~デヴィッド・リンチのキャリア10傑~
高橋ヨシキ「―リンチのすごいところは、いくつになっても美大生の卒業制作みたいなことをつづけているところです。それでいて、しっかりと支持を受けている。なぜ彼だけ、そんなことが許されているのかっていうと、アート嗜好・志向が強いいっぽうで、しっかりとポピュラーな商品になっているから、なんです」
ヨシキさんがすべていってくれているので、補足説明は一切いらない感じ笑
70歳を超えているアバンギャルドなおじいちゃんの作品は、ノンクレジットで観たとしたら美大生作と見紛うほど前衛的なものばかり。
それでいて。
ヨシキさんのいうとおり、そこにポピュラーな要素が入っていたからこそ『ツイン・ピークス』の「前シリーズ」は社会現象にまでなったのだと思う。
そうした「遊び」を一切捨てた最新シリーズは、残念ながら社会現象を起こしそうにないけれども、その本気度にマニアは熱狂し、感動さえした。
もういいトシなんだから、好き勝手やっていてもいい―というこっちの思いは、スコセッシに対するそれと同じ。
ただスコセッシとはちがい、リンチは昔も今も好き勝手やっているだけなのかもしれない。
「ずーーーっと」好き勝手やっているだけなのに、映画監督として生き残っている―ヨシキさんのいっていることを別のことばに言い換えただけだが、そここそが、リンチの最大の魅力なのだよね。
(1)『マルホランド・ドライブ』(2001)
ハリウッドの裏側を描いているようで、そうに非ず。
おんなふたりの奇妙な冒険を通して見えてくるのは、意外や意外、リンチが本気で愛を信じているところだった。
(2)『ツイン・ピークス』(89~2017)
米産のドラマをネクストレベルに引き上げたと評される、革命的なドラマシリーズ。
野心に満ち溢れた最新シリーズを観終えて思う、また創ってほしいと。
(たぶん、続編はもうないけど)
(3)『ワイルド・アット・ハート』(90)
蛇皮のジャケットに身を包み、プレスリーを自己陶酔気味に歌う男が、真の愛をつかむまでのファンタジー。
この映画を観て爆笑出来たひととは、たぶん友達になれると思う。
(4)『イレイザーヘッド』(76)
記念すべき長編デビュー作。
自分も奇形っぽいのに、生まれてきた子どもが奇形児のため、うろたえる男の物語。
(5)『ブルーベルベット』(86)
美醜が渾然一体となって展開される、リンチワールドの完成形。
これは、そのテーマがはっきりと映し出されるオープニング動画。
(6)『ロスト・ハイウェイ』(97)
近年のリンチのこだわりは、ドッペルゲンガー「的、なるもの」。
その出発点が、この映画だった。
(7)『ストレイト・ストーリー』(99)
おじいちゃんとトラクターによる、ロードムービー。
誰もがいうことだが。
リンチ映画史上、最もシンプルでストレイトな作品。
(8)『エレファント・マン』(80)
実在したジョン・メリックの生涯を、童話的かつホラー的に描き世界的なヒットを記録した。
「彼」を初めて見たアンソニー・ホプキンスの涙に、やられた。
(9)『インランド・エンパイア』(2006)
リンチはリンチ、分からない。
でも退屈ではないんだな、これが。
(10)『デューン/砂の惑星』(84)
長大な人気小説を映画化、一般的には失敗作とされているし、実際よく分からない映画だが、スティングは好演しているし、デタラメにも思える美術造形が目に楽しい、愛嬌のあるSFなんじゃないかなぁ。
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『まきフェス』
高橋ヨシキ「―リンチのすごいところは、いくつになっても美大生の卒業制作みたいなことをつづけているところです。それでいて、しっかりと支持を受けている。なぜ彼だけ、そんなことが許されているのかっていうと、アート嗜好・志向が強いいっぽうで、しっかりとポピュラーな商品になっているから、なんです」
ヨシキさんがすべていってくれているので、補足説明は一切いらない感じ笑
70歳を超えているアバンギャルドなおじいちゃんの作品は、ノンクレジットで観たとしたら美大生作と見紛うほど前衛的なものばかり。
それでいて。
ヨシキさんのいうとおり、そこにポピュラーな要素が入っていたからこそ『ツイン・ピークス』の「前シリーズ」は社会現象にまでなったのだと思う。
そうした「遊び」を一切捨てた最新シリーズは、残念ながら社会現象を起こしそうにないけれども、その本気度にマニアは熱狂し、感動さえした。
もういいトシなんだから、好き勝手やっていてもいい―というこっちの思いは、スコセッシに対するそれと同じ。
ただスコセッシとはちがい、リンチは昔も今も好き勝手やっているだけなのかもしれない。
「ずーーーっと」好き勝手やっているだけなのに、映画監督として生き残っている―ヨシキさんのいっていることを別のことばに言い換えただけだが、そここそが、リンチの最大の魅力なのだよね。
(1)『マルホランド・ドライブ』(2001)
ハリウッドの裏側を描いているようで、そうに非ず。
おんなふたりの奇妙な冒険を通して見えてくるのは、意外や意外、リンチが本気で愛を信じているところだった。
(2)『ツイン・ピークス』(89~2017)
米産のドラマをネクストレベルに引き上げたと評される、革命的なドラマシリーズ。
野心に満ち溢れた最新シリーズを観終えて思う、また創ってほしいと。
(たぶん、続編はもうないけど)
(3)『ワイルド・アット・ハート』(90)
蛇皮のジャケットに身を包み、プレスリーを自己陶酔気味に歌う男が、真の愛をつかむまでのファンタジー。
この映画を観て爆笑出来たひととは、たぶん友達になれると思う。
(4)『イレイザーヘッド』(76)
記念すべき長編デビュー作。
自分も奇形っぽいのに、生まれてきた子どもが奇形児のため、うろたえる男の物語。
(5)『ブルーベルベット』(86)
美醜が渾然一体となって展開される、リンチワールドの完成形。
これは、そのテーマがはっきりと映し出されるオープニング動画。
(6)『ロスト・ハイウェイ』(97)
近年のリンチのこだわりは、ドッペルゲンガー「的、なるもの」。
その出発点が、この映画だった。
(7)『ストレイト・ストーリー』(99)
おじいちゃんとトラクターによる、ロードムービー。
誰もがいうことだが。
リンチ映画史上、最もシンプルでストレイトな作品。
(8)『エレファント・マン』(80)
実在したジョン・メリックの生涯を、童話的かつホラー的に描き世界的なヒットを記録した。
「彼」を初めて見たアンソニー・ホプキンスの涙に、やられた。
(9)『インランド・エンパイア』(2006)
リンチはリンチ、分からない。
でも退屈ではないんだな、これが。
(10)『デューン/砂の惑星』(84)
長大な人気小説を映画化、一般的には失敗作とされているし、実際よく分からない映画だが、スティングは好演しているし、デタラメにも思える美術造形が目に楽しい、愛嬌のあるSFなんじゃないかなぁ。
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明日のコラムは・・・
『まきフェス』