Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

映画監督別10傑(51)伊丹十三

2019-05-19 00:10:00 | コラム
~伊丹十三のキャリア10傑~

唐突で不可解な自死。

享年64歳。

報道されていたことが事実であったとしても、正直「死ぬほどのことなのか」と思った。
(他殺説も根強いが確たる証拠が出てこないため、本稿では自死として話を進める)

作品が面白ければ、そのひとの人格なんかどうでもいい。
ヒトゴロシやレイプ魔でないかぎり、映画ファンは伊丹さんを受け入れたにちがいない。

と、自分はそう考えるが、本人にとっては「身の潔白」がいちばん大事なことだったのかもしれない。

作風は好き嫌いが分かれるだろう、しかし目のつけどころのよさは誰もが認めるところなのではないか。


いま思うのは、宮本信子が復活してくれてよかったなぁ、、、ということだよね。


(1)『タンポポ』(85)

グルメ×西部劇パロディ。

この物語が思いついた時点で、撮る前から成功は見えていた。



(2)『お葬式』(84)

赤の他人の葬儀であれば、これほど楽しく興味深く気楽に観ることが出来るのか・・・という発見。



(3)『マルサの女』(87)

宮本信子が、女優としてきらきら輝いている。

軽快なテーマ曲、スピーディな展開・・・伊丹さんが最もノッていた時期だったのかも。

(4)『ミンボーの女』(92)

民事介入暴力(民暴)を主題とした伊丹流ヤクザ映画。

公開されてまもなく、伊丹さんは後藤組(指定暴力団山口組の二次団体)のメンバーに襲撃を受け顔に大きな傷を負う。

やった連中は小さいなぁ、ヤクザやる資格もないんじゃないか、、、と思ったが、それより気になったのが「ヤクザ寄り」とも取れる発言をした五社英雄監督。

当時は、忖度がないとヤクザに批判的な映画は撮れなかった?

(5)『あげまん』(90)

物語そのものには感心しなかったが、このことばを広めた貢献度を評価したい。



(6)『マルサの女2』(88)

少し入り組んだ話にはなっているものの、続編でもパワーは落ちていない。

正直ほかの作品より、このシリーズを5つも6つも創ってほしかった。



(7)『静かな生活』(95)

大江健三郎の小説を、義兄にあたる伊丹さんが軽やかに映画化。

障害を持つ兄と妹を、渡部篤郎と佐伯日菜子がそれぞれ好演している。

(8)『スウィートホーム』(89)

監督は黒沢清、伊丹さんは製作総指揮と出演を兼ねたホラー映画。

特撮技術はさておき、準ヒロインのNOKKOも頑張って演じているので憎めない作品だなと。

(9)『大病人』(93)

末期がんを患った映画監督の残された日常を描く。

偶然にも同年に市川準による『病院で死ぬということ』が発表されて話題になった。

両方観ることをおすすめしたい。



(10)『スーパーの女』(96)

ネタ切れかな? と思うほど伊丹映画としては凡庸な創りだったが、ただひとつだけ感心した場面が。

同級生という設定の津川雅彦と宮本信子のラブシーン。

津川が真面目にキスすると、宮本はそれがおかしくって笑いが止まらず、セックスに至ることが出来ない・・・これ、すごくリアルだと思わない?

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明日のコラムは・・・

『最高への旅』
コメント
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