~チャン・イーモウのキャリア10傑~
最近バースデーをむかえた67歳、
チャン・イーモウ(=張芸謀)はデビュー時から短髪で無骨なイメージ、こんな洒落っ気のないひとと美人女優コン・リーが付き合っていいのか―なんてなことを思ったりもしたのだが、ふたりの蜜月に生まれた映画たちはどれも新鮮な驚きに満ち満ちていて、関係が解消されタッグを組まなくなった途端に「もったいない…」と落胆したものだ。
やっぱり受け手は、自分勝手だよね。
大作主義を否定する気はないけれど、ときどきでもいいから、脳天に杭を打ち込むようなインディーズ魂全開の映画を創ってほしい。
そう願う自分が10傑を選出すると、どうしたってキャリア初期のものが上位を占めてしまうわけでして。。。
(1)『紅夢』(91)
「紅」三部作の二作目。
富豪の第四夫人として嫁いだ19歳のヒロインの悲劇を、「紅」を基調とした映像で表現した。
(2)『秋菊の物語』(92)
夫が村長とのトラブルで股間を蹴られ怪我をした。
身重の妻・秋菊は謝罪を求めるが、村長は謝らない。
彼女の訴えは郡の役場から県の役所へ、そして市役所にまで・・・ことが次第に大きくなっていくさまをコミカルかつ風刺的に描き、イーモウにとってもリーにとっても新境地を開くことになった快作。
(3)『上海ルージュ』(95)
召使いの少年の視点から、ヤクザの情婦・チンパオの哀しき性を描く。
イーモウ本人は失敗作だと発言したようだが、コン・リーの艶っぽさを堪能出来るので自分は好き。
(4)『紅いコーリャン』(87)
初監督作。
嫁ぐ途中で強盗に襲われるチウアルと、彼女を助けたユイチャンアオの物語。
全世界の映画小僧に衝撃を与えたという点では、QT以上だったかもしれない。
(5)『菊豆』(90)
落下していく染物の迫力―物語は忘れても、この強烈な映像はいつまでも覚えている。
(6)『初恋のきた道』(99)
コン・リーとのコンビ解消後、イーモウが発掘したのはチャン・ツィイーだった。
ツィイーの健気さにやられはするが、
おばあちゃんの家に『タイタニック』のポスターが貼ってあるところ、意図は分からんでもないけれど、センスないなぁと思ってしまった。
(7)『活きる』(94)
コン・リーが文革の波にのまれながらも生き抜こうとする強い母親を演じた力作だが、どういうわけか日本公開が8年も遅れてしまった不遇の作品。
(8)『HERO』(2002)
秦の始皇帝暗殺を企てる刺客たち、それに立ち向かったひとりの男の物語。
豪華俳優陣を起用、CGもふんだんに盛り込み、「目には楽しい」映画だった。
(9)『あの子を探して』(99)
ヴェネチア映画祭、金獅子賞受賞作。
『秋菊の物語』で取り入れたリアリズム手法を「さらに極端に」した演出で、感心した。
(10)『単騎、千里を走る。 』(2005)
主演は高倉健、疎遠になった息子との関係を改善すべく、単身中国へ渡る物静かなお父さんの話。
イーモウが健さんを好き過ぎて、ときどきバランス感覚を失ってはいるが、まあまあ泣かせる。
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『にっぽん女優列伝(86)香里奈』
最近バースデーをむかえた67歳、
チャン・イーモウ(=張芸謀)はデビュー時から短髪で無骨なイメージ、こんな洒落っ気のないひとと美人女優コン・リーが付き合っていいのか―なんてなことを思ったりもしたのだが、ふたりの蜜月に生まれた映画たちはどれも新鮮な驚きに満ち満ちていて、関係が解消されタッグを組まなくなった途端に「もったいない…」と落胆したものだ。
やっぱり受け手は、自分勝手だよね。
大作主義を否定する気はないけれど、ときどきでもいいから、脳天に杭を打ち込むようなインディーズ魂全開の映画を創ってほしい。
そう願う自分が10傑を選出すると、どうしたってキャリア初期のものが上位を占めてしまうわけでして。。。
(1)『紅夢』(91)
「紅」三部作の二作目。
富豪の第四夫人として嫁いだ19歳のヒロインの悲劇を、「紅」を基調とした映像で表現した。
(2)『秋菊の物語』(92)
夫が村長とのトラブルで股間を蹴られ怪我をした。
身重の妻・秋菊は謝罪を求めるが、村長は謝らない。
彼女の訴えは郡の役場から県の役所へ、そして市役所にまで・・・ことが次第に大きくなっていくさまをコミカルかつ風刺的に描き、イーモウにとってもリーにとっても新境地を開くことになった快作。
(3)『上海ルージュ』(95)
召使いの少年の視点から、ヤクザの情婦・チンパオの哀しき性を描く。
イーモウ本人は失敗作だと発言したようだが、コン・リーの艶っぽさを堪能出来るので自分は好き。
(4)『紅いコーリャン』(87)
初監督作。
嫁ぐ途中で強盗に襲われるチウアルと、彼女を助けたユイチャンアオの物語。
全世界の映画小僧に衝撃を与えたという点では、QT以上だったかもしれない。
(5)『菊豆』(90)
落下していく染物の迫力―物語は忘れても、この強烈な映像はいつまでも覚えている。
(6)『初恋のきた道』(99)
コン・リーとのコンビ解消後、イーモウが発掘したのはチャン・ツィイーだった。
ツィイーの健気さにやられはするが、
おばあちゃんの家に『タイタニック』のポスターが貼ってあるところ、意図は分からんでもないけれど、センスないなぁと思ってしまった。
(7)『活きる』(94)
コン・リーが文革の波にのまれながらも生き抜こうとする強い母親を演じた力作だが、どういうわけか日本公開が8年も遅れてしまった不遇の作品。
(8)『HERO』(2002)
秦の始皇帝暗殺を企てる刺客たち、それに立ち向かったひとりの男の物語。
豪華俳優陣を起用、CGもふんだんに盛り込み、「目には楽しい」映画だった。
(9)『あの子を探して』(99)
ヴェネチア映画祭、金獅子賞受賞作。
『秋菊の物語』で取り入れたリアリズム手法を「さらに極端に」した演出で、感心した。
(10)『単騎、千里を走る。 』(2005)
主演は高倉健、疎遠になった息子との関係を改善すべく、単身中国へ渡る物静かなお父さんの話。
イーモウが健さんを好き過ぎて、ときどきバランス感覚を失ってはいるが、まあまあ泣かせる。
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明日のコラムは・・・
『にっぽん女優列伝(86)香里奈』