、このときHくんは極度の緊張状態にあった。
夜の学校に忍び込むから、、、ではない、そこで「あること」をおこなうからである。

19時30分―。

校門の柵は低いので、簡単に学校に侵入出来た。

Hくんは懐中電灯を自分に持たせ、下を照らしてくれと頼む。
そのとおりにしていると、彼はどこかから「ちょうどいい感じの」枝を拾ってきて、地面になにかを描き出した。

大きな円。
そのなかに、さらに円。
また、円。
そして、なんらかの字。

「まっき~、『悪魔くん』知ってるよね」
「うん、好き」
「あの呪文を、一緒に唱えよう」
「エロイムエッサイム…を?」
「(笑顔)そう」
「なんのために?」
「Wくんが嫌いだから、呪い殺そうと思って」
「!!」

絵としては、こんな感じ。



引いたよね、さすがの自分も。

でもHくんは、どこまでも本気である。

これをやって実際に死ぬとは思わないが、やったらやったで気分が悪い。
悪いが、やらないとHくんとの友情にヒビが入ってしまう。

自分は仕方なく、Hくんと呪文を唱えたさ。


エロイムエッサイム、我は求め訴えたり
エロイムエッサイム、我は求め訴えたり
エロイムエッサイム、我は求め訴えたり
エロイムエッサイム、我は求め訴えたり
エロイムエッサイム、我は求め訴えたり
エロイムエッサイム、我は求め訴えたり
エロイムエッサイム、我は求め訴えたり
エロイムエッサイム、我は求め訴えたり
エロイムエッサイム、我は求め訴えたり
エロイムエッサイム、我は求め訴えたり


唱え終わると、Hくんはいつもと同じ感じになった。
このとき、あぁ緊張していたんだなと理解したのである。

そして、当然のことだが・・・
標的となったWくんは、翌日も翌々日も、翌月も翌年もピンピンしていたのであった。

分かっていたものの、安心したっけなぁ。


意味や行為や感情などは置いておいたとして・・・

ルサンチマンとか、呪詛とか、ことばの響き「それ自体は」素敵だなぁと思っている。

もう、その響きだけでひとを慄かせることが出来るというか、
これがネガティブの威力であり、
ポジティブなことばには、そういう破壊性はないものね。


映画の世界で呪いといえば貞子ちゃんあたりが有名なのだろうが、
自分のなかでは、いつまで経ってもキャリー・ホワイトの呪いのインパクトには敵わない。

シシー・スペイセクの迫真の演技といい、



デ・パルマの神がかった演出とカメラワークといい、

後付けとしては、キングの処女小説というところもいいし、

モデルのクロエ・セビニーがパロディにしちゃうのも分かる、、、というものである。




※現代アニメ版は、ひじょうにソフトタッチです




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明日のコラムは・・・

『初体験 リッジモント・ハイ(154)』
コメント (3)
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