~ブライアン・デ・パルマのキャリア10傑~
親友スコセッシより2つばかり年上の77歳、それでも元気で助平でありつづけるデ・パルマ御大。
今でこそ大作も手がけ巨匠のように捉えられているけれど、
本人がヒッチコック好きを公言することを憚らず、また、自作にヒッチコック的な要素を取り入れ過ぎたために、80年代までは「モノマネ監督に過ぎぬ」なんて悪口をいうひとも居た。
たしかにヒッチコックを真似たところは「多々ある」が、性根が「よい意味で」映画的に腐っているため、じつは似ても似つかない。
ヒッチコックがどれほど残酷な演出をしようとも、そこには「なんとなく、品。」があった。
翻ってデ・パルマは、ごくありふれたシーンを演出したとしても「なんとなく、下品。」なのだった。
これぞ真骨頂、
じつをいえば自分は、ヒッチコックよりもデ・パルマを敬愛している。
クソッタレでも映画を撮っていいんだよ。
いやクソッタレだからこそ、映画を撮るほかないだろう。
そんなことを教えてくれたひとだから。
(1)『キャリー』(76)
いじめられっこの聖典ともいえる傑作ホラー。
この映画を父親に薦めたのだが、返ってきたことばは「すべてが狂ってる。病んでいる。お父さんには、分からない世界だ」
うん、そのとおりかもしれない。
(2)『悪魔のシスター』(73)
シャム双生児の姉妹を題材とした、キワモノ・サスペンス。
現代では創れないかもしれないが、悪趣味が徹底していて、やけに面白い。
(3)『殺しのドレス』(80)
性病に罹った男、性的にフラストレーションを感じている中年女性、性倒錯者の医師。
あるドラマで精神科医が「すべての悩みはセックスに通ずるものですよ」と発したが、それを地でいく物語。
(4)『ミッドナイトクロス』(81)
録音技師を主人公とした、映画好きにはたまらないサスペンス。
トラボルタが、なかなかよい味を出している。
(5)『スカーフェイス』(83)
アル・パチーノのハイテンション演技と、エネルギッシュな演出。
脚本がオリバー・ストーンであることにも注目しよう。
(6)『アンタッチャブル』(87)
極論をいえば、初のメジャー作品、、、かもしれない。
大スターを前にしても「スタイルを変えなかった」ところが頼もしい。
(7)『カリートの道』(93)
『スカーフェイス』コンビが撮ったとは思えない、落ち着いた創り。
しかし、ケレンも忘れはしないぜ。
(8)『ファントム・オブ・パラダイス』(74)
哀しくて、美しくて、破廉恥で。
ロックオペラという新ジャンルを生み出した、この時代のデ・パルマ以外には撮ることが出来なかった怪作。
(9)『ボディ・ダブル』(84)
この映画がいちばん「ヒッチコック愛」が強いと思われるが、元になった『裏窓』(54)や『めまい』(58)と比較してほしい、やっぱり、ぜんぜんちがうでしょう。
ジェームズ・スチュアートが帰宅しても、嫁が別の男の上にまたがっていた・・・なんていう展開はありえないもの笑
(10)『パッション』(2012)
性悪女の騙し合いを、ときどき二分割の画面で―って、やっていることが70年代と変わらない。
そのことがうれしいので、細かい穴なんか気にしない気にしない。
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『DNA』
親友スコセッシより2つばかり年上の77歳、それでも元気で助平でありつづけるデ・パルマ御大。
今でこそ大作も手がけ巨匠のように捉えられているけれど、
本人がヒッチコック好きを公言することを憚らず、また、自作にヒッチコック的な要素を取り入れ過ぎたために、80年代までは「モノマネ監督に過ぎぬ」なんて悪口をいうひとも居た。
たしかにヒッチコックを真似たところは「多々ある」が、性根が「よい意味で」映画的に腐っているため、じつは似ても似つかない。
ヒッチコックがどれほど残酷な演出をしようとも、そこには「なんとなく、品。」があった。
翻ってデ・パルマは、ごくありふれたシーンを演出したとしても「なんとなく、下品。」なのだった。
これぞ真骨頂、
じつをいえば自分は、ヒッチコックよりもデ・パルマを敬愛している。
クソッタレでも映画を撮っていいんだよ。
いやクソッタレだからこそ、映画を撮るほかないだろう。
そんなことを教えてくれたひとだから。
(1)『キャリー』(76)
いじめられっこの聖典ともいえる傑作ホラー。
この映画を父親に薦めたのだが、返ってきたことばは「すべてが狂ってる。病んでいる。お父さんには、分からない世界だ」
うん、そのとおりかもしれない。
(2)『悪魔のシスター』(73)
シャム双生児の姉妹を題材とした、キワモノ・サスペンス。
現代では創れないかもしれないが、悪趣味が徹底していて、やけに面白い。
(3)『殺しのドレス』(80)
性病に罹った男、性的にフラストレーションを感じている中年女性、性倒錯者の医師。
あるドラマで精神科医が「すべての悩みはセックスに通ずるものですよ」と発したが、それを地でいく物語。
(4)『ミッドナイトクロス』(81)
録音技師を主人公とした、映画好きにはたまらないサスペンス。
トラボルタが、なかなかよい味を出している。
(5)『スカーフェイス』(83)
アル・パチーノのハイテンション演技と、エネルギッシュな演出。
脚本がオリバー・ストーンであることにも注目しよう。
(6)『アンタッチャブル』(87)
極論をいえば、初のメジャー作品、、、かもしれない。
大スターを前にしても「スタイルを変えなかった」ところが頼もしい。
(7)『カリートの道』(93)
『スカーフェイス』コンビが撮ったとは思えない、落ち着いた創り。
しかし、ケレンも忘れはしないぜ。
(8)『ファントム・オブ・パラダイス』(74)
哀しくて、美しくて、破廉恥で。
ロックオペラという新ジャンルを生み出した、この時代のデ・パルマ以外には撮ることが出来なかった怪作。
(9)『ボディ・ダブル』(84)
この映画がいちばん「ヒッチコック愛」が強いと思われるが、元になった『裏窓』(54)や『めまい』(58)と比較してほしい、やっぱり、ぜんぜんちがうでしょう。
ジェームズ・スチュアートが帰宅しても、嫁が別の男の上にまたがっていた・・・なんていう展開はありえないもの笑
(10)『パッション』(2012)
性悪女の騙し合いを、ときどき二分割の画面で―って、やっていることが70年代と変わらない。
そのことがうれしいので、細かい穴なんか気にしない気にしない。
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明日のコラムは・・・
『DNA』