Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

おもてなし

2015-04-05 05:52:47 | コラム
某日―。

装丁のインパクトで売れに売れた作品を、



有村架純の主演で映画化した『ビリギャル』の試写会に行く。

映画の出来そのものは「こんなものだろう」と思った程度だが、ちょっとだけ山田詠美の傑作『ぼくは勉強ができない』を想起した。

物語の質的には、こっちのほうが2倍も3倍もよかったなぁ、、、と。


自分?

勉強は、まあまあ出来たほうだと思う。

得意の国語だけはクラスの秀才くんに負けるものか!! というプライドもあったし。
あったから、頑張れたし。

自分が出来ないのは、料理全般である―ということは、何遍も何遍も記してきた。

これについて、ちょっとだけ訂正しておきたい。

家庭科のケーキを作る授業で、隣りの女子から「ちゃんと食べさせてあげるから。その代わり牧野くんは、一切手を出さないで」といわれた哀しい過去のある自分だが涙、
自分が食べるための料理は出来るんだ。

出来ないのは、他者に食べさせるための料理。

簡単にいえば、見た目が「なっていない」ということ。

チャーハンくらいは作る。
目玉焼きも卵焼きも作る。
気が向けば、カレーだって作る。

味だって「まあまあ」だと思う。

ただ視覚的に、美味しそうに見えないんだ。

量が多いだけで彩りがないっていう。

それが男の料理―といえばそうだろうが、やっぱり柄じゃないのだと思う・・・って、いやいや、少しは努力をしろってね。


まぁいいや。
ともかく自分はそんなヤツなのだが、部屋がムダに広いという理由から、来客は多いほうで。

客人に、なにをもてなすのかっていう問題が出てくるわけ。

酒はなんでもそろっているぜ。
コーヒーだってスターバックスに負けない味を提供することが出来る。

こんだけ種類があるし。




乾いた喉を潤してあげることは可能。
こころが乾いているひとには、自分のよく動く舌で「すべらない話」を披露してさしあげましょう。

ぜんぜん関係ないが・・・
映画『セブン』(95)の、ミルズ(ブラッド・ピット)がジョン・ドゥ(ケビン・スペイシー)のアパートのドアを叩くシーンが好きで、ここだけ何度も繰り返し鑑賞している。

サマセット「お前が話せ。その、よく動く舌で」
ミルズ「女房に聞いたのか? バカらしい。チャーリーズ・エンジェルかよ。大体、なんて話せばいいんだ? すいません、連続殺人犯ですか? ってか」


話を戻そう。

つまり、空腹のひとを満足させること「だけ」が出来ない。
だからいつも「飲料以外のものを持参してくれ」といっている。

ひとには得手不得手があるのだから、それでいいでしょう?

・・・って、料理のことに関しては、少しも努力をしようとしない40代独身男子なのであった。


※『用心棒』も、いわば「おもてなし」の映画だった




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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

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明日のコラムは・・・

『にっぽん男優列伝(272)袴田吉彦』

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映画的開花

2015-04-04 05:57:19 | コラム
月はじめ恒例の「映画の10傑」シリーズ、今月の最後は、花見の時期にあわせて「映画と花」について。

あすの夜に花見を計画しているのだが・・・
きのうは風が強かったし、きょうは微妙な天気だし、ちょっと厳しいかも。

まぁ花見など呑むための口実に過ぎず、見上げたとしても最初の10秒程度だから、散っていても構わないのだけれども。

「映画と花」については、同姓の植物学者が居る(=牧野富太郎)、「(どうしても)花の名前を覚えられない」などのテーマから、何度かコラムにしてきた。


以下に挙げた10本の映画に登場する花々は、そんな花音痴の自分でも印象に残るものばかり。

・・・とはいえ、花の種類までいい当てられないものも含まれる。

それは、ほら、あれだ、ヒトは完璧じゃない? ってことで汗汗


(1)『エイジ・オブ・イノセンス』(93)

スコセッシの映画のなかで、最も美しいオープニング・クレジット。

手がけるのは、ソール・バス。




(2)『それから』(85)

物語の鍵ともなっている花たち。

とくに、百合が印象的。

百合くらいは、自分だって分かるのである。

ちなみに今月より、朝日新聞紙上で『それから』の再掲載が始まっている。

まったくムダのない文章に、打たれっ放しの自分なのであった。

(3)『街の灯』(31…トップ画像)

この自然な出会いのシーンは、約1年をかけて生まれた。

(4)『3-4X10月』(90)

極楽鳥という花。



(5)『ツイン・ピークス劇場版』(92)

真っ赤なオバサンの胸には、青いバラが。



わけがわからん。

いいかげんにしてくれ、リンチよ・・・と思った笑

(6)『ひまわり』(70)

こんなに美しいのにね、なんて切ない物語なのだろう。

(7)『タクシードライバー』(76)

この映画に花なんて・・・?

