たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

黒檜岳~シゲト山~三俣山~宿堂坊山

2006年11月04日 | 日光周辺の山
◎2006年11月3日(金)―1人

 黒檜岳から西に向けた稜線をいつかは歩いてみたいと思っていた。特別な理由に因るわけでは無く、山の奥深さと静けさを十分に堪能できるコースだと思っていたからだけのこと。この3連休、初日は全国的にも天気に恵まれるとの情報。かねてからの課題を決行してみた。

 前夜のうちにスキー場駐車場に入る。大駐車場に駐めている車は一台も無い。あまり奥に駐めると心細いので、ホテルの前の街路灯の明かりが届く範囲内に車を駐め、脇にテントを張って寝る。地面が斜めになっていて、何回かテントを動かしたのだが、結果的に北枕で寝てしまった。3時間も寝たろうか。

 遊歩道から歩き始める(4時30分)。空には星が見事なまでに広がり、時たま流星まで見えるのだが、足下は真っ暗。しばらくはヘッドランプを点けて歩かなきゃならない。何も見えないから、景色を楽しめるわけでもなく、ただ黙々と歩く。赤岩通過4時48分。千手ヶ浜には5時24分着。ここまではシカの声すら聞こえなかった。男体山のシルエットを望むが、まだ暗い。湖畔の木に登ったサルが3匹、騒がしい。子猿が1匹イジメを受けているようで、悲しげな声を立てていた。

 千手堂跡を通過し、黒檜の登山口(5時40分)。まだ薄暗いがランプを消す。ここから黒檜に入るのは2回目だが、いきなり前回と同じ轍を踏んでしまい、しばらく沢伝いに登ってしまった。踏み跡は明瞭なのに、今日もどうかしている。しばらくは急登が続く。きつい。傾斜がゆるくなり、樹林のすき間右手に朝日を受けた白根、錫が見え出した。雲一つ無い。本日の晴天は保証された。

 「黒檜岳」の表示のあるピークに着く(7時20分)。ネットで見ると、ここは「社山分岐」で黒檜岳の山頂はさらに西に行ったところにあるという。山塊そのものが山なのだから、そんなことはどうでもいいような気もするが。一昨年の10月、足尾から南尾根経由で社山に登り、大平山に行く途中、分岐をそのまま見過ごしてしまい、黒檜のこの「社山分岐」に入り込んで戻ったことがある。それ以来3回目の黒檜岳。相変わらずの静かな山。何も変わっていない。

 「本当の山頂」を通過し、雨量観測施設でしばらく休憩する(7時30分)。展望が開けている。1回目に来た時はガスで何も見えなかった。この観測施設、表示には「足尾町」と記されている。いまでこそ日光市に編入になったが、この領域は足尾町だったわけだ。

 シゲト山に向かう。ここからは踏み跡も心細い。熊の出没する山域らしいから、鈴だけでは心許なく、ラジオをつけて歩き出す。事前にネットで三俣山までのルートを丹念に調べたが、総じて「リボンやテープが多い。シゲト山は複雑な地形になっているが、テープをたどれば迷う事無く山頂に到達する」と記されている。これを信じて進んだが、テープは心細いもの。しばらくしてルートをロスト。うろうろしていたら赤いテープを見つけた。上に向かっている。見上げると、尾根になっている。大方、尾根を外して、下に行ってしまったのだろう。危ない、危ない。尾根上には道標があった(8時13分)。ここが1919mピークなのだろうか。道標には「字シゲト山」と彫られている。ここから一気に南方向に下降するのだが、ルートをロストした時に見つけた赤テープのところに出てしまった。つまり、最初、1919mピークに向かわずにショートカットしてしまっていたわけだ。ここからさらに南に下るようなのだが、この先、テープが見あたらない。踏み跡も無い。グルグル回ったが、分からない。GPSをセットしたが、樹林、灌木の中、空が開けてないので衛星電波をひろわない。もう冷静さを欠き始めている。シゲト山には縁が無かったのだろうか。時間もまだ早いし、ダメなら戻ろうと、しばらくは西南方向に向かって歩く。倒木が多くて閉口する。しばらくして尾根状のところに出た。笹の間に踏み跡らしきものもある。南の足尾方面の視界が少しばかり開ける。あっけなくシゲト山に到着(8時47分)。ただの丘といった感じのピーク。しばらく休む。シゲトの山名由来は何だろうか。

 GPSがあてにならないから、これからは地形図とコンパスを頼りにしなけりゃならない。次の1928mピークに向けて出発。左の眺望が広がる。皇海山、鋸山、庚申山。皇海山の裾野が間近に見える。あれがモミジ尾根だろうか。どこが国境平なのだろうか。しばらく見とれてしまった。右側北方面の山並みも広がってくる。宿堂坊、錫ケ岳、日光白根。戦場ヶ原は茶色になっている。ここに来るまで、何でオレはこんな特徴も無い山域を好きこのんでほっつき歩いているんだろうかと疑問を抱いて歩いていたが、この景観を見て、それ以上考えることはやめにした。

