Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(260)

2018-08-26 00:10:00 | コラム
ち「ず」→「ず」がこうさく

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「見事なミニチュアだ。子どものころから模型にハマっていてね、うんと精巧なものが大好きだった」

※映画『ダイ・ハード』(88)より、ハンス・グルーバーの台詞



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きのうとリンクする「自分はろくなもんじゃねぇ」系の話だが・・・

手先が「器用ではない」ことは、本コラムで散々いっている。

たとえば。
ガキのころ夢中になった「ガンプラ」(『機動戦士ガンダム』のプラモデル)は、いちどたりともマトモに完成させることが出来なかった。

大好きなモビルスーツのグフも完成まで漕ぎつけられなかったし、



ガウなんて上手なひとであれば5分も要さずに完成出来るほどパーツが少ないのに・・・



天才パイロットでも飛行不可能なもの? が出来上がってしまうのだった(恥)


そんなヤツだから。
当然、小学校の図画工作、中学校の技術の時間の成績はひじょうに悪かった。

絵だけは、そこそこ上手だったのだけれども。
平面ならマシ、立体になったらペケ―ということね。

みんな椅子とか作るじゃない?

同じキットを使用しているはずなのに、自分だけ「ちょっとちがうもの」が出来上がるっていう。

先生も、あんぐり。みたいなね!!


これはたしか、中学校2年時の作品。



「彫りもの」の授業、映画少年「なりたて」だった自分は、ポスターにもなっている『プラトーン』(86)の名シーン(エリアスが、万歳の格好をして死すところ)を彫った。

まぁ頑張ってはいるとは思うが、これが限界でしょう。

だからこのまま、「DIY」とは無縁の一生を送ると思う。


映画に出てくるプラモデルを、ひとつだけ。

冴えない、野暮ったい、なんとなく暗い・・・から友達も居ないクラスメイトの家に「なんとなく」遊びにいったら、彼はプラモデル作りの天才で、模型店よろしく戦車たちがディスプレイされていた―という展開の『どこまでもいこう』(99)。



主人公たちに「すげぇよ!!」と褒められたときに見せる彼の、とびきりの笑顔が眩しくて素敵で。

だからこそ、このあとに起こる事件が・・・。


それはそうと。
ぜんっぜん関係ないが、この映画に出てくる芳賀優里亜ちゃんの可憐さといったらない。




次回のしりとりは・・・
ずがこうさ「く」→「く」らっしゅ。

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明日のコラムは・・・

『映画のプロローグ10傑』
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シネマしりとり「薀蓄篇」(259)

2018-08-25 00:10:00 | コラム
ち「ち」→「ち」ず(地図)

むかし『話を聞かない男、地図が読めない女』という本がヒットしたが、



自分は「地図が読めない男」なのだった。

長距離チャリダーを自称しているクセしてね!
恥ずかしいが実際そうなのだからしょうがない。

方向感覚がない、つまり瞬時に東西南北を認識出来ない。
だから地図を目にしても「こっちが北だから…」と頭のなかで考えられず、大きな建物を目印にして動いてしまう。

ん?

簡易的にでいいから、地図は書けるのかって?

日本列島くらいなら。

・・・いやでも、東北・関東・東海までは自信がないこともないが、関西あたりから怪しい。


伊能忠敬は偉大なひとだが、自分からすれば、あのひとは真性の変人だね―と暴言を吐きつつ、映画の話にスライドしていこう。


映画と地図といえば、やはり冒険モノを想起する。

トップ画像の『グーニーズ』(85)とか、

『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(84)の、時間経過と場所移動の表現とか。




「ひと」を指していたと思ったら「場所」だった―という展開は、「亀田/亀嵩」がキーワードになる『砂の器』(74)。


どちらにせよ地図の読めない自分のようなチンカスが登場人物だったら、分かり易い地図が発見されたとしても、目的地まで通常の3倍くらいの時間を要してしまうことでしょう。

けっ。

どうせ、どうせだよ!!


