Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

映画小僧による、小説10傑

2016-02-05 00:10:00 | コラム
再び、映画小僧による「他ジャンル10傑」シリーズを。

なにも考えずに始めたのだが、意外と好評(ほんとう?)なので、このまま続けていこうと思う。

きょうは、小説。

「本好き」ではあるが、「活字中毒」というほどでもない。
ただ映画の世界、しかも「脚本」「批評」を志している以上、先人が著したものを読むのは「義務」みたいなものだろう。

だから、同世代のなかでは「読んでいるほう」だとは思う。


いろんなアルバイトを経験してきたが、どの職場でも「ひとりは居る」のが、音楽を志す男子女子だった。

次いで、舞台俳優。
さらに、ボクサー。
なかにはオペラ歌手の修行中・・・なんてひとも居たが、モノカキ修行中というひとには、なかなか出会わない。

短期もあわせると40ちかいアルバイトのなかで、モノカキ修行(僧)は2人しか居なかった。

自分は大小様々な文学賞の受賞結果すべてをチェックすることを習慣にしているが、それは、ひょっとしたら彼・彼女の名前が載っているかもしれない、、、と思っているから。

残念ながら、受賞結果の名前を見て歓喜したことはない。

あいつは、なにをやっているのかしら。

・・・って、向こうは向こうで、シナリオコンクールの結果を見て「あいつ、なにやってんのかな」と思っているのかもしれないが。。。


以下の10傑は、自分が25歳までに読んだ小説である。
そう限定したわけではなく、25歳以降に読んだもののなかで、これを超えるものがなかった―だけのことである。


(1)『それから』(夏目漱石)

終生の愛読書。

教科書に載っている『こころ』より、こっちのほうが真に迫っている・・・と思う本読みは多いとされている。

「食うために」働かなければならなくなった代助が、家を飛び出していくラスト数十行―自分は初めて、「文章を読んで鳥肌を立てた」。

(2)『山月記』(中島敦)



見るからに天才。

(短編に漢詩を組み込んでいるからか)全文が教科書に載っているが、一文字も無駄のない作品なので、じっくりじっくり味わいながら読みたい。

(3)『家畜人ヤプー』(沼正三)

世紀の変態小説。

ヘンタイではなく、変態。



変態過ぎて、読み手の想像力がついていかないのだ。

(4)『悲しみよこんにちは』(フランソワーズ・サガン)

冒頭の一文に尽きる。

この冒頭に惚れ込み、知り合いのA子はフランスまで行ったそうである。

(5)『壁』(安部公房)

不条理小説の最高峰。

高校生のころ、1ヶ月ごとに作家を変えて代表作を読んでいく・・・というような読書スタイルを敢行、この月は悪夢ばかり見ていた気がする笑

(6)『大いなる助走』(筒井康隆)

文学賞そのものを皮肉って、痛快。

なんらかのコンクールに出品したことあるひとは、ぜひ読んでみて。



(7)『沈黙』(遠藤周作)

スコセッシの映画化の話を聞かなければ、ひょっとしたら読んでいなかったかもしれない。

あらためて、自分の基準は映画にあるのだなぁ! と思った。

(8)『百年の孤独』(ガルシア・マルケス)

21歳のころ、『ヤプー』を読んでいたら、先輩から「じゃあ、これも読んでみて」とプレゼントされて読んだ小説。

そのときは、息子さんが映画監督になるなんて想像もしてなかった。

(9)『杜子春』(芥川龍之介)



すべての短編を読んだが、これがいちばん完成度が高いと思う。

アニメーションにしても、成功するのではないかしら。

(10)『山の音』(川端康成)

『雪国』でも『伊豆の踊り子』でもなく、自分はこれを選ぶ。

なんてことない物語ではあるのだが、ひじょうに味わい深いから。


※漱石と映像は相性が悪いが、これは奇跡的にうまくいっている




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明日のコラムは・・・

『映画小僧による、漫画10傑』
コメント (1)
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