Cape Fear、in JAPAN

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にっぽん女優列伝(114)栗原小巻

2019-05-10 01:14:16 | コラム
45年3月14日生まれ・74歳。
東京出身。

映画の吉永小百合、舞台の栗原小巻(くりはら・こまき)。

映画好きなら「当然」サユリストになりそうなものですが、どちかというと自分はコマキスト。

『キューポラのある街』(62)より先に、『忍ぶ川』(72)を観たから、、、かもしれません。



惚れましたね、小巻さんに。

元々、芥川賞を受賞した原作小説(三浦哲郎・著)が好きだったのです。
それを社会派の雄・熊井啓が監督している・・・四角四面の映画にならないかと不安もありましたが、いやいや熊井さんってけっこう器用なひとで、それは処女作の『帝銀事件 死刑囚』(64)を観れば分かること。

ふたりの主人公に寄り添うようなカメラがとてもやさしく、あぁ映画って素晴らしいな・・・と、あらためて思ったのでした。


そうして、加藤剛がひじょうにうらやましかったです笑

<経歴>

父は劇作家の栗原一登。

63年に東京バレエ学校を卒業し、舞台を中心にキャリアを築きあげていく。

映画俳優デビュー作は、67年の『若者たち』。
主演は田中邦衛、ずいぶん前に観たので記憶は定かではありませんが、「金なんて紙切れだ!」といって札を燃やすシーンがあったと思います。

『ゴメスの名はゴメス・流砂』(67)、『ボルネオ大将 赤道に賭ける』(69)、『尻啖え孫市』(69)、
『新・男はつらいよ』(70)、『明日また生きる』(70)、『戦争と人間 第一部 運命の序曲』(70)と第二部の『愛と悲しみの山河』(71)、『愛と死』(71)。

映画の代表作は、70年代に集中しています。

小林正樹が演出、仲代達矢と勝新太郎が共演した『いのちぼうにふろう』(71)、
前述した『忍ぶ川』、それとは一文字ちがいの『忍ぶ糸』(73)、
日ソ合作の『モスクワわが愛』(74)、
再び熊井啓と組んだ社会派の力作『サンダカン八番娼館 望郷』(74)。




『わが青春のとき』(75)、『化石』(75)、『スリランカの愛と別れ』(76)、『八甲田山』(77)、『白夜の調べ』(78・日ソ合作)、『水戸黄門』(78)、『子育てごっこ』(79)、『配達されない三通の手紙』(79)などなど。


80年代以降は映画にかぎっていえばゲスト出演的なものが多く、コマキストとしては寂しいですね。
(いうほど熱狂的なわけではありませんが苦笑)

『ひめゆりの塔』(82)、『菩提樹の丘』(85)、『男はつらいよ 柴又より愛をこめて』(85)、
『花の季節』(90)、『カンバック』(90)、『未来への伝言』(90)、『戦争と青春』(91)、『乳泉村の子』(92)、『ミラーを拭く男』(2004)。


70年代までの作品はほとんど、映画学校で教材として鑑賞、あるいはその流れで自らレンタルビデオで探し回る、、、という感じでした。

現代の映画青年はどうなのだろう、黒澤や小津は観ても、『忍ぶ川』や『サンダカン』にまで辿り着かないのではないか・・・と思って聞いてみると、やっぱりそうでした。

選択肢が「ほぼ無限」にありますからね、しょうがないことですけれど、もったいないなぁ! とも思います。

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明日のコラムは・・・

『にっぽん女優列伝(115)栗山千明』
コメント (1)
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