Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(177)

2016-08-21 00:10:00 | コラム
かーちぇい「す」→「す」ーつあくたー(スーツアクター)

『スター・ウォーズ』シリーズ(76~)の人気キャラクター、R2-D2「の、なか」に入っていたケニー・ベイカーさんが亡くなった。(8.13)



コンピューター操作であることを疑わなかったので、「の、なか」にひとが入っていることを知ったときは、たまげたものである。

ベイカーさんのようなひとを、スーツアクターという。

ただしこれは和製英語なので、向こうでは通じない。
あくまでも、日本の、この業界のみで使用されていることばである。

つまり、着ぐるみなどを着用して演技をするひとたちのこと。

だから、ふなっしーやぐんまちゃんなど「ゆるキャラの、なか」に入っているひとたちも、スーツアクターといっていいだろう。


※『ガキの使い』の「着ぐるみトーク」は、スーツアクターたちの休憩場所における無駄話、、、をイメージしている




キャラクター自身には陽が当たるものの、「の、なか」に入っているひとたちが注目を浴びることは少ない。
「そうでなければいけない」はずだが、なんとなく悲哀というものを感じさせる職業、、、でもある。

そこを描いたのが、2014年に公開された『イン・ザ・ヒーロー』。




主演の唐沢寿明は、実際にスーツアクターとして活動していた時期があり、思い入れが強かったのかな、ふだんの演技も「熱演系」だけど、本作はそれ以上に熱量が高かった。


現在、大ヒットを記録している『シン・ゴジラ』のゴジラもまた、スーツアクターが演じる怪獣「だった」。

「だった」を強調するのは、今夏のゴジラは全編がCGだから。

ただそれは「CG隆盛の現代ゆえ」という安易な発想ではなく、アンノ監督ならではの意図がある。
その意図をここで明かすことはしないが、狙いは外してはいない―個人的には、そう思っている。


さて。
スーツアクトの経験がない我々が想像するのは、「暑いだろうな…」ということ。

実際にスーパーの屋上などで「ヒーローショー」を展開したことのある友人によると・・・

「そりゃ暑いよ!!」とのこと笑

「すげー汗かくし」
「その割にはさ、太ったままだよね」
「…そりゃ、あれだよ。それなりの給料をもらうから、いっぱい喰っちゃうし」

まぁたぶん、自分がやってもそういうオチが待っていると思う。


暑いこと。
そこそこの給料をもらえること。

・・・は、分かったが、どんなひとがスーツアクターになるのかっていうと。

これも想像どおりで、大抵のひとが「俳優志望」である。

友人によると「8割が、そう」だが、「1割にも満たない確率」ではあるものの、「スーツアクターそのもの」を志し、実際にそうなったひとも居るという。

イケメンだし、俳優としても成功しそう。
実際にプロダクション関係者からスカウトもされたが、それを断ってスーツアクターをつづけているひとが居るらしい。

スーツアクター仲間のほとんどから「お前はバカだ」といわれたけど、彼はそれを無視してスーツアクトをつづけたんだって。


自分が同僚であったら、またちがう考えかたをしたかもしれないけれど・・・

なんだかちょっと、未来を信じられるような気がして、少し感動した自分なのでした。


あすのしりとりは・・・
すーつあく「たー」→「たー」みなる。

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『シネマしりとり「薀蓄篇」(178)』
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形から入る

2016-08-20 07:15:21 | コラム
映画の世界を意識し、初めて脚本(の、ようなもの)を書いたのは、高校2年のころ。

最も大事なのは自分の脳味噌とセンス・・・だったはずなのに、「まずは万年筆が必要」と考えた。

ボールペンで充分なのにね!

そこで、お年玉とアルバイト代を注ぎ込んで高価な万年筆を買った。

安価なもので充分なのにね!


