たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

みなかみの夜後沢は何となく違和感漂う沢だった。大滝の後は照葉峡のミニ沢歩き。

2021年08月05日 | 近所じゃない群馬県の山
◎2021年8月1日(日)

 昨日の土曜日に行くつもりだったが、起き抜けから気分がすぐれず、天気予報ではみなかみ方面は午後から雷雨の予報。明日は雨無し。犬の散歩をしながらに行くかどうか決めることにした。結局、今日はやめて翌日に延期。散歩から帰って、エアコンを入れ、朝から缶チューを飲んで寝直した。
 そして今日の予報は昨日と同じだった。午後から雨。もういいやと犬の散歩は妻に任せ、さっさと出かけた。気分は今日もすぐれない。おそらく、連日の寝不足で睡眠剤を飲んでいるせいだろう。無理して出かけたようなものだが、結果として、帰ってからNHKでオリンピックを見ていると、夕方にみなかみ、沼田地域には洪水警報が出され、かろうじて助かったような気がしないでもなかった。
 行き先はたいしたところでもない。みなかみの藤原ダムに入り込む夜後沢の大滝。ネタ元は上毛新聞社刊の『ぐんま滝めぐり90選』。ネットで調べると、往復一時間もあれば余りありで行けるらしく、実は前回の白鷺の滝の後に行くつもりでいたが、あの日の暑さでは「次は」限界だった。
 ネット記事では、この夜後沢大滝の記事は少ない。沢沿いの踏み跡をたどればいいらしい。ただ、途中で引き返した記事もあり、さほどに魅力もないのか、もしくは道筋がわからずにあきらめたのか。それでいて、大滝の上はナメが続いているといった記事もあった。もっとも、これは沢屋さんの記事で、ノーロープでは滝の上には出られないようだ。そんな記事は参考程度で済ませたが、果たして、夜後沢に入ってみれば、どうしようもなく陰気が漂う沢で、途中でやめた方の気持ちもわからないでもなかった。まさに「夜後沢」の名から出るイメージに近いものを感じた。

(バス停から夜後沢橋)


(橋からちらりと小滝)


(ここから突っ込んでみた)


(最初はこうだった。足元に注意をしないと道は見つけられない)


 夜後沢バス停の路肩は広くなっていて、ここに車を置いた。日陰になっていてちょうどよい。今日は沢歩きというよりも沢沿いの道歩きといった感じのようだから、沢靴はやめてハイパーV忍にし、ヒル除けにスパッツを巻き、さらにヒル下がりのジョニーをかけまくった。ヤブっぽいだろうと、ヘルメットは最初からかぶった。この間、3匹ほどのアブにしつこくまとわりつかれた。
 夜後沢橋から眺める沢には小滝が見え、変化がありそうで、また水量もあって期待した。まずそれを見ておきたかったが、橋が高いので小滝は後にしよう。大滝には標識の類いはまったくない。どこから入ればいいのかわからず、とにかく草ヤブに突っ込んだら、5mほどでうっすらとした踏み跡が見え、すぐに明瞭な小道になった。あまり歩かれてはいないようで、昨夜は雨だったのか、地面はかなり水気が多い。第一印象は強い臭いだった。沢でこんな臭いは初めてだ。生臭くもあり、アセチレンガスの臭いにも近い。この臭いは大滝まで続いたから、沢から発する臭いなのだろう。

(こんな滝でも間近に見たくて下ってみる)


(水量のある小滝。例外なく滝つぼは深い)


(臭いさえなければ、きれいな沢の印象も残ったろうが)


