Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

初体験 リッジモント・ハイ(163)

2016-02-25 00:10:00 | コラム
あれほど、あれほど好きなのに。
初めてケンタッキーフライドチキンを食べた日のことを、覚えていない。

ぜんっぜん、覚えていない。

吉野家の牛丼を食べた日のことは、よく覚えているけれど。

これまた、上京後のことである。
群馬の館林に住んでいたから・・・というのは、もはや常套句のようだな。

それもあるけど、たぶんガキのころは内向的で友達も少なかったから、外食の機会が少なかっただけかもしれない。

初めて吉牛を食べたのは、18歳の夏だった。
先輩が車を購入し、初めてのドライブに連れて行ってくれた帰りに寄った。
店を出た直後に車が事故ったから、よく覚えているんだな笑笑

食べかたを知らないので、先輩が箸を取るまで手をつけなかった。
あー、なるほど、卵に醤油たらしてぶっかけるのか・・・なんつって。
(トップ画像は、星野源と夏帆の好演が光る映画『箱入り息子の恋』(2013)より)


『芋粥』の主人公っぽく「マック喰いてぇー! 吐くほど喰いてぇー!!」と思うようになったのは、高校1年生のころだった。

アクティブなガキなら、思ったその日に電車に乗って―というところが、片田舎っぽいが―前橋あたりに出て、すぐに夢を実現させることだろう。
そのくらい簡単な夢、、、だったということ。

しかし暗いガキだったから誘う相手も居ないし、だからといってひとりで行動する勇気もない。
(勇気要るか? ファストフードに行くのに)

いつしか東京に出ることはマックに行くことと同意となり、早く高校を卒業したいなぁと強く思うようになっていく。

東京イコール、なんでもある。 という認識だったから。

上京する前日―。
宮崎爺の『魔女の宅急便』(89)を鑑賞し、キキと自分を重ね合わせて涙した。

3月12日、午前11時―。
とーちゃんとかーちゃんに見送られ、館林をあとにする。

その180分後には、調布駅の南口に居た。

目指すはアパートを用意してくれている朝日新聞の専売所・・・ではなくって、マクドナルドの調布駅南口店。

この数ヵ月後―。

朝刊配達中に酔った男に絡まれて抵抗することも出来なかった

それを掃除中のきゃわいいアルバイト女子に目撃されて恥をかく

身体を鍛え始める

・・・というエピソードが起こるのだが、それはまたべつの話である。


「店内で食事」といい、注文したのは以下のメニュー。

ビッグマック 2個
てりやきマックバーガー 2個
フィレオフィッシュ 2個
チキンナゲット 10個入り
フライドポテト L2個
ベーコンポテトパイ 2個
ファンタオレンジ L

阿呆かってね。

『芋粥』の主人公「よりは」頑張ったつもりだが、フィレオフィッシュを1個だけ残したので「持ち帰り」に。

美味かったかって?

まぁ不味くはなかったが、東京の地に立った緊張と、夢を実現させたことで胸がいっぱいになってしまい、正直、美味いとも思えなかった。

期待値の高さと実際のそれとの差異は、大抵がそんなもの―この真理を、上京直後に学んだ自分なのである。


おわり。




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明日のコラムは・・・

『畳とアスファルト』
コメント (1)
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