自分には、そういうところがある。
まず「形から入る」ってこと。


総合格闘技のアマチュア大会に参加していたころ、の話。

アマチュアの大会なんだからショーアップなどされていない、ただただ粛々と試合が展開されていくだけ。
入場時の演出だってそっけない、けれども自分は、リングに上がるまでのコスチュームにこだわった。

オリジナルの、「迷彩柄」柔道着。

※ジャカレイが、同じような柔術衣を羽織って入場したことがあった



オーダーメイドだから異様に高く、道場長には「そんなことより、練習やれや!」と怒られたっけ。


チャリダーを自称し始め、ロードバイクに乗るようになってからも同様。

ロード本体だけでなく、ヘルメットも質のいいもの、ふつうでないデザインのものを選んだ。

※これも目立ちそうで、ちょっとほしい




変わったデザインのものはともかく、金をかけ過ぎるのってどうよ。

分相応でない、ことは明らか。
付き合う子と揉めるのも、大抵はこういうところ―つまり経済感覚であり、それは自覚していることなので、現在のハニーには口座はもちろん、財布も管理してもらっている。

ただ昔であればそれで充分だったかもしれないけれど、
ネット社会となった現代では、クレジット決済や「おさいふケータイ」があるからね、ついついクリックしたくなる。

先週もきのうも、クリックしようとする右手を左手で食い止めた。

アル中みたいなものかもしれない、
少しは将来を見据えないとね・・・って、42歳のオッサンが自覚するには、あまりにも遅過ぎるのだが。。。


※いつ観ても、何度観てもワクワクする煽りVじゃ




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監督って、何者かね

2016-08-19 00:10:00 | コラム
たとえばサッカーW杯の日本代表で疑問なのは・・・
それがグループリーグであれ、決勝トーナメントであれ、敗退が決定した時点で監督の辞任が決定すること。

そういう契約なのかもしれないが、4年で結果を残せるほど甘い世界じゃないと思う。
8年、12年、いやそれ以上の長い目で見ていかないといけないんじゃ?
なでしこの佐々木・前監督だって、女子バレーの真鍋監督だって、長い期間を任されていた(いる)わけでしょう?

だから岡ちゃんやトルシエ、ジーコ、オシムの指揮ぶりを、もっともっと見てみたかったという思いが強い。

・・・思いが強い。
・・・・・思いが強いのだが、いや現在だって思っているのだが、

シンクロのコーチに復帰した井村さん、戻ってきてわずか数年で「ちゃんとした結果」をもたらしてしまった。

すげー。

もういっちょ、すげー。すげー。

超のつく特例、、、なのだろうか。

どうなんだろうね?

これは日本柔道「篠原信一から、井上康生へ」にもいえることで、なんだかちょっと篠原さんには酷のような気もするが、
いやでも、あのひと、いま超売れっ子だから、あまり気にしないかもしれない笑


個人的に「どうなんかな、もっと適任居るのではないかな」と思われる監督の筆頭が、サムライジャパン(野球)の、小久保裕紀監督。

いっておくけど、個人攻撃じゃないからね!

でも。
前回の則本の起用、ゼッタイに間違っていたもの!!

古田敦也じゃダメなのかな??


さて。
「責任のすべてを負う」という意味では同じだが、スポーツと映画とでは、監督の役割が同じとは「少なくとも一般的には」思われていないっぽい。
注目される機会が、あまりにも少ないんだもん。

そう自分は、監督至上主義の映画小僧である。
(トップ画像は、わが神・スコセッシ。なんか、お茶目だ)

