Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

どこでだって、スイカは割れる

2016-02-11 00:10:00 | コラム
少し前のコラムで、自分はほとんどラブホテルは使わない、自宅派だ―と記した。

ただ、ユーザー? の半分くらいは「好きで行っているわけではない、事情があって」そうしている、、、のだと思う。

実家暮らしの若者だとか。
不倫であるとか。

どちらにせよ、ラブホテルは隙間産業みたいなものであり、なんとなく「後ろ暗い」ひとたちによって支えられている。

だからであろうか、とくに昭和の時代だが、ラブホテルと犯罪はワンセットにして語られることが多かった。

心中とか。
実際にラブホテルで射殺されたAV女優も居た。

まず、駐車場の「あの、びらびら」がそのイメージを増幅させていた。



地方では健在のようだが、平成に入ってから「びらびら」は減少している。
もう少し健全な、ちょっといい過ぎかもしれないけれど、スパ的な環境作りに励んでいるように見える。


「ほぼ使わない」といった自分だが、清掃員として4箇所のラブホテルでアルバイトを経験してきた。
きょうは、そのときのエピソードのひとつを記したい。

最初に働いたのが、24歳の夏。
町田市のラブホテルだったが、この年の秋ごろに、立川市でとんでもない事故が発生している。

強烈な出来事だったので、覚えているひとも居るのではないかしら。

出来たばかりの洒落たラブホテル、ここで一晩に3人の男が「別々に」首を吊ったのである。

3人は同級生。
そして、成功者だった。
しかし、それぞれの事業はバブル崩壊後に立ち行かなくなり、自死を選んだ。

3人はそれぞれの部屋にチェックインし、30分後、リーダーの泊まる部屋に集合する。
350mlの缶ビールとつまみで乾杯し、60分後に解散。

その数時間後、全員が息を引き取ったと。

3人も気の毒だが、最も悲惨なのはその日の清掃員である。

連絡が取れないからと合鍵を使って部屋に入ると、首を吊っている。
ひとりで充分にショッキングなのに、これが3度もつづく。

日給がソープ嬢以上だったとしても、やっていられないだろう。
(実際は、時給930円くらいだし!!)

連絡が取れない。
だとか、
清掃に入ったら、布団が盛り上がっている。
だとか。
そういうときのドキドキ感といったら、ない。

『スタンド・バイ・ミー』(86)の彼らは死体を見るために旅に出たが、死体なんか見ないほうがいいに決まっている。

とくに、刺されたりして苦しんだ死体なんて!!


さて。
そんなアレヤコレヤをインプットしている自分のようなヤツだからこそ、余計にビビッたというエピソードを。

自分の担当は、主に深夜。
深夜はフロントひとり、ルーム清掃ひとりで展開されている。

205号室のお客さんが退室したので、掃除道具を持って部屋に入る。

玄関を開けると・・・

そこには、生首が転がっていた。
大理石の床には、鮮血が飛び散っている。

ほんとうに、そう見えたのである。

あぁ、やっちまった。

いや、べつに自分は、なんにもやっちまってはいないが。

ジョン・マクレーンより不運なヤツだと嘆く。

とうとう死体を見てしまった、きょうで退職かな・・・と、いろいろ考えながら、一息ついて室内に入っていく。


もうタイトルでオチを明かしているので、察しはついたろう。

生首に見えたのはスイカだった。

どんなヤツかは分からないが、あいつらは室内でスイカ割りに興じたのである。

鮮血に見えたのは、飛び散ったスイカの実ね。


部屋の清掃は、基本、ひとりでも30分程度で終わる。
キレイに使ってくれた部屋であれば、風呂を洗ってベッドメイキングして、20分程度。

しかしこの部屋は、90分くらいを要した。

当たり前だ、バカヤロウ。

スイカは出窓まで飛び散っていたのだから。

まぁどれだけ汚くても鮮血でなかったのが、救いといえば救いなのだけれども。。。


※この業界の経験者であれば、嘘を描いていないことは分かる映画でした




…………………………………………

明日のコラムは・・・

『初体験 リッジモント・ハイ(160)』
コメント (1)
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