Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

初体験 リッジモント・ハイ(161)

2016-02-13 00:10:00 | コラム
いかつい刑事たちが犯人の泊まる部屋に突入する準備を始めた―というエピソードの、つづき。

深夜の3時だが、無関係な7組のカップルに危険が及んではいけない・・・ということで、彼ら彼女らを帰すことになった。
各部屋にフロントのおばさんが連絡を入れてくれたが、1組を除いて応答なし。

そりゃそうだ、深夜なんだもの。
ここは眠らない街とはちがう、「ド」田舎の町田市だから。

ドアベルを鳴らす。

・・・・・・・・・・。

応答なし。

再び、鳴らす。

・・・・・・・・・・。

応答なし。

ヤケクソになって、しかし遠慮がちに連打する。

やっと出てきたと思ったら「なにそれ? 犯罪者が泊まってる? それはそっちの都合でしょ。こんな時間に客出すの?」と突っかかってくる。

いや、このひとは悪くない。
実際、自分がその立場だったとしても理解など示さず、不機嫌になると思うもの。

「宿泊費やお食事代などは、返金しますので―」
「当然でしょ、というか、それに色つけてもらわないと」
「色?」
「迷惑料」
「・・・・・」

こんなやりとりが、7回もつづく。

以前、フロントから「ひとりで泣いている女の客が居る。彼氏が約束の時間になっても来ないんだって。ねぇ牧野くん、相手してあげて」と頼まれたことがあった。

相手?

ナニを、ナニするわけ?

「ちがうわよ! 話を聞いてあげるだけ」

それで3時間くらい部屋に入って酒を呑んだ―あのときもシンドイものがあったが、今回はその比ではない。


早朝5時―。

ナントカカントカして、7組のカップルを退出させた。

「2度と来ねぇよ!」と、その場でメンバーズカードを折り曲げた常連さんも居た。
犯人は捕まったとして、責任取ってくれるのだろうか。

5時20分―。

刑事たち、突入。

男は熟睡していたため、暴れることなく捕捉された。
女は優しい感じの若い刑事に支えられながらパトカーに乗ったが、その頬には涙がつたっていた。


「危ないから」と、刑事は突入現場に近づくことを許さなかった。

だから、なかがどういう状態だったのかを知らない。

しかし、とりあえずは一件落着である。
こんな現場を「体感」出来ることなど滅多にないであろうから、気持ちが高ぶっていた。


10分後―。

男と女と刑事たちが去った302号室に入る。

ベッドが乱れていた。
テーブルには食べ残した寿司と、注射器。
ジョッキに残された、ビール。

女のその後を思うと「ちょっとだけ」切なくもなるが、自分はなぜか苦笑しながら、掃除を始めた。

ゴミをかたし、シーツを取り替え、ベッドメイキング。
風呂を洗っていたときに、4~5人の男たちが部屋に入ってきた。

彼らを見て、ハッとした。

「ハッ」ではないな、「あぁ!!」か。

これほどまでに映画が好きで、そういうシーンを何度も観てきたにも関わらず、、、である。

そう、男たちは鑑識のチームだった。

ゴミをかたしてはいけない。
指紋が取れなくなるので、雑巾がけもしてはいけない。

これじゃあ、自分の指紋ばっかり検出されちゃうじゃないか!!!


呆れるように自分を見る鑑識チーム。

どうもすいません!! としかいえないバカチンなのだった―。


おわり。





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明日のコラムは・・・

『風呂は正方形』
コメント (1)
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