映画は、映画監督のもの。
やや語弊があるかもしれないが、映画小僧、映画通、映画マニア、シネフィルを自称するひとほど「その傾向」が強い。

けれども一般的には、観る映画を「監督で決める」というひとは少ない。
極めて、少ない。

ジャンル、あるいは俳優で決めるというひとのほうが、圧倒的に多いはずで。

それに関してアアダコウダいうつもりはない。

ただ、「監督のこと、もうちょっと気にしてみてね」とは思っている。というか、願っている。

だって。
雇われ監督という立場もあるにはあるけれども、映画っていうのは基本的に、監督が「これを撮ろう」と思わなければ創られることがないものだから。

たとえば。
監督のことを気にしていないひとが、好きな映画を10本くらい挙げたとする。

すると。
けっこうな確率で、同じ監督の作品が複数入っていたりするもので。

つまり。
その監督との相性がいいってこと。
その監督の編集リズムが、心地いいと感じているってこと。

このことに気づいたひとは、それ以降、映画監督のことを(割と)気にしてくれたりするものなんだ。


そういうひとが、増えてほしいな。
極端なことをいえば、そういうひと「ばかり」にならないかな。

自分は、そんなことを思いながら、日々のコラムを綴っているのでありました。


※スコセッシ本人が褒めた、映画マニアによる「スコセッシVSキューブリック」動画




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『形から入る』
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にっぽん男優列伝(337)柳楽優弥

2016-08-18 00:10:00 | コラム
90年3月26日生まれ・26歳。
東京出身。

公式サイト


現時点における、個人的な「本年最高の日本映画」は、『ディストラクション・ベイビーズ』です。
(ちなみに次点は、『シン・ゴジラ』)

舞台を現代日本に置き換えた『時計じかけのオレンジ』(71)といったらいいのか、「意味を与えることなく」若者の暴力衝動を描き切った怪作。

本作を監督した真利子哲也は、先日のロカルノ映画祭で最優秀新進監督賞を受賞、これをきっかけに興味を抱く若い映画ファンも多いと思われます。

この映画の主演を務めたのが、本日の主役・柳楽優弥(やぎら・ゆうや)くん。




海外の映画祭に縁が深いひとです。

なんといっても、デビュー作でカンヌの主演賞を受賞してしまうのですから。

けれどもこのスタートが、本人にとっては重荷になってしまいます。

「子役あるある」かもしれませんが、その後は低迷し、私生活も荒れた(と、されています)。

曰く「(是枝)監督に、やれといわれたことを、ただやっただけ」

ただ是枝さんが褒めたという「眼力」は、映画小僧たちも注目しました。

あの「目」がなければ、『誰も知らない』(2004)は、「ある高み」に到達していなかったような気がするのです。

<経歴>

夫人は、モデルの豊田エリー。



か、かわいい・・・。

2004年―オーディションで是枝監督に「発掘」され、『誰も知らない』で鮮烈な映画俳優デビューを飾る。

88年に起こった巣鴨子供置き去り事件を材に取った、ひじょうにつらい、、、けれども感動的な物語です。

本作に対しては「実際はもっと悲惨だった」などという批判も起こりましたが、ドキュメンタリーじゃないわけですからね、監督が紡ぎたい物語を紡げばいいわけですよ。

柳楽くんは、まだ中学生。
いきなりカンヌのレッドカーペットの上を歩いてしまったら、混乱もしますよね。




『星になった少年 Shining Boy & Little Randy』(2005)、『シュガー&スパイス 風味絶佳』(2006)、『包帯クラブ』(2007)、『戦慄迷宮3D THE SHOCK LABYRINTH』(2009)・・・と、出演作はつづくものの、興行・批評の両面で不振がつづく。

と同時に体調を崩し、拘束時間の長い仕事―つまり映画―を減らし始める。

2008年―病院に緊急搬送されたことから自殺未遂の報道が流れるも、後日、本人が否定。
2009年は実質的に休業状態となり、体重が80kgを超え「激太り」してしまう。

翌年、ダイエットをして元の体型に戻す。
このころから徐々に映画の仕事に復帰し始めます。

再生出来たのは、エリーさんの存在が大きかったみたいですね。
そりゃあね、あんな美人さんが家に居たら頑張っちゃうでしょうよ。


『すべては海になる』(2010)、『爆心 長崎の空』(2013)、『許されざる者』(2013)、『ゆるせない、逢いたい』(2013)、『クローズEXPLODE』(2014)、『闇金ウシジマくん Part2』(2014)、『最後の命』(2014)、『合葬』(2015)。

