Cape Fear、in JAPAN

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映画監督別10傑(48)市川準

2019-05-08 00:10:00 | コラム
~市川準のキャリア10傑~

市川崑は、映画好きでなくとも知っている。
しかし市川準は、映画好きだったとしてもピンとこない。

だから訃報記事は小さいものであったし、追悼文を書く同業者や批評家も少なかったと記憶する。

享年59歳、
たしかに映画作品は地味なものが多かったが、手がけたCMは好感度の高いものばかり。

そう、「わたしはコレで会社を辞めました」の『禁煙パイポ』、金鳥の『タンスにゴン』、ヤクルトの『タフマン』などを演出したひとだよ、、、と紹介すれば映画作品にも興味が向かうだろうか。


(1)『東京兄妹』(95)

小津の世界を再現しようと試みた、地味だが志の高い作品。



(2)『東京マリーゴールド』(2001)

原作は林真理子。
期間限定を約束された恋愛に臨むヒロインの心模様を、マリーゴールドの特徴になぞらえて描く。

田中麗奈を、初めて女優と思えた。



(3)『つぐみ』(90)

吉本ばななのヒット小説を、牧瀬里穂という超フレッシュな素材で調理。

ひょっとしたら、市川映画で最も興行成績がよかったのかも。



(4)『ノーライフキング』(89)

小学生たちが熱狂するゲームソフトと、その現象に翻弄される大人たちをクールなタッチで描いた。

いとうせいこうの原作とは趣は異なるが、目指した方向は一緒。

自分は、どちらも好きだった。

(5)『トキワ荘の青春』(96)

人気漫画家たちを多数輩出した伝説の「トキワ荘」を舞台に、まだ漫画家の卵だった若者たちの日常を活写する。

「生きているひとに、遠慮しいしい」と批判する向きもあったが、いやいや、まず映画としてちゃんと面白かったから気にならないよ。



(6)『大阪物語』(99)

夫婦漫才師とその子どもたちを描く家族の物語だが、話題はジュリー&田中裕子夫婦の共演に集中。

けれども映画ファンとしては、これがデビューとなった池脇千鶴のフレッシュな魅力に注目したい。

(7)『トニー滝谷』(2005)

村上春樹の短編小説を映画化。

村上の大ファンだったイッセー尾形がタイトルロールを演じ、相変わらずの芸達者ぶりを拝むことが出来る。

こう並べていくと、「原作モノの映画化」が得意なひとだったのだなぁ。。。

(8)『あしたの私のつくり方』(2007)

主演に成海璃子、前田あっちゃんが共演する「思春期あるある」物語。

ソツのない創りできちんと青春を切り取る手腕はさすがだが、この器用さゆえ、映画監督として強烈な個性が放てなかったのかもしれない。

(9)『BU・SU』(87)

監督デビュー作。

富田靖子主演で性格ブスのおんなのこを描くが、なによりも驚くのは脚本担当が内館牧子ってところかも。



(10)『東京夜曲』(97)

青春を手がけることの多かった市川監督が、「おとなの恋愛」にこだわって撮った。

主演の長塚京三も悪くないが、なんといっても桃井かおり。

ふだんの彼女の演技スタイルを完全封印しているところが新鮮。

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明日のコラムは・・・

『にっぽん女優列伝(113)倉科カナ』
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