大作映画ならでは、、、という気もするが、小規模な映画にも地図は登場する。

配達地域の地図に、よい客は「〇」、そうでない客に「×」をつけていく新聞奨学生の物語『十九歳の地図』(79)。



この地図はもちろん、主人公のこころのありようを転写しているわけだ。


少し変わった地図が登場するのは、『ツイン・ピークス』シリーズ(90~2017)。

夢に出てきたものと、壁画(?)を組み合わせて出来た地図で、これは場所だけでなく時間をも指していたと。



ドラマを観ていても、このエピソードがいちばん分からないし、そして致命的なことに、いちばん面白くなかったのだが笑


あすのしりとりは・・・
ち「ず」→「ず」がこうさく。

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明日のコラムは・・・

『シネマしりとり「薀蓄篇」(260)』
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ナレーションというテクニック

2018-08-24 00:10:00 | コラム
某日―。

久し振りに黒澤の『生きる』(52)を観返す。

通算で、8度目の鑑賞かな。


(画像は、gock221Bさんのブログより拝借)


1度目・2度目の鑑賞は、はっきり喋らない主人公・渡辺勘治(志村喬)にイライラし、
3度目あたりから構成の妙に感心、
そして今回の鑑賞では、冒頭の「距離感のある」ナレーションにたまげた。

その前日に、テレビ朝日のバラエティ番組『ナレーター有吉』(トップ画像)を観た影響もあったかもしれない。

………………………………………

これはこの物語の主人公の胃袋である。
幽門部に胃ガンの兆候が見えるが、本人はまだそれを知らない。

これがこの物語の主人公である。
しかしいま、この男について語るのは退屈なだけだ。
何故なら彼は時間を潰しているだけだからだ。

彼には生きた時間がない。
つまり彼は生きているとはいえないからである。

だめだ!
これでは話にならない。
これでは死骸も同然だ。

いや、実際この男は20年ほど前から死んでしまったのである。

その以前には少しは生きていた。少しは仕事をしようとしたこともある。

しかし今やそういう意欲や情熱は少しもない。
そんなものは役所の煩雑すぎる機構と、それが生み出す無意味な忙しさのなかで、まったくすり減らしてしまったのである。

忙しい。
まったく忙しい。

しかしこの男は本当は何もしていない。
この椅子を守ること以外は。

そしてこの世界では地位を守るためには何もしないのが一番いいのだ。

しかし一体これでいいのか。
一体これでいいのか!

この男が本気でそれを考え出すためには、この男の胃がもっと悪くなり、そしてもっと無駄な時間が積み上げられる必要がある。

………………………………………

脚本の授業において、ナレーションは「基本NG」とされている。

映像で物語ることこそ理想であり、説明的な台詞やナレーションの多用は「逃げ」でしかないと教わってきた。


それを敢えて用い、なおかつ映画的に成功させてしまった作品がいくつかある。

『生きる』がその頂点にあると確信しているが、以下の3本もナレーションの使いかたでハッとした傑作。

有名どころなので観ていないひとのほうが少ないと思うが、映画を学ぶ学生諸君、ぜひ参考にしたまえ。


(1)『グッドフェローズ』(90)

サウンドトラックとナレーションの洪水。

しかも主人公からヒロインに「ナレーションが受け継がれる、という反則行為」までぬけぬけとやってみせる。

(2)『マグノリア』(99)

「これがこの映画の、いちおうの理屈だよ」といわんばかりに、オープニングとエンディングに流れるナレーション。

ずるいな、とは思ったが、これによりこの映画の整合性は保たれた。



(3)『アメリカン・ビューティー』(99)

開巻早々「きょう、ボクは死ぬ」と、主人公のナレーション。

そう聞かされちゃったものだから、観客は「どうやって死ぬのかな…」という興味を持続させることになる。

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映画監督別10傑(25)デヴィッド・クローネンバーグ

2018-08-23 00:10:00 | コラム
~デヴィッド・クローネンバーグのキャリア10傑~

アメリカと地続きなのに犯罪率は高くなく、気候も関係しているのか、のんびりしているひとが多いと聞く。

鍵もかけずに就寝出来るくらいの国だから、その緊張感のなさが良質な映画誕生を阻んでいるのか―といったら、カナダの映画関係者・ファンは怒るかな。

そこそこ映画を知っているひとでも、カナダ出身の映画監督を挙げろといわれたら「ぎりぎり3人」が精一杯だと思う。

いまをときめくドゥニ・ヴィルヌーヴ、
知性的な映画を撮るアトム・エゴヤン、
そして、80年代からカナダ映画をひとりで背負っていたデヴィッド・クローネンバーグ。

現在75歳、昔と変わらず「映画的に、正しく狂っている」ひと。

独自の世界観と思想を貫き、寒々とした映像世界のなかで狂人たちの狂宴を描きつづけている。


頼もしいな、と思う。
ヴィルヌーヴはたしかに映画的センスに溢れた才人だと思うが、クローネンバーグの不在を埋めるほどの存在になっていないと思う。

だからあと10年は、踏ん張りつづけてくださいクローネンバーグさん!!