『ピンクとグレー』(2016)、『HK 変態仮面 アブノーマル・クライシス』(2016)、『ディストラクション・ベイビーズ』(2016)、そして最新作は蛭子能収が主演する『任侠野郎』(2016)。

公開控えの作品は、来年に発表が予定されている『銀魂』(2017)。


うん、キャリア的にはしばらく安心・・・いや訂正、もうずっと、大丈夫っぽい雰囲気が漂っていますよね。

絶好調でしょう。


次回のにっぽん男優列伝は、役所広司さんから。

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にっぽん男優列伝(336)モロ師岡

2016-08-17 00:10:00 | コラム
59年2月20日生まれ・57歳。
千葉出身。

公式サイト


90年代に入って「唐突に出てきた感」の強いモロ師岡(もろ・もろおか)さんは、
本名は師岡三智雄といって、
ヘンテコな芸名ではありますが、たけし軍団の一員でも、松尾スズキが名付け親でもありません。

でも語呂がよくって、すぐに覚えられるという利点がある、いい芸名だと思います。

ピンとこないひとでも、ムダにテンションの高い、このCMのおじさんといえば分かりますかね。




<経歴>

夫人は、女優の楠美津香。




ひとり芝居を得意としており、強引に括れば「イッセー尾形」系の俳優さん、、、ということでしょうか。
どちらにせよ北野武は「いい顔の無名俳優」を探すの上手だなって思います。

そう、このひとが一般的に知られるようになったのは『キッズ・リターン』(96)から、でしたもの。

有望株のボクサーに悪い遊び―酒、サボり―を教える、ハヤシ役でした。


78年―大学在学中に「劇団現代」のオーディションに合格し、入団。

ストリップ劇場でコントなどの下積みを経験する。
なるほど、いかにも武が好みそうなキャリアですね!!

実質的な映画俳優デビュー作は、95年の『紅~BENI~』。

翌年の『キッズ・リターン』における「居る居る! こういうオッサン!!」な演技が絶賛され、ここから売れっ子となっていきます。

『暗殺の街』(97)、
その場で瞬時に「脚本を書き変える」特殊な能力を持つバッキーさんを好演した『ラヂオの時間』(97)、
『ラブ&ポップ』(98)、『愛を乞うひと』(98)、『英二』(99)。

『ガラスの脳』(2000)、『殺し屋1』(2001)、『模倣犯』(2002)、『Dolls』(2002)、『女はバス停で服を着替えた』(2003)、『デビルマン』(2004)、『北の零年』(2005)、『フライ、ダディ、フライ』(2005)、『容疑者 室井慎次』(2005)、『同じ月を見ている』(2005)、『スマイル 聖夜の奇跡』(2007)、『百万円と苦虫女』(2008)、『フレフレ少女』(2008)、『劒岳 点の記』(2009)、『ゼロの焦点』(2009)。

個人的には、2010年の『悪人』の演技がベストだと思っています。

「バスの運転手」役で、樹木希林を励ますシーンに胸が熱くなりました。

ほんのちょっとしか出てきませんが、そういうキャラクターを丁寧に描く映画って素晴らしいですよね。


『桜田門外ノ変』(2010)、『あしたのジョー』(2011)、『アンフェア the answer』(2011)、『はやぶさ 遥かなる帰還』(2012)、『私の男』(2014)、『春を背負って』(2014)、『ふしぎな岬の物語』(2014)、『マエストロ!』(2015)、『再生 ~霊峰富士に抱かれて~』(2015)、『ジヌよさらば』(2015)、そして公開中の『シン・ゴジラ』(2016)。

最新作は、10月公開の『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』。




クセモノだらけの役者陣のなかで、最も目立っているんじゃないでしょうか。

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明日のコラムは・・・

3連続でいきます、
『にっぽん男優列伝(337)柳楽優弥』
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