~オリバー・ストーンのキャリア10傑~
かつて「70年代症候群」と呼ばれていた社会派の監督も、現在は「あの時代」に固執することなく「いま」を描くことも多くなった。
とはいえ国家を見つめる鋭い視線に変化はなく、そういう意味では「政治家に向いている」といった淀川センセーの評はまちがっていなかったのかもしれない。
ただこのひとは商人としての才能も持ち合わせていて、政治的メッセージを「商品にパッケージングさせてしまう器用さ」がセンセーに嫌われた要因だったと思われる。
でも、自分は大好き―とくに90年代前半までの、尖った感じが。
親日家であり、一部では大のソープランド好きが知られているが、
映画小僧として強調しておきたいのは、映画監督をやる前に、脚本家としてもきちんと結果を残しているところ。
『ミッドナイト・エクスプレス』(78)や『コナン・ザ・グレート』(82)、『スカーフェイス』(83)だって手がけているんだぜぃ!!
(1)『JFK』(91)
映画として、ほぼ完璧だと思う。
ミスターXがいうとおり、「真相はもっと深く、そして、もっと醜い」のだ。
(2)『プラトーン』(86)
ほとんどのひとが、この映画でストーンの名前を知ったことだろう。
バーンズを父、エリアスを母と見立てた構成も素晴らしかった。
(3)『Uターン』(97)
意外と知られていない小品だが、「偶然通りかかった街で災難」系の映画としては最高の部類に入る。
ショーン・ペンも、かなりノッている。
(4)『トーク・レディオ』(88)
ラジオDJの視点を通して、メディア論から社会論・政治論まで展開。
そう、ストーンはたしかに「つめこみ過ぎ」の傾向にはある。
(5)『ウォール街』(88)
経済音痴の自分でも充分に楽しめる、金融エンターテインメント。
(6)『ナチュラル・ボーン・キラーズ』(94)
QTの脚本が、なぜかストーンのもとに。
QTは出来に満足していないというが、ちょっと待て映画小僧さんよ、あなたがストーンの作家性や体質を知らなかったとは思えない。
この件に関しては、ストーンを支持する自分なのだった。
映画そのものは、テーマはともかく、映像センスは抜群。
(7)『7月4日に生まれて』(89)
トム・クルーズ、汚れ役に開眼。
忘れがちだが、ロバート・リチャードソンによるカメラが素晴らしい。
(8)『ニクソン』(95)
淀川センセーが初めて褒めたストーンの映画。
ケネディと自分を比較し、いじけてばかりいるニクソンをアンソニー・ホプキンスが好演。
(9)『ワールド・トレード・センター』(2006)
ストーンが描く9.11は、意外や意外、ミニマルなものだった。
港湾警察官を主人公にしているところはよかったが、正直もう少し突っ込んで描いてほしかった。
(10)『ドアーズ』(91)
ジム・モリソンと「あの時代」を、「ラリった」感じの映像で捉える。
映画としては少し物足りなさもあるが、ストーンが捧げる「あの時代」への恋文なのだろう。
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『御意見番』
かつて「70年代症候群」と呼ばれていた社会派の監督も、現在は「あの時代」に固執することなく「いま」を描くことも多くなった。
とはいえ国家を見つめる鋭い視線に変化はなく、そういう意味では「政治家に向いている」といった淀川センセーの評はまちがっていなかったのかもしれない。
ただこのひとは商人としての才能も持ち合わせていて、政治的メッセージを「商品にパッケージングさせてしまう器用さ」がセンセーに嫌われた要因だったと思われる。
でも、自分は大好き―とくに90年代前半までの、尖った感じが。
親日家であり、一部では大のソープランド好きが知られているが、
映画小僧として強調しておきたいのは、映画監督をやる前に、脚本家としてもきちんと結果を残しているところ。
『ミッドナイト・エクスプレス』(78)や『コナン・ザ・グレート』(82)、『スカーフェイス』(83)だって手がけているんだぜぃ!!
(1)『JFK』(91)
映画として、ほぼ完璧だと思う。
ミスターXがいうとおり、「真相はもっと深く、そして、もっと醜い」のだ。
(2)『プラトーン』(86)
ほとんどのひとが、この映画でストーンの名前を知ったことだろう。
バーンズを父、エリアスを母と見立てた構成も素晴らしかった。
(3)『Uターン』(97)
意外と知られていない小品だが、「偶然通りかかった街で災難」系の映画としては最高の部類に入る。
ショーン・ペンも、かなりノッている。
(4)『トーク・レディオ』(88)
ラジオDJの視点を通して、メディア論から社会論・政治論まで展開。
そう、ストーンはたしかに「つめこみ過ぎ」の傾向にはある。
(5)『ウォール街』(88)
経済音痴の自分でも充分に楽しめる、金融エンターテインメント。
(6)『ナチュラル・ボーン・キラーズ』(94)
QTの脚本が、なぜかストーンのもとに。
QTは出来に満足していないというが、ちょっと待て映画小僧さんよ、あなたがストーンの作家性や体質を知らなかったとは思えない。
この件に関しては、ストーンを支持する自分なのだった。
映画そのものは、テーマはともかく、映像センスは抜群。
(7)『7月4日に生まれて』(89)
トム・クルーズ、汚れ役に開眼。
忘れがちだが、ロバート・リチャードソンによるカメラが素晴らしい。
(8)『ニクソン』(95)
淀川センセーが初めて褒めたストーンの映画。
ケネディと自分を比較し、いじけてばかりいるニクソンをアンソニー・ホプキンスが好演。
(9)『ワールド・トレード・センター』(2006)
ストーンが描く9.11は、意外や意外、ミニマルなものだった。
港湾警察官を主人公にしているところはよかったが、正直もう少し突っ込んで描いてほしかった。
(10)『ドアーズ』(91)
ジム・モリソンと「あの時代」を、「ラリった」感じの映像で捉える。
映画としては少し物足りなさもあるが、ストーンが捧げる「あの時代」への恋文なのだろう。
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明日のコラムは・・・
『御意見番』