(1)『デッドゾーン』(83)

スティーブン・キング初期の傑作を映画化、予知能力を「持ってしまった」男の哀しき運命をクールに描く。

政治家による悪夢的将来を見てしまったとしたら、彼のように行動出来るかな自分は。



(2)『クラッシュ』(96)

オスカー受賞作「ではないほうの」、変態的な、世も末なほうの『クラッシュ』。



交通事故の衝撃でしか性的快楽を得られなくなった男女を描き、世の良識から大バッシングを受けた。

セックス描写のすべてがバック(後背位)というのも面白い。

(3)『戦慄の絆』(88)

一卵性双生児の産婦人科医兄弟、という設定もアレだが、とにもかくにもこのコスチュームが!!



(4)『イースタン・プロミス』(2007)

初期のクローネンバーグは人体破壊「の、ようなもの」がモチーフになっていて、ゆえに塚本晋也との類似性が語られたが、最近は「その、もう一歩先」を描くようになった。

(5)『ザ・フライ』(86)

最もポピュラーなクローネンバーグ作品。

それにしても主演のゴールドブラムは、ヘンクツな科学者が似合う。

(6)『ヴィデオドローム』(83)

物語そのものよりも、たとえばこうした異様な描写により、



カルト人気化していったクローネンバーグの初期代表作。

この世界観を推し進めていったのが、『イグジステンズ』(99)なのでしょう。

(7)『裸のランチ』(91)

奇人作家バロウズの代表作を、驚異のイマジネーションと天才的な美術造形で映像化。

当時、最高にエロかったジュディ・デイヴィスの魅力もつまった快作だと思う。

(8)『スキャナーズ』(81)

超能力者たちの戦争を描き、スマッシュヒットを記録。

頭部破裂シーンのエグさは、いま観てもなかなかのものかと。

(9)『ラビッド』(77)

ヒロインの脇の下からペニスみたいなものが生えてくるというトンデモ映画だが、主演がポルノで鍛えたマリリン・チェンバースなので、観ているひとは異様に多いのだとか。

(10)『マップ・トゥ・ザ・スターズ』(2014)

リンチもフィンチャーもそうだが、デヴィッドと名のつくアーティストはもれなく変人であるし、
こういうひとがハリウッドを描くと、基本面白い作品が出来上がる。



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『ナレーションというテクニック』
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お釣りがこない

2018-08-22 00:10:00 | コラム
愛飲煙草のセブンスターが値上げされ、10月より500円になる予定。



予定は未定といいたいが、ほぼ確定といっていいでしょう。


覚悟はしていたので衝撃はないが、ついにワンコインでお釣りゼロになるのか・・・と。

昔は煙草と缶コーヒーでお釣りもらえたのに、時代だぜ。


禁煙する?

本数を減らす?

銘柄を変える?


どれも、否。


これからもセブンスター愛を貫くし、本数も減らさない。

ひとつくらい不健康なものを取り入れたほうが、生きているという実感がわくでしょうよ。

とはいっても、副流煙やマナーの問題には「もちろん」気をつけるが。


10月に大事な呑み会があって、自分はそこの幹事に任命されている。

12人のメンバーのうち、喫煙者は8人。
この8人が気兼ねなく吸える環境を用意しながら、非喫煙者の4人が不快にならないようにしなければならない。

幹事の、腕の見せ所ってわけですよ。


じつはこれって、体罰や熱中症の問題と根本は同じで。

昔の感覚のままではいけないってこと。

「俺らの時代は―」って、いうじゃない? いいたいじゃない?

でも、もう21世紀なんだし。


表現における煙草の規制は断固として反対せなばならぬが、
日常生活においては、ある程度の規制はやむなし、、、と考えているヘビーなスモーカーなのでした。


※最後のkissは、煙草のflavorがした…ってさ~



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明日のコラムは・・・

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