Cape Fear、in JAPAN

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映画監督別10傑(33)ウォン・カーワァイ

2018-11-05 00:10:00 | コラム
~ウォン・カーワァイのキャリア10傑~

「QT」タランティーノの出現に沸き、これからは米国産インディーズが映画界を引っ張んでいくんだ―そんな潮流が出来かかっていた90年代の初頭、香港からとんでもない才能が出現した。

映画小僧たちは慄き歓喜し、そのフレッシュな才能を歓迎する。


QTが健在であることを思えば、最近のウォン・カーワァイ(王家衛)に元気がないことは解せない。

思うように映画を撮らせてもらえない環境が原因なのか、あるいは本人のモチベーションの問題なのか。

どちらにせよ映画界にとっては一大事であり、早く元気なころのカーワァイに戻ってほしい。


(1)『花様年華』(2000)

姦通、いわゆる「よろめき」モノの傑作。

別れる日を「予行演習」する場面が、とっても切ない。


小説では『それから』、映画では『ピアノ・レッスン』(93)とこの映画だけおさえておけばいい。

(2)『ブエノスアイレス』(97)

姦通のつぎは、同性愛の世界を。

ただカーワァイが素晴らしいのは、男ふたりの関係性を、異性愛者と変わらぬ描写でみせていくところだろう。

この映画を観て、イグアスの滝に行きたくなった。



(3)『恋する惑星』(94)

スクリーンに映るものすべてがきらきらと輝く、カーワァイ最初のヒット作。



(4)『欲望の翼』(90)

「脚のない鳥は飛びつづけ、疲れたら風のなかで眠り、生涯でいちどだけ地上に降りる。それが最後のとき」

これを、カーワァイの最高傑作とするファン多し。

(5)『天使の涙』(95)

一躍「ときのひと」になったカーワァイが「やや狙い過ぎて」撮った感のある、若者の群像劇。

いちばんの見どころは、クリストファー・ドイルによる映像美かもしれない。



(6)『いますぐ抱きしめたい』(88)

監督処女作。

いわゆる「カーワァイ・スタイル」が未完の状態で撮られてはいるが、そこかしこにその萌芽「らしき、もの。」を見ることが出来て面白い。

(7)『2046』(2004)

『花様年華』の続編として制作、トニー・レオンやチャン・ツィイー、フェイ・ウォン、コン・リー、そして日本からはキムタクが参加したオールスター映画。

しかし出演するはずだったレスリー・チャンの自死などトラブルが続出、完成までに5年以上を要し、物語は大きく変更されたと思われる。



(8)『楽園の瑕』(94)

武俠小説『射鵰英雄伝』から材を取った時代劇・・・のはずなのだが、大胆なカメラワークと編集により、ある意味で究極的なSFにもみえる不思議な映画。

武術指導は、サモ・ハン・キンポーが担当。

(9)『マイ・ブルーベリー・ナイツ』(2007)

歌手、ノラ・ジョーンズをヒロインに起用した映像詩。

映像と音楽に関しては満点だが、やや食い足りないところも。

(10)『グランド・マスター』(2013)

武術家・葉問の伝記映画。

カーワァイの最新作といえば(プロデュースは多々あるが)実質的にはこれになる、つまり5年も監督作が撮られていない―というのは、やっぱり悲しいよね。

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明日のコラムは・・・

『特上と上と並』
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