いやいや、登場します。

枯れた花が。

送り返される、ベッツィへの花束。
枯れていくにつれイヤな臭いが部屋に充満していったため、トラビスは自宅で燃やしてしまうのだった。

彼のスイッチがONになるのは、これ以降のこと。

(8)『ターミネーター2』(91)

バラを包む箱のなかには、ショットガンがひとつ。

(9)『マグノリア』(99)

映像として花が登場するのは、オープニングクレジットのみ。

しかし登場人物に、様々な花の名前が冠されている。



(10)『椿三十郎』(62)

この椿を際立たせるために、黒澤はカラー化を強く望んでいた。

しかし、この大監督を納得させるだけの発色が実現しなかったため、結局はモノクロームで表現することになったのである。

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『おもてなし』

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映画的泥酔

2015-04-03 06:41:45 | コラム
新歓コンパや花見の時期なので、酒の話を。
まぁそんなものはイイワケに過ぎず、酒について書きたいから書くのだけれども。

深刻な二日酔いを経験したことがない。
翌朝「ヤバイかも…」と思ったら迎い酒をしてしまうので、なんとなくそれでやり過ごせる、、、って、ダメじゃん!

ここ10年、吐くこともしない。
酒量が減ったのではなく、呑みかたを心得たということだと思う。

毎日「家呑み」していればね、自分にとっての気持ちのよい酔いかたくらいは分かるものですよ。

同年代にして未だ「一気勝負」みたいなことを仕掛けてくるヤツが居るが、そういう挑発には一切乗らない。
こっちは酒を美味しく、楽しく呑みたいだけなのだから。

幹事をよく引き受けるので、店はよく知っているほうだと思う。
もう少し若いころは皆が貧乏だから大衆居酒屋で充分であったが、40代だものね、洒落た店のひとつやふたつは知っておいたほうがいいし。

酔うとどうなるのかって?

ヘラヘラニタニタしている地顔が、「さらに」ヘラヘラニタニタ顔になる。
ろれつが、完全に回らなくなる。

・・・くらいかな。

ひとにからむことはしない。
からむべき相手? が居たら、そりゃあからむけれども。

―と、ここまでの文章を、半分酔いながら書いた。

半分ね、半分。
完全に酔えば寝てしまうだろうし、「半分酔う」が文章を壊さないぎりぎりのラインだから。


そういえば自分、ヤケザケ(自棄酒)の経験もない。
失恋で、、、というのはあったが、ヤケになっていたわけではないし。
ヤケになったときは、「ヤケグイ」のほうが性にあっているような気がする。

酒はあくまでも、美味しく、楽しく呑みたいから。


以下は、自分にとって印象に残る「映画と飲酒」。

基本、家でのブルーレイ鑑賞においても映画の場合は飲酒出来ないのだが、
こういうタイプの映画にかぎっては、おおいに酔いながら観るのも「あり。」なのかもしれない。

(1)『酔いどれ天使』(48…トップ画像)

観ていないひとは三船のキャラクターを指していると勘違いしているが、いやいや、志村喬が天使なのだよ。

(2)『MONDAY』(2000)

酔った演技で競う大会があったとすれば、日本代表は堤真一で決まり。

そして世界大会でも、確実に上位に食い込むだろう。




(3)『リービング・ラスベガス』(95)

アルコールに溺れて死ぬと決めた脚本家の物語は、ひどく後ろ向きなようでいて、ある意味では前向きなのである。

それを理解してくれる、エリザベス・シューのようなヒロインが寄り添ってくれるのだから。



(4)『荒野の千鳥足』(71)

知られざる怪作。

ニューシネマの影響を色濃く受けている豪州の映画で、ビールを麻薬のように描いているところが面白い。

(5)『アマデウス』(84)

ワインを呑みながら作曲をするモーツァルト。

ねぇ、ほら、呑みながら創作をすると調子いいんだって!!