 9時34分、1928mピーク着。笹だらけの丘。サビついたスプレー缶が木に打ち付けられていた。先月、結果的には雨だったので登らず終いではあったが、カクレ滝方面から、このピークに出てみようかと計画していた。ここいらからこのコースの核心部だろうか。テープ類は少ないが、シゲト山と違って尾根通しに歩けば迷うことは無い。「三俣山へ」の表示も出てくる。黒檜までの上りに比べたら、楽な登り下り。いくつかのピークを越えて、いきなり樹林の植生が今までとは違った尾根と合流。そこらじゅうの木に赤や黄色の目印がついている。これが白錫尾根の延長の県境尾根か。少し南に登って三俣山に到着(10時47分)。つい、ここまでよく来れたものだという感慨に浸ってしまった。ピークはまだ濡れた笹ヤブの中にある。「群馬大学WV 1972年~」と記された色褪せた青いトタン板が打ち付けられていた。

 ここで大休止。ここまで体調が良かったら北に向かい、宿堂坊山から下りる計画でいたが、実行してみよう。この白錫尾根の延長を歩いてみたかった。しかし、地形図を見ると、三俣山から一気に標高差300m程下降し、その分登り返す。しんどそうだな。

 11時15分、三俣山出発。立ち枯れの灌木帯と笹ヤブを急下降する。しかしながらすごい数の表示板が続く。これなら少しばかりのガスがかかっていても迷うことは無いだろう。笹の間に倒木がかなりあり、何度かつまずく。展望は開けている。1m50cmはありそうな笹ヤブもこぎ分ける。鞍部に到着。ちょっとした広場。笹は無い。シカにきれいに食べられてしまったのだろうか。男体山が正面に見える。行ったことは無いが、国境平とかカモシカ平というのも、こんな感じなのだろうか。水場表示があった。

 ここから上りが始まる。やはり疲れた身体には応える。「もう少しの我慢」を確認するため、高度計をチラチラ見ながら進む。案内表示は至るところにあるものの、あまり歩かれていないのか、踏み跡は笹に覆われていたり、消えていたり。あれが宿堂坊山かと思っていたピークが手前のピークだったのにがっかり。下りてきた三俣山が見える。その左に今日のルートのシゲト山、黒檜岳も続く。宿堂坊山には13時12分着。

 一昨年、この山を往復した時には何やらうっそうとした薄暗さを感じたのだが、今日は展望の良い県境尾根を南から入ったためか、からっとした明るさを感じる。山名表示も増えている気配は無い。この山も特徴の無い山だ。往時には修験道の僧で賑わった山のようだが、跡形も無い。

 北東に向けてひたすら下りる。かなり急。尾根伝いに行こうとしても、尾根がかなり広がっていて、適当に下りるしかない。どこに下りても柳沢川には出るので心配は無いが、心持ち、小高いところを選んで進む。ここも倒木が多いのだが、ここの倒木は太い。行く先々をじゃまする。枯葉もすごいほど山面を覆っている。四つんばいで下降するところが数か所。シカの警戒音。川音が聞こえ始める。ラジオを消した。ここまで延々とラジオをつけっ放しにしてきた。ようやく柳沢川に出る(14時30分)。大岳が黄色に染まっている。

 さて、自分にはこの渡渉が大問題。前に宿堂坊を往復した時には、靴を濡らしたくないため、靴を対岸に投げ置き、裸足で渉ったが、その際、腰に結わえつけた靴下の片方を川に流してしまった。予備なんか持ってないので、上りには片方素足で靴を履いた。そして今度は帰りの渡渉で同じことをやって、もう片方を流してしまい、結局、両方素足に靴履きのままで林道を歩いて帰った経緯がある。そして今回はどうするか。何も考えずに靴のままで渉ればいいのだろうが、その後の不快感がたまらない。上流に行ったり下流を見渡したりしたが、やはり渡渉は避けられない。水量も多い。裸足になって水に足を入れたら、かなり冷たい。長い流木を見つけ、橋代わりにしようと5~6mの枯木を川に放り出したら、見事に半分で折れてしまった。歩行に差し障りは無いので、靴下と靴を履き直して木を渉った。うまくはいったものの、対岸への着地で足を石に滑らせ、片足は濡れてしまった。どうも、この川は相性が悪い。そんなことをしていたら、渉りきるまで30分も費やしてしまった。バカみたい。この様子をだれかに見られていたら、怪訝な感じを受けたろう。

 まだ余力もあったので千手ヶ浜から菖蒲ヶ浜までは歩こうかと思っていた。林道を進んで行くと、シカ5頭と出会う。あまり警戒心は無いようだ。千手ヶ浜のバス停で初めて人と出会う。山ではだれとも会わなかった。バス時刻を見ると、15時40分のバスがあった。あと5分。バスに乗ってしまった。乗客は6人だけ。石楠花橋で下車し、川沿いに遊歩道を竜頭滝に向かう。紅葉はもう終わっている。だれもいないが、滝に近づくとやはり人だかり。駐車場には16時29分着。予想していたことではあったが、行楽帰りの大渋滞が始まっていた。金谷ホテルの手前からいろは坂の終点までノロノロの状態だった。山を歩いているよりも、帰りの運転が疲れた。

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1 コメント

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GPS (湖南)
2006-11-04 17:23:44
こんにちは

へーえ最近はGPSで山登りをするんですね。
少々驚きです。
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