 小滝が結構ある。ところどころで間近に見ようと沢に降りる。下る斜面はかなりズルズルだったが、それなりに見る価値はあった。きれいだ。ただ、沢全体が、木漏れ日が差し込みながらも陰鬱な感じがする。これが第二印象になる。一々、沢に下らずとも沢通しで行けばいいだろうが、そういうわけにはいかない沢で、狭隘、強い流れ、淀みは深く、岩は手がかりもなくツルツルで見るからに滑りそう。ここで転落死でもしたら、浮いて岩にひっかかるか沈んだままになるだろう。だから、その都度に沢に降りるのだが、それをやる人は多いようで、あやふやながらも下る踏み跡がいくつかあった。
 見応えのある小滝が増えてきた。水量と勢いがあって、さらに沢が薄暗いから、シャッタースピードを調整せずとも、普通モードできれいな滝に写る。ただその分、ピンボケが多くなる。このピンボケは、実際にカメラが動いているからということもある。沢沿いに歩くようになってから程なく、何か落ち着かない雰囲気、いきなり何かが出てきそうな気配が漂っていて、カメラを構えても落ち着かないのだ。
 シカの類かと思うが、道の真ん中に白骨が散らばっていた。背骨と手足。頭は見あたらない。こういう、持ち帰りを趣味にする人もいて、一週間前に高木の家にトウモロコシをもらいに行ったら、シカの頭骨が庭に転がっていたのには驚いた。彼の三男の趣味だそうな。それはともかく、一か月前に来ていたら、おそらく腐臭を放った遺体を見ることになっただろうが、この沢の雰囲気からして、こんなのが転がっていても違和感はなく、むしろここの風景に同化している感じさえする。

(小滝の連瀑)


(アングルを変えて)


(きれいな滝が続く)


(同じく)


 こぢんまりした連瀑帯が続くようになると、平坦な道も傾斜が幾分増した。前述のように標識やらテープもないので、頼れるのは目の前に続く小道とGPSでの大滝の位置のみ。確実に近づいてはいる。その道も次第にあちこちに飛ぶようになった。基本は沢沿いに行くしかない。

(これを見る限りは道の存在を感じないが、実際には下にはっきり見えている)


(奥に滝が見えるが、このまま沢伝いに行きたくとも行けない)


(巻くしかない)


(大滝かと思った7、8m滝。光が写り込んでしまった)


(滝つぼ)


 道が二分した。沢に向かう右と、巻き道なのか急斜面の左。右に下ると沢に降り立ち、正面に7、8mの直瀑があった。これが大滝かと思ったが、GPSの大滝ポイントのまだ手前。違う。ただ、見応えはある。沢に少しだけ入ったが、滝つぼは深いのですぐに引き返す。言い訳だが、この滝の写真撮りには失敗した。後で見ると、薄暗い谷間に射し込む陽射しが邪魔をしていた。

(これを攀じ登ろうとして失敗)


(これは巻き道だが、これとて安全とは思えない)


 さて、ここからどうするのか。沢伝いにここから先には進めない。おそらく、さっきの分岐がやはり巻き道のようなので一旦戻って左に行く。急斜面になっていた。大きく巻いていたので、それが面倒で、目の前の岩っぽいところを直登しようとしたら、つかんだ枝があっさり折れてズルズルと腹這いに滑り落ちた。おかげで、シャツとズボンは泥んこになった。急がば回れはしかりだ。まぁ、大事に至る前にくい止めたので沢への転落だけはまぬがれて幸いだったが。
 きわどい巻き道は道というよりもすでに踏み跡状態に近くなっている。まさか、さっきの滝が大滝と思って帰る人もいるのだろうか。

(2m小滝に寄り道)


 高台に出ると、右下に2mもないような小滝。きれいだったので下って見る。この滝つぼもまた深い。軽く腰は超えるし、滝つぼには陽が入らず、悲哀にも似た気配が漂っている。沢通しで大滝まで行くのは、恐い物知らずのベテランの沢屋さんくらいだろう。ここに下る斜面で、熊の大きな糞を見た。雨で形は崩れかかってはいるが、新しいようで、この沢の不気味にも近い雰囲気に拍車がかかった。大滝を見たら、さっさと引き上げよう。晴れていなかったら、もうあきらめて帰るところだ。

(ここを歩いて行ければいいが…。やはり無理)


(先はこうなっていた)


