東京大会は、16日、第一、第二会場と2会場で行われました。
私は第二会場をずっと観戦しました。
出場は、開成高校、海城高校、東京家政学院、明治大学付中野高校(正式には高等学校)。
開成、海城は常連の男子校。開成は、全国大会で何度も優勝していて「絶対王者」とまで言われたこともあります。
中学から俳句部があり、卒業生は東大俳句会に多くいて、日頃の鍛錬、句作りの数ではたぶん追従を許さないでしょう。
でもわからないよ~。と思いながら観ていたら、やっぱり。
最後の最後、最終戦の大将戦まで勝者がどっちになるかわからない展開でした。
優勝は、東京家政学院。開成を破りました。
最優秀句は、東京家政の
鬼薊投げて他郷の空を穿つ
いい句だ。穿つという言葉が出るの、すごいと思います。鬼薊は外来種で、ひどい棘のある植物。今、ものすごい勢いで繁殖しています。審査員からは、「今世界で起きている出来事ともリンクする」との評でした。
東京家政は、他にも「ゾンビ」「不死鳥」「腋臭」と、普通句材にならないような言葉を持ってきます。
季語を乗り越えようという意気込み と評した審査員もいました。それゆえ、ちょっとこれはついていけないなという句もいくつかありました。「この蝌蚪には季感はないんです」と自分達の句に言う場面も。蝌蚪は、「かと」。おたまじゃくしのことです。家政学院からは他校に対して「ベタすぎませんか?」という意見の出る場面もありました。
対する開成高校は、季語の本意を大事にしている。手堅い句をしっかり出してきます。ちゃんと詩情もあります。
彼らは、追われる身。その辛さを乗り越えて毎年出場し、破れたチームも、投句審査で勝ち上がり全国へ行くチャンスが残っています。きっと選ばれて、俳句甲子園を盛り上げてくれてることに敬意を表したいです。全国でもきっと頑張るでしょう。
第一会場会場の優勝は、学習院女子。今回女子パワー炸裂でした。こちらも、海城のもう1チーム、立教池袋という常連男子校を突破。
家政学院、頑張っていただきたい。それにしても全員俳句を初めて6か月というのには驚きました。
明大付属中野は、全員一年生。他校に比べ、ディベートの訓練をしていないのでしょう。その1点の鑑賞点の差で敗れたケースがあり残念でした。ぜひ、来年リベンジしていただきたい。
海城高校は、私が俳句甲子園を観戦しはじめてから、個人的にずっと応援している学校です。なんだろう、とても楽しんでいるのが伝わってくるんです。ただ、今回私が観戦した回では、その楽しんでいる感、読み手の記憶にとどまる句がなかった印象でした。ただのミーハーおばさんの戯れ言と思ってください(といっても、彼らがこれを見ることはないか笑)。
こちらで、前半戦の優勝校(全国出場校)と、最優秀句を確認できます。赤をクリックすると、サイトに飛びます。
当日観戦し、私が好きだった句。
のどけさに塔の傾くけはいかな 開成
夜をつかむ赤子や蝌蚪の跳ねる指 東京家政 夜をつかむ赤子や蝌蚪のとび跳ねる だといいのに・・。
あおじろき雨の街灯蝌蚪の国 開成
掌にどの蝌蚪もみなあたらしく 開成
この闇の欠片のような蝌蚪を狩る 東京家政
憂鬱な母を見捨てて蝌蚪を愛す 東京家政
花薊風は遠きを来て強し 開成
ひらがなをあざみもまとふみやこかな 東京家政
審査員の先生の言葉としては、「幻想的なものを表現するなら、それを支えるリアリティがほしい」が、まさに! でした。
この土日は後半の地方大会があります。私の出身校は、宮城の多賀城大会に出場、観に行きたい(行けないけど)。頑張ってください。
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