~デヴィッド・クローネンバーグのキャリア10傑~
アメリカと地続きなのに犯罪率は高くなく、気候も関係しているのか、のんびりしているひとが多いと聞く。
鍵もかけずに就寝出来るくらいの国だから、その緊張感のなさが良質な映画誕生を阻んでいるのか―といったら、カナダの映画関係者・ファンは怒るかな。
そこそこ映画を知っているひとでも、カナダ出身の映画監督を挙げろといわれたら「ぎりぎり3人」が精一杯だと思う。
いまをときめくドゥニ・ヴィルヌーヴ、
知性的な映画を撮るアトム・エゴヤン、
そして、80年代からカナダ映画をひとりで背負っていたデヴィッド・クローネンバーグ。
現在75歳、昔と変わらず「映画的に、正しく狂っている」ひと。
独自の世界観と思想を貫き、寒々とした映像世界のなかで狂人たちの狂宴を描きつづけている。
頼もしいな、と思う。
ヴィルヌーヴはたしかに映画的センスに溢れた才人だと思うが、クローネンバーグの不在を埋めるほどの存在になっていないと思う。
だからあと10年は、踏ん張りつづけてくださいクローネンバーグさん!!
(1)『デッドゾーン』(83)
スティーブン・キング初期の傑作を映画化、予知能力を「持ってしまった」男の哀しき運命をクールに描く。
政治家による悪夢的将来を見てしまったとしたら、彼のように行動出来るかな自分は。
(2)『クラッシュ』(96)
オスカー受賞作「ではないほうの」、変態的な、世も末なほうの『クラッシュ』。
交通事故の衝撃でしか性的快楽を得られなくなった男女を描き、世の良識から大バッシングを受けた。
セックス描写のすべてがバック(後背位)というのも面白い。
(3)『戦慄の絆』(88)
一卵性双生児の産婦人科医兄弟、という設定もアレだが、とにもかくにもこのコスチュームが!!
(4)『イースタン・プロミス』(2007)
初期のクローネンバーグは人体破壊「の、ようなもの」がモチーフになっていて、ゆえに塚本晋也との類似性が語られたが、最近は「その、もう一歩先」を描くようになった。
(5)『ザ・フライ』(86)
最もポピュラーなクローネンバーグ作品。
それにしても主演のゴールドブラムは、ヘンクツな科学者が似合う。
(6)『ヴィデオドローム』(83)
物語そのものよりも、たとえばこうした異様な描写により、
カルト人気化していったクローネンバーグの初期代表作。
この世界観を推し進めていったのが、『イグジステンズ』(99)なのでしょう。
(7)『裸のランチ』(91)
奇人作家バロウズの代表作を、驚異のイマジネーションと天才的な美術造形で映像化。
当時、最高にエロかったジュディ・デイヴィスの魅力もつまった快作だと思う。
(8)『スキャナーズ』(81)
超能力者たちの戦争を描き、スマッシュヒットを記録。
頭部破裂シーンのエグさは、いま観てもなかなかのものかと。
(9)『ラビッド』(77)
ヒロインの脇の下からペニスみたいなものが生えてくるというトンデモ映画だが、主演がポルノで鍛えたマリリン・チェンバースなので、観ているひとは異様に多いのだとか。
(10)『マップ・トゥ・ザ・スターズ』(2014)
リンチもフィンチャーもそうだが、デヴィッドと名のつくアーティストはもれなく変人であるし、
こういうひとがハリウッドを描くと、基本面白い作品が出来上がる。
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『ナレーションというテクニック』
アメリカと地続きなのに犯罪率は高くなく、気候も関係しているのか、のんびりしているひとが多いと聞く。
鍵もかけずに就寝出来るくらいの国だから、その緊張感のなさが良質な映画誕生を阻んでいるのか―といったら、カナダの映画関係者・ファンは怒るかな。
そこそこ映画を知っているひとでも、カナダ出身の映画監督を挙げろといわれたら「ぎりぎり3人」が精一杯だと思う。
いまをときめくドゥニ・ヴィルヌーヴ、
知性的な映画を撮るアトム・エゴヤン、
そして、80年代からカナダ映画をひとりで背負っていたデヴィッド・クローネンバーグ。
現在75歳、昔と変わらず「映画的に、正しく狂っている」ひと。
独自の世界観と思想を貫き、寒々とした映像世界のなかで狂人たちの狂宴を描きつづけている。
頼もしいな、と思う。
ヴィルヌーヴはたしかに映画的センスに溢れた才人だと思うが、クローネンバーグの不在を埋めるほどの存在になっていないと思う。
だからあと10年は、踏ん張りつづけてくださいクローネンバーグさん!!
(1)『デッドゾーン』(83)
スティーブン・キング初期の傑作を映画化、予知能力を「持ってしまった」男の哀しき運命をクールに描く。
政治家による悪夢的将来を見てしまったとしたら、彼のように行動出来るかな自分は。
(2)『クラッシュ』(96)
オスカー受賞作「ではないほうの」、変態的な、世も末なほうの『クラッシュ』。
交通事故の衝撃でしか性的快楽を得られなくなった男女を描き、世の良識から大バッシングを受けた。
セックス描写のすべてがバック(後背位)というのも面白い。
(3)『戦慄の絆』(88)
一卵性双生児の産婦人科医兄弟、という設定もアレだが、とにもかくにもこのコスチュームが!!
(4)『イースタン・プロミス』(2007)
初期のクローネンバーグは人体破壊「の、ようなもの」がモチーフになっていて、ゆえに塚本晋也との類似性が語られたが、最近は「その、もう一歩先」を描くようになった。
(5)『ザ・フライ』(86)
最もポピュラーなクローネンバーグ作品。
それにしても主演のゴールドブラムは、ヘンクツな科学者が似合う。
(6)『ヴィデオドローム』(83)
物語そのものよりも、たとえばこうした異様な描写により、
カルト人気化していったクローネンバーグの初期代表作。
この世界観を推し進めていったのが、『イグジステンズ』(99)なのでしょう。
(7)『裸のランチ』(91)
奇人作家バロウズの代表作を、驚異のイマジネーションと天才的な美術造形で映像化。
当時、最高にエロかったジュディ・デイヴィスの魅力もつまった快作だと思う。
(8)『スキャナーズ』(81)
超能力者たちの戦争を描き、スマッシュヒットを記録。
頭部破裂シーンのエグさは、いま観てもなかなかのものかと。
(9)『ラビッド』(77)
ヒロインの脇の下からペニスみたいなものが生えてくるというトンデモ映画だが、主演がポルノで鍛えたマリリン・チェンバースなので、観ているひとは異様に多いのだとか。
(10)『マップ・トゥ・ザ・スターズ』(2014)
リンチもフィンチャーもそうだが、デヴィッドと名のつくアーティストはもれなく変人であるし、
こういうひとがハリウッドを描くと、基本面白い作品が出来上がる。
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明日のコラムは・・・
『ナレーションというテクニック』