 さも渓流といったポイントを通過。このまま沢歩きで行けやしないかと思ったが、大きな岩が立ちはだかり、ここもまた左右を巻くにしても通過するには危険が伴いそうだ。正直、これで万事休すかと残念無念な気分になった。何気なく帰り道を見ると、その上に赤テープが見えた。これまで、そんな目印は見なかったから錯覚かと思いながらも戻ると、何だ、巻きの踏み跡がテープの方に続いているじゃないか。緊張しているせいか、視野も狭くなって注意力が散漫になっている。

(ロープがあって助かった)


 あったのはテープばかりではなかった。その先には、急な岩場にしっかりとロープが垂れている。大分古そうだったので、大丈夫かと引っ張ってみたら問題なし。ありがたく使わせてもらう。というか、ここはロープがなかったら、かなり往生するだろう。

(あれが大滝じゃないか。踏み跡はここを下り、先には続いていなかったし。ただ、下れるのかね)


(三段滝だとすれば、これが下段滝になる。下には行けなかった。無理をすれば行けたかも)


(アップで)


(二段滝だとすれば、これが下段滝になる。上段の滝が小さく見えている。上段と下段の間にカーブがある)


(下段滝の滝つぼ)


 登り切ると、右下に二段、いや、正確には三段だろう滝が見えた。「だろう」としたのは、中段滝と下段滝の距離が離れているからで、これが大滝に間違いはないはずだ。ちなみに『滝めぐり90選』には「上段20m、下段7m、落差約27m」とある。こんな高いところから降りて行けるのかと気になったが、踏み跡に合わせて下ると、三段目の上、つまり『滝めぐり』の表記に合わせれば下段の正面に出た。下段の上はカーブしていて、その隙間の先に上段の一部が覗いている。

(また巻いて上段の滝へ。ここで全容が見えた)


(上段の滝)


(あまり変化はないが縦にして)


(落ち口部。確かに、先はナメになっている気配がある)


(水の色が茶がかっているのが気になった。この時は気づいていない)


(まぁ、ヒョングリといえばそうかも程度だが)


(下段滝を上から)


(また下段滝に戻って)


 清らかな流れだ。勢い、水量、コケ、…と満足ではあるが、下段は7mどころかせいぜい4、5mくらいが表記には限度だろう。ここもまた滝つぼは例外なく深い。さて肝心の上段だ。やはり巻きで、元の踏み跡に戻って、かろうじて残っている踏み跡を慎重に下る。何とか上段の滝前に出られた。20m表現もかなりきつい。自分の目測では、サバ読みでも10mはないかと思う。だから、これが大滝でよろしかったのでしょうかとなるが、『滝めぐり90選』の滝掲載写真は下段メインで、奥に上段が少し見えているだけだが、下段の滝の感じは酷似とまではいかないが近いものがあったから、これが夜後沢大滝の上段の滝かと思うが確信はない。どうも『90選』の掲載写真は違うのではないかとふとかすめた。
 落ち口真下にコブの流れがあって、よく見るとヒョングリに見えなくもない。ネット記事の写真には、このヒョングリが出ていたから大滝に間違いはあるまい。ここを上に登りたい衝動にかられた。ナメ床の沢を歩きたい。だが、両岸が狭隘な岩ではどうにもならないし、ここまで何度も見つけて頼れた巻きの踏み跡もここで途絶えていて、先は滝を直登するしかない。いや、左から巻きで行けなくもなさそうだが、高度感で落ち着くまい。おそらくは何度やっても滝つぼにドボンだろう。滝つぼが深いから死ぬことはないだろうが。ただ、難渋して越え、ナメを楽しんだとして、その先はどうするのか。まさか、ここに戻って下ることはできない。地図もないのでは戻りようもない。沢屋さんの記事を見直そうとしたら、圏外でダメ。もうここで十分だろう。危ない冗談はやめておこう。とここまで記したはよいが、実際には高巻きでも上に出られる手段はあったかもしれないと思う。だが、ナメが続いていたとしても、どうもこの臭いでは、自分にはおそらくは楽しめまい。本来の目的が滝見だったし、本気にルート探しをする気は起きなかった。
 もう一度下段の滝から眺め、さらにその先の自分が思った三段下まで行こうと思ったが、容易ではなさそうなので、ここで終わりにして帰路に就く。満足感はあった。目標は達したのだからさっさと帰ろう。この沢から早いとこ離れたい。臆病な自分には、ストレートな言葉では、魔物が棲んでいそうで、単に相性が悪そうな沢というだけのことだったか。まして、熊の糞も見たことだし。

