Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(270)

2018-11-12 00:10:00 | コラム
う「み」→「み」らい

トマス・モアのことば「ユートピア」(utopia=理想郷)の反対語は、「ディストピア」(dystopia)。

ユートピアと真反対の世界観。
つまり未来は明るいものではなく、ひたすら暗いものにちがいない、、、という考えかた。

映画と相性がいいのはディストピアのほう―といい切れないのだろうが、こっちの物語のほうが「より多く」創られているのは事実。

映画にかぎらないよね、小説でも漫画でも同じこと。

想像力を掻き立て、不安を煽り、観客になんらかの問題提起を植えつけることが出来るから。


すべてがハッピー♪ なだけでは、物語の紡ぎようもないし。

だから未来を描いた映画を選出するとなると、以下のように「ディストピア感、濃厚。」なものが大半を占めることになる。


(1)『ブレードランナー』(82)

酸性雨とネオンと。

血の通っていないはずのレイチェル(ショーン・ヤング)が、次第に体温を宿すかのように「変化する」展開に息を呑む。


※このバージョン、悪くない




(2)『マイノリティ・リポート』(2002…トップ画像)

預言者(?)の力を借りて、犯罪を未然に防ぐ世界。

死してなお映画化作品がつづくフィリップ・K・ディックって、ある意味でスティーブン・キングより偉大だ。

(3)『2001年宇宙の旅』(68)

「未来を描く」という観点で捉えると、このあたりに落ち着く・・・とはいえ、特撮技術の見事さは50年前の映画であることを忘れさせてくれる。

(4)『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』(89)



この世界に現実が追いつくことは出来なかったけれど、いやいや、この世界を超えるものも出来てるというオドロキ。

(5)『猿の惑星』(68)

たったワンショットで悲劇的な未来を描いてしまった、ディストピア映画の頂点。

(6)『未来世紀ブラジル』(85)

夢のなかに幸福を求めるヒトの姿というものが、哀しくていとおしい。

(7)『ガタカ』(97)

遺伝子操作が当たり前になった世の中、自然妊娠で生まれたものは「不適正者」と呼ばれるようになる。

派手な描写があるわけではないが、薄ら寒い世界をクールに描き、カルト的人気を誇る傑作SF。



(8)『A.I.』(2001)

未来造形よりも目を引くのは、スピルバーグのサディズムが炸裂するロボット解体ショーだろう。

キューブリックが描いたとしても、ここまでやらなかったと思われる。

(9)『12モンキーズ』(95)

タイムスリップという展開を除けば、けっこう現実味のある物語なのではないか。



(10)『メトロポリス』(27)

真のクラシックは、まったく古びない。

SFの先駆者たちが予想した未来は、やはりディストピアなのだね。


※著作権切れなので、全編観ることが出来ます。長いけど傑作よ、ぜひ!!




次回のしりとりは…
みら「い」→「い」んらん。

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明日のコラムは・・・

『読むスピードが異常に速くなりました。 ~2018総括(6)~』
コメント (1)
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