・・・って、天才と自分を同列で語るなってね。

(6)『サイドウェイ』(2004)

ワインと恋愛と人生を、ロードムービーのスタイルで描く。

デートムービーとしてオススメ出来る一品。



(7)『酔拳』(78)

酔えば酔うほど強くなる。

ガキのころは、実際にそういう拳法があると思っていた。

(8)『街の灯』(31)

酔ったときだけ「親友」扱いし、酔いが醒めると「赤の他人」扱いをする。

踏んだり蹴ったりのチャーリーだが、それでもめげない。

(9)『酒とバラの日々』(62)

アル中の物語だが、素敵に最強なタイトルなので。

堤真一が負けるとしたら、リー・レミックの鬼気迫る泥酔演技だと思う。

(10)『ブレードランナー』(82)

孤独なデッカードによくあう、ウイスキー。

グラスも印象的であり、デザイナーのビンセント・ベガさんのサイトでは、このレプリカグラスが販売されている。



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『映画的開花』

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映画的変身

2015-04-02 05:51:29 | コラム
10日より公開される本年度オスカー受賞作『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』は、
かつてヒーロー映画でスターの座に輝いた俳優の「どん底のいま」を驚異的なカメラワークで描いた傑作。

地味だけど名優のマイケル・キートンがセルフパロディ的な主人公を熱演していて、これがきっかけで日本の若い映画ファンも名前を覚えてくれたらいいな、、、なんて思う。

キートンは実写映画版の「初代」バットマンだけでなく、『ビートルジュース』(88)では「ふざけたゴースト」を演じていて、「非」人間キャラ? に扮することが出来るスマートな俳優さんなのである。

歴代のバットマンを演じた俳優は、ヴァル・キルマーだけは例外のような気がするが、なんとなく地味な印象を受けるひとばかり。
それがバットマンのダークな個性にマッチして、俳優としては満足していないかもしれないけれど、映画としては抜群の効果を発揮していると。


男の子はみんな―と限定しなくてもいいかな、女子だってセーラームーンとかがあるから、少年少女はみんな、変身キャラに憧れるものだ。

※トップ画像…実写版セーラームーンの、セーラーヴィーナスが好きだった。
右のオレンジね。
その横の赤が、ご存知、北川景子。


小説のなかの変身といえば、その筆頭はもちろんカフカの『変身』。

みんないうことだが、あんな格好で出勤しようと頑張るところがシュールで素晴らしい。

もうひとつ挙げれば、中島敦の『山月記』。

乱暴にいえば知的に過ぎて虎と化した悲劇の主人公の心情を、漢詩で表現した怪作である。
国語の教科書に載っていたので、読んだひとも多いことだろう。


では映画のなかにおける変身といえば、なにか―というのが、本日のテーマ。

ヒーロー物から多重人格まで様々だが、変身の過程を文章化しなければならない小説よりも、直接的に映像で表現出来る映画のほうが変身の描写に適しているはずで・・・そんなわけで候補は軽く30を超えた。

以下が、自分が厳選した10人の変身キャラクターである。


(1)『鉄男』(89)

鉄との融合。

映像的には格好いいが、痛そうだな…。



(2)『ロスト・ハイウェイ』(97)

デヴィッド・リンチがカフカをやったら、こんな感じになる―という物語。

意味不明だが、面白い。

(3)『ザ・フライ』(86)

ほとんどのキャラクターがそうだろうが、「望まない変身」が生む悲劇。

ハエはイヤだな。
チョウならいいけど。

(4)『カメレオンマン』(83)

特異体質としての変身。

ウディ・アレンの映画のなかで、いちばん好き。

(5)『サイコ』(60)

変身は病気として解釈されている。



(6)『ターミネーター2』(91)

新型は、液体金属によって「なんにでも」化けられる。

はっきりとCGの映像を観たのはこれが初めてで、劇場で映画に革命が起こっている!! と興奮したものである。



(7)『千と千尋の神隠し』(2001)

パパとママが、豚になっちゃった!!