(下りましょう)


(こちらから見ると道ははっきりしている。沢は左)


(下りで1)


(下りで2)


(下りで3)


(下りで4)


(下りで5)


(下りで6。さっきも出したか)


(下りで7)


 さっさと下る。道を間違えることはなかった。この時点で途中で見かけた7、8m直瀑の写りが悪かったことを知っていたら改めて寄ったろうが、この時点では気づいていない。素通りになった。されど、道沿いのきれいな小滝にはつい目が向いてしまい、立ち止まってしまう。

(ここで車道が見えてほっとした)


(橋からアップで。近くで見たいがぐったりしている)


(速い方なら45分くらいで往復できるかも)


 前方に車道が見えた。ほっとした。大げさただが、心の奥底に魔界に入り込んだかのようなおどろおどろしさが少しばかりあった。乾いた切り株を見つけて休んだ。橋の上から見えた小滝に行く気はすでにない。
 駐車地に到着。たかだか1時間20分。ぐったりした。この疲労感はどこから来たのか。それは明白。夜後沢は一人で歩くには不気味な沢だった。さりとて不快な沢ではなかった。何とも不可解な沢。幸いにもヤマビルにやられることはなかった。

 大滝だけで終わるつもりはなかった。見たことのない洞元の滝を見て、照葉峡の沢歩きもするつもりでいた。沢歩きの方はこれでは無理のようだ。せめて洞元の滝くらいは観光滝だし見ておこう。

(付録。『ぐんま滝めぐり90選』に載っている夜後沢大滝の写真を許可無く掲載。下段だとしても、何か違うんだよなぁ)


※今回行った「夜後沢大滝」だが、自分が思い込んでいる大滝と、他の方々の記録にある大滝の姿が微妙に違っている。ここに至って、果たして自分は「夜後沢大滝」を見たのかどうか気になり出している。GPSのログでは地図上の「大滝」に確実に達しているのだが。実は、他の方々のアップされた記事にある滝の写真もまた、それぞれに違ったりしている。水量の関係なのだろうか。滝の姿がころころ変わるわけもないと思うが。

【洞元の滝】
 照葉峡に至る県道の入口にある滝が洞元の滝。洞元荘のすぐ近くにあるとは知らなかった。この洞元荘にはかなり以前に高木と泊まったことがある。混浴があり、川に面した露天風呂もあった。夕食後に高木の姿が消え、しばらくして、浴衣の尻を泥だらけにして戻って来たことを覚えている。何をしに行ったのかは想像がつく。その洞元荘はどうしたことか、ロープで閉鎖されている。うかつな表現は使えないが、閉鎖でもしたのだろうか。人の気配はなく、ロープの先には工事でもしているかのような気配があった。閉鎖されたとしたら、やはりコロナの影響も一つにはあるだろう。 ※後で調べると、2014年に「閉館」となったようで、コロナ禍とはまったく関係なかった。
 この洞元の滝、かなりの迫力はあるのだが、全容が正面から見られない。丸い大岩があり、その上から見下ろすのが限度だ。この丸岩の下に行けば、少しは正面寄りからのポイントになるが、ハシゴでもあればともかく、降りることができない。写真を見ると、何だかよくわからない滝のような風景写真ばかりだった。やはり、滝は下から眺めるものだ。上からでは滝の姿も想像できやしない。

(タヌキのお宿にはロープが張られて立入禁止になっていた)


(洞元の滝1)


(洞元の滝2)


(洞元の滝3)


