Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(271)

2018-11-28 00:10:00 | コラム
みら「い」→「い」んらん

淫乱を英語でいうと「lewdness」、でもなんだかピンとこない。

ビッチ(bitch)のほうが適切だと思うのだけれど、これだと「尻軽女」「あばずれ女」になり、つまりは女性限定になってしまう。


しかしだね。
じつに奇妙なことに、淫乱って男に対してはいわない。

辞書には「色欲をほしいままにしてみだらなこと。また、そのさま」とあるだけで、「女性限定」などと記されていない。
いないにも関わらず、「淫乱男」みたいな表現をするひとは居ない。

男が「あのコとやりたい」といっても単に笑い話で済むのに、
女が「あのひととやりたい」というと周囲は引くでしょう、「あいつはヤリマンだヘンタイだ淫乱だ」と蔑まれる。

この差は、なんなのか―というところにまで迫った映画が、ヴァーホーベンの『エル ELLE』(2016)だった。




なにを行儀よくしてんのさ?

素直にリビドーと向き合いましょう! っていう映画。

じつに清々しかったし、ほかの男はどうだか知らんが、自分は性的にかなり積極的な女子が好きなので、女ばかりが淫乱だとかいわれる世の中はまちがっていると思う。


以下、映画のなかの淫乱キャラクター5選。

ちなみにエルは、すでに殿堂入りを果たしているのさ!!


(1)『誘う女』(95・トップ画像)

スザーンは、歩く性感帯。

自分の魅力を完全に理解しており、自己演出も完璧だった。

そんな素敵なビッチを活き活きと演じ、ニコール・キッドマンにとって初めての当たり役となった。

(2)『ランブリング・ローズ』(91)

性欲過多のヒロインをローラ・ダーンがナチュラルに演じた。

「病気ではなく個性のひとつ」だと解釈する周囲のひとびとが素晴らしい。




(3)『氷の微笑』(92)

シャロン・ストーンだと思うでしょう?

間違いではないけれど、彼女に触発されたマイケル・ダグラスだって淫乱というわけです。

(4)『KIDS』(95)

エイズに罹ってしまったヒロインが「そのときの相手」を探すために街を徘徊する。
やっと出会えた彼は、というと超のつく自分勝手な淫乱だった。

脚本ハーモニー・コリン、制作ガス・ヴァン・サント、監督ラリー・クラーク、主演クロエ・セヴィニーという超エッジなメンバーが創り上げた青春劇は、公開当時に大きな反響を呼んだ。

(5)『殺しのドレス』(80)

欲求不満の女に性病持ちの男、歪んだ性癖を持つ精神医に娼婦。

出てくるキャラクターが「全員、性的にどうかしている」感じが面白い。


あすのしりとりは・・・
いん「らん」→「らん」どりー。

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明日のコラムは・・・

『シネマしりとり「薀蓄篇」(272)』
コメント (1)
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