~市川準のキャリア10傑~
市川崑は、映画好きでなくとも知っている。
しかし市川準は、映画好きだったとしてもピンとこない。
だから訃報記事は小さいものであったし、追悼文を書く同業者や批評家も少なかったと記憶する。
享年59歳、
たしかに映画作品は地味なものが多かったが、手がけたCMは好感度の高いものばかり。
そう、「わたしはコレで会社を辞めました」の『禁煙パイポ』、金鳥の『タンスにゴン』、ヤクルトの『タフマン』などを演出したひとだよ、、、と紹介すれば映画作品にも興味が向かうだろうか。
(1)『東京兄妹』(95)
小津の世界を再現しようと試みた、地味だが志の高い作品。
(2)『東京マリーゴールド』(2001)
原作は林真理子。
期間限定を約束された恋愛に臨むヒロインの心模様を、マリーゴールドの特徴になぞらえて描く。
田中麗奈を、初めて女優と思えた。
(3)『つぐみ』(90)
吉本ばななのヒット小説を、牧瀬里穂という超フレッシュな素材で調理。
ひょっとしたら、市川映画で最も興行成績がよかったのかも。
(4)『ノーライフキング』(89)
小学生たちが熱狂するゲームソフトと、その現象に翻弄される大人たちをクールなタッチで描いた。
いとうせいこうの原作とは趣は異なるが、目指した方向は一緒。
自分は、どちらも好きだった。
(5)『トキワ荘の青春』(96)
人気漫画家たちを多数輩出した伝説の「トキワ荘」を舞台に、まだ漫画家の卵だった若者たちの日常を活写する。
「生きているひとに、遠慮しいしい」と批判する向きもあったが、いやいや、まず映画としてちゃんと面白かったから気にならないよ。
(6)『大阪物語』(99)
夫婦漫才師とその子どもたちを描く家族の物語だが、話題はジュリー&田中裕子夫婦の共演に集中。
けれども映画ファンとしては、これがデビューとなった池脇千鶴のフレッシュな魅力に注目したい。
(7)『トニー滝谷』(2005)
村上春樹の短編小説を映画化。
村上の大ファンだったイッセー尾形がタイトルロールを演じ、相変わらずの芸達者ぶりを拝むことが出来る。
こう並べていくと、「原作モノの映画化」が得意なひとだったのだなぁ。。。
(8)『あしたの私のつくり方』(2007)
主演に成海璃子、前田あっちゃんが共演する「思春期あるある」物語。
ソツのない創りできちんと青春を切り取る手腕はさすがだが、この器用さゆえ、映画監督として強烈な個性が放てなかったのかもしれない。
(9)『BU・SU』(87)
監督デビュー作。
富田靖子主演で性格ブスのおんなのこを描くが、なによりも驚くのは脚本担当が内館牧子ってところかも。
(10)『東京夜曲』(97)
青春を手がけることの多かった市川監督が、「おとなの恋愛」にこだわって撮った。
主演の長塚京三も悪くないが、なんといっても桃井かおり。
ふだんの彼女の演技スタイルを完全封印しているところが新鮮。
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『にっぽん女優列伝(113)倉科カナ』
市川崑は、映画好きでなくとも知っている。
しかし市川準は、映画好きだったとしてもピンとこない。
だから訃報記事は小さいものであったし、追悼文を書く同業者や批評家も少なかったと記憶する。
享年59歳、
たしかに映画作品は地味なものが多かったが、手がけたCMは好感度の高いものばかり。
そう、「わたしはコレで会社を辞めました」の『禁煙パイポ』、金鳥の『タンスにゴン』、ヤクルトの『タフマン』などを演出したひとだよ、、、と紹介すれば映画作品にも興味が向かうだろうか。
(1)『東京兄妹』(95)
小津の世界を再現しようと試みた、地味だが志の高い作品。
(2)『東京マリーゴールド』(2001)
原作は林真理子。
期間限定を約束された恋愛に臨むヒロインの心模様を、マリーゴールドの特徴になぞらえて描く。
田中麗奈を、初めて女優と思えた。
(3)『つぐみ』(90)
吉本ばななのヒット小説を、牧瀬里穂という超フレッシュな素材で調理。
ひょっとしたら、市川映画で最も興行成績がよかったのかも。
(4)『ノーライフキング』(89)
小学生たちが熱狂するゲームソフトと、その現象に翻弄される大人たちをクールなタッチで描いた。
いとうせいこうの原作とは趣は異なるが、目指した方向は一緒。
自分は、どちらも好きだった。
(5)『トキワ荘の青春』(96)
人気漫画家たちを多数輩出した伝説の「トキワ荘」を舞台に、まだ漫画家の卵だった若者たちの日常を活写する。
「生きているひとに、遠慮しいしい」と批判する向きもあったが、いやいや、まず映画としてちゃんと面白かったから気にならないよ。
(6)『大阪物語』(99)
夫婦漫才師とその子どもたちを描く家族の物語だが、話題はジュリー&田中裕子夫婦の共演に集中。
けれども映画ファンとしては、これがデビューとなった池脇千鶴のフレッシュな魅力に注目したい。
(7)『トニー滝谷』(2005)
村上春樹の短編小説を映画化。
村上の大ファンだったイッセー尾形がタイトルロールを演じ、相変わらずの芸達者ぶりを拝むことが出来る。
こう並べていくと、「原作モノの映画化」が得意なひとだったのだなぁ。。。
(8)『あしたの私のつくり方』(2007)
主演に成海璃子、前田あっちゃんが共演する「思春期あるある」物語。
ソツのない創りできちんと青春を切り取る手腕はさすがだが、この器用さゆえ、映画監督として強烈な個性が放てなかったのかもしれない。
(9)『BU・SU』(87)
監督デビュー作。
富田靖子主演で性格ブスのおんなのこを描くが、なによりも驚くのは脚本担当が内館牧子ってところかも。
(10)『東京夜曲』(97)
青春を手がけることの多かった市川監督が、「おとなの恋愛」にこだわって撮った。
主演の長塚京三も悪くないが、なんといっても桃井かおり。
ふだんの彼女の演技スタイルを完全封印しているところが新鮮。
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明日のコラムは・・・
『にっぽん女優列伝(113)倉科カナ』