(洞元の滝4)


(洞元の滝5)


 これで満足できるわけもなく、夜後沢のほとぼりも冷めてきたので、ここまで来たなら、予定通りに照葉峡に向かう。夜後沢ではハイパーVを少し水に濡らし、坂で泥にまみれただけだったので、せめてヒザ下を水に入れたいところだ。


【照葉峡─山彦の滝から翡翠の滝まで】
 照葉峡の存在は昨年まで知らなかった。照葉峡のある湯ノ小屋沢川に注ぐ大沢の大瀑を見に行こうとした際、紅葉のメッカであることを知った。案の定、照葉峡にはカメラマンや見物客がやたらといた。当日は10月25日で、まさに紅葉盛りの頃だったが、沢歩きの後は身体も冷え、気温も低かったので、照葉峡の紅葉はドライブしながらで済ませてしまい、今年は紅葉を楽しみに行こうと思っていたところだった。
 そんな折、照葉峡は沢歩きを楽しめないものかとネットで調べたら、山彦の滝と翡翠の滝の間を夏に歩いた記事を見つけた。沢歩きをする人もいるんだなと、夜後沢大滝の後に照葉峡でチョイ沢歩きをするつもりでいた。
 さすがに紅葉の時期と異なり、照葉峡を通る車はまばら。探索歩きをする人もいない。山彦の滝の少し上流の日陰の空地に車を駐めた。ドアを開けた瞬間にアブが寄ってきた。足は白鷺の滝の時に履いた釣り用の沢靴にする。特に理由はなく、釣り用なら無難と思っただけのこと。二つの滝の区間を歩けばそれでいいやと思っていたから、参考にしたネット記事はよく読みもしなかった。これが後で後悔することになる。

(山彦の滝の標識)


(斜面を下って山彦の滝)


(真横から)


(上から)


(ここだけはナメだった)


 車道を下って行くと、「山彦の滝」の標識があった。滝はチラリと見えている。ガードレールを越えて滝の間近に行く。滝を真横に見た。照葉峡には11の滝があるとのことで、いずれもたいしたものでもあるまいと思っていたが、この滝は見応えのある豪瀑だ。滝の下に出て滝越えで遡行できないかと眺めたが、滝つぼは深く、脇を簡単に通過できそうにもない。結局はこの場を通って巻く形になりそうなので、そのまま滝の上流に向かう。

(入渓して次第に飽きてきて、自分は何をつまらないことしてんだろうと思うようになった)


(沢歩きで1)


(沢歩きで2)


(沢歩きで3)


(沢歩きで4)


(沢歩きで5。ここはおもしろかった)


(沢歩きで6)


(沢歩きで7)


(沢歩きで8。右岸に入る込む滝)


 沢に入った。いきなり浅瀬の石のコケに滑って左半身を水に浸してしまった。カメラはかろうじて濡らさなかった。幸先が悪い。沢靴を履く時も何だかきつかった。この沢靴にはピンが埋め込まれているので、おかしな歩きをすると、それがわざわいして滑ることもある。以降は要注意だ。
 あまりおもしろい沢歩きではなかった。ナメがあるわけでもない水流の強い川を歩いているだけで、たまにきれいな流れがあるくらい。深みもあるので左岸、右岸を行ったり来たりで、もう次の翡翠の滝はまだかいなと飽きてしまう始末。ヒザ高を選んで歩いたから、少しばかりは気持ちは良かった。この区間の紅葉を想像したが、沢から眺める紅葉はさして期待もできまい。やはり、車道から、もしくは、ガードレールを少し越えて、滝を入れた紅葉が良いような気がする。断定はしない。沢側からだと抜群にきれいな紅葉が見られるスポットもいくつもあるかもしれない。あくまでもこの区間での感想だ。

(奥に小さく見えるのが翡翠の滝だろう。ようやく終わった)


(こんなところを通って)


(滝の前に出た)


(この擁壁を上がることになるが、絶対に真似しないでください。危険です)