(8)『ジョニー・ハンサム』(89)

望んだ変身、ではあったのだが・・・。

「俺の顔は、どうなった?」という最後の台詞が、切ない。

(9)『フェイス/オフ』(97)

捜査のためには、憎き相手に変身しなければならない。

SF的な発想ではあるものの、あと20年もすれば、可能になりそう。




(10)『エクソシスト』(73)

厳密にいえば変身ではなく憑依だろうが、鉄男の次に「なりたくない変身」といえば、これだろう。

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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

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明日のコラムは・・・

『映画的泥酔』

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じゃあね!! + 3月コラムの目次

2015-04-01 05:48:23 | コラム
天気予報などにおける花粉飛散情報を見たり聞いたりしていると、まだまだ花粉がじゃんじゃん飛んでいるらしいが、スギ花粉だけに反応する自分の症状は「ほぼゼロ」にちかく。

ヨモギやブタクサにも反応するかたには同情を禁じ得ないが、正直ホッとしている。

薬や花粉飴とは、しばらくお別れだ。
症状を和らげてくれてありがとう、じゃあね!! といっておく。

というわけで。

ティッシュの消費量がガクンと減って、お財布にも優しい季節がやってきた。

帰宅時、玄関前で服を脱いで花粉を掃う―という面倒なことをしなくてもいいし。
ビールは美味いし。
飯も美味いし。
女子は段々と薄着になるし。
花粉を気にせずにチャリを乗り回せるし!

加山雄三口調で、ぼかぁ、しあわせだなぁ!! といいたい気分である。

…………………………………………

※現時点における、本年の良質映画

(新規)

『ソロモンの偽証 前篇・事件』
『イミテーション・ゲーム』
『博士と彼女のセオリー』

(鑑賞順)

『6才のボクが、大人になるまで。』
『0.5ミリ』
『インターステラー』
『超能力研究部の3人』
『メビウス』
『寄生獣』
『ゴーン・ガール』
『百円の恋』
『マップ・トゥ・ザ・スターズ』
『TRASH!』
『薄氷の殺人』
『ワンダフルワールドエンド』
『ビッグ・アイズ』
『KANO 1931海の向こうの甲子園』
『さらば愛のことばよ』
『はじまりのうた』
『甥の一生』
『フォックスキャッチャー』
『アメリカン・スナイパー』
『味園ユニバース』
『幕が上がる』

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【今月のスケジュール】

★本日・・・じゃあね!! + 3月コラムの目次
☆2日・・・映画的変身
★3日・・・映画的泥酔
☆4日・・・映画的開花
★5日・・・ジャンク祭り


~ロンド形式連載~

(1)にっぽん男優列伝・・・月6~7回。袴田吉彦さんから。
(2)初体験 リッジモント・ハイ・・・週1~2回
(3)シネマしりとり「薀蓄篇」・・・週1回

では皆さん、お楽しみに。

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~3月度のコラム一覧~

1日…ボツをスギのせいにしてはいけない + 2月コラムの目次
2日…SEMATARY
3日…このひとの伝記映画を観たい
4日…この原作を映画化してほしい
5日…水を飲む
6日…シネマしりとり「薀蓄篇」(111)
7日…シネマしりとり「薀蓄篇」(112)
8日…映画悪口大会
9日…(どんな内容でもいいから)すごい男といわれてみたいものだ

10日…にっぽん男優列伝(268)西村雅彦
11日…『祭の馬』
12日…にっぽん男優列伝(269)温水洋一
13日…字が、巧いんです。
14日…初体験 リッジモント・ハイ(118)
15日…初体験 リッジモント・ハイ(119)
16日…抱きしめたい
17日…このキャラを、演りたい
18日…シネマしりとり「薀蓄篇」(113)
19日…シネマしりとり「薀蓄篇」(114)

20日…れんちん
21日…墓場まで持っていく
22日…にっぽん男優列伝(270)根津甚八
23日…にっぽん男優列伝(271)野村宏伸
24日…映画の記憶
25日…初体験 リッジモント・ハイ(120)
26日…初体験 リッジモント・ハイ(121)
27日…♪ きみに、聴かせる腕もない ♪
28日…ヘイトキャラ
29日…シネマしりとり「薀蓄篇」(115)
30日…シネマしりとり「薀蓄篇」(116)
31日…もう四十郎だがな。

…………………………………………

本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

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明日のコラムは・・・

『映画的変身』

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