Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

映画監督別10傑(50)特別篇2

2019-05-18 00:10:00 | コラム
~日本の3異才のキャリア3傑+α~

おとといの流れを汲む感じで、きょうは日本の映画監督のなかから・・・

フィルモグラフィが10本に満たない、
あるいは10本以上撮ってはいるものの、「ある期間だけ」傑作を放ち、その後「燃え尽きてしまった」異才3人の「3傑」を選出、それから特例措置「+α」として「2傑」を展開してみよう。


【大森一樹】…67歳

若いころはたいへん才気走っていて、モリタと並ぶ映画の革命児みたいな扱いだった(気がする)。

本人も学んでいたことから医療系のドラマに強いので、こんど放送されるテレ朝の『白い巨塔』とか、このひとが撮ってもよかったんじゃないかな。




(1)『ヒポクラテスたち』(80)

医学生の日常を活写、古尾谷雅人に伊藤蘭、柄本明ほか、みんないい顔をしている。

(2)『恋する女たち』(86)

斉藤由貴のアイドル映画としても、若い女性たちを捉えた恋愛映画としても満点。





(3)『緊急呼出し エマージェンシー・コール』(95)

ほとんど話題にならなかったが、医療への真剣なまなざしは映画のそれと同じであることが分かる。


【竹中直人】…63歳

まちがいなく監督としての才能があるのに、最近は積極的に撮らなくなっている。

惜しい!!


(1)『無能の人』(93)

つげ漫画の映画化で最も成功した佳作。

あのパンツの見せかたとか、ほんとうにセンスがあるなぁ!!



(2)『119』(94)

消防隊員の、のんびりした日常を切り取っている。

オフビートタッチの描写がじつに巧い。

(3)『山形スクリーム』(2009)

成海璃子が主演したホラーコメディ。

充分面白いが、もっとムチャクチャやってもよかったんじゃないかな。


【小栗康平】…73歳

群馬が誇る映像詩人だが、テレンス・マリック以上に寡作のひと。

というか「儲ける」という発想が1ミクロンもないようで、だからふだんはどんな生活しているのかな、喰えているのか・・・などと、必要以上に心配してしまうのであった。




(1)『死の棘』(90)

島尾敏雄の私小説を完全映画化。

岸部一徳が子どものように泣きじゃくり、それに負けじと、松坂慶子が壊れまくる。

そんな演技合戦を捉えるカメラは、おそろしくクール。

(2)『泥の河』(81)



「偽善だ」という識者も居るが、子どもたちの演技と、加賀まりこの色気だけで一見の価値はあるだろう。

(3)『眠る男』(96)

県が出資したにも関わらず、観光的な要素がどこにもないゲージツ映画が出来上がった。

これは小栗さんが悪いのではなく、小栗さんを起用した県が悪いんだっての。


【長谷川和彦】…73歳

特例とは、このひとのこと。

若き天才と称されていたのに、夭逝したわけでもないのに、なぜか2本しか撮っていない・撮れていない伝説の映画監督。

「連合赤軍の映画を…」とずっと発言しているのだから、「撮れていない」が正しい表現なのかも。




(1)『太陽を盗んだ男』(79)

たったひとりで原子爆弾を作り上げた理科の教師ジュリーが、不死身の刑事・文太さんと壮絶な戦いを繰り広げるアクション。

(2)『青春の殺人者』(76)

これといった理由もなく両親を殺害した青年・水谷豊と、その恋人・原田美枝子の末路とは。

日本のインディーズもやるじゃないかと、高校生のころ観て熱くなったなぁ!

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明日のコラムは・・・

『映画監督別10傑(51)伊丹十三』
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