(ここで、左上に緩い坂状のカーブした流れがあることに気づいていれば、その後の展開も違っていたろう。写真には写っているのに)


 翡翠の滝がようやく見えた。名前の如く、きれいな姿をしている。沢歩きもかなり飽きたし、滝を二つ見たからこれでいいだろう。この辺で車道に戻ることにする。だが、この滝前の車道に出るには、10mはありそうな擁壁が垂直に立っている。ここは無理。先に行くか、戻るしかないが、壁をよく見ると、かすかに右に行って左にカーブしてガードレールに至る段差がある。幅はたいしてなく、部分的にヤブを歩くようだ。一か八かで行ってみる。何とかガードレールを乗り越えられた。細い段差はかなり崩れていて、ここを通るのは危険といったものだった。

(車道から翡翠の滝。後の祭り)


 ほっとして車道を下りながら翡翠の滝を上から眺めると、何これっ!?とびっくりした。翡翠の滝はカーブして、さらに上にも滝があった。これを知っていたら、左岸側から翡翠の滝を巻いて、上の滝を見て、危ない擁壁なんぞを登らずともちょっと斜面を上がれば車道に出られたはずだ。これは後の祭り話だが、車に戻って、コピーをしていた参考記事を読み直した。二点に失敗していたことに気づいた。一つは、山彦の滝の下ちょい先はナメになっていたこと。そして二つ目は翡翠の滝の上の滝には「大きく美しい釜」があり、「ナメを流れる水が水しぶきなく釜に吸い込まれ……落口周辺は天然のジャグジーのようです」とあった。肝心なところをいずれも見て楽しまず、ただの飽きてしまう沢歩きをして滝を見ただけ。後悔先に立たず。紅葉の頃に再訪して確認するしかあるまい。わざわざ来てあまり意味のない照葉峡だった。かけた時間は一時間ほどだったか。
 この沢歩き、とぼけたことをやらかしていた。車道の縁石に腰かけて沢靴を脱ごうとしたら、いつもよりもやたらときつく、足からスッポリ抜けない。それもそのはず。左右逆に履いていた。のっぺりとして足を入れてチャックするだけの沢靴だから、左右同じに見える。足底を見れば一目瞭然だが、そんなことはしなかった。暑さボケなのか本物のボケなのか、とにかくあきれてしまった。

 帰路のこと。みなかみ市街地に入ると車載気温では30℃になった。それでいて外気は涼しく、エアコンを入れずとも窓オープンで走れた。沼田に入ると、気温はグングン上がり、35℃近くになり、エアコンをつけずにはいられない。往路は太田桐生インターから入って、出口はみなかみインター。帰りは沼田インターから伊勢崎インターまで。どちらを選んでも、かかる時間は20分程度の違いだが、軽自動車の場合、高速代は往路で2,050円、復路で1,370円だった。この差は大きい。高いタバコ代一個以上分。前回もこのパターンだった。さすがに、さらにケチろうとしてもこの時期に17号線を通しで帰るのはつらい。緊急事態宣言やら万延防止が続く限り、土日祝日のETC割引はない。同じ県内でも、これが続けば高速代の出費もかさむ。まして、秋には東北に紅葉見物に行きたい。その場合、軽では長距離がつらいので普通車になる。早いとこ収束してもらいたいものだが、ここのところの感染者数の激化を見ていると、年内の高速代割引は無理なのではないだろうかとふと思う。余談だったが。

 後日、瀑泉さんから自分が見たつもりの「夜後沢大滝」は「大滝の前衛滝じゃないのか」と、瀑泉さんブログのコメントでご意見をいただいた。やはりそうかもしれないし、確かにそうだったかも。疑心暗鬼が続いていたし。改めて、あの臭いの濃い沢を行って、確認してみるしか仕方があるまい。まっとうした気分で引き返したが、こちらは、あれが大滝だと思い込んでいたから、前衛滝の先のルートはしっかりと確認もしていなかった。結果として半端な滝見だったということになるが、それで終わらせたくもないので近いうちに行くつもりだ。

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