たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

腹を抱えて赤城の鈴ヶ岳。

2019年11月24日 | 赤城山周辺
◎2019年11月17日(日)

赤城キャンプ場先登山口駐車地(7:50)……清滝不動石碑(8:32)……鍬柄山からのコースに合流(9:12)……鈴ヶ岳(9:40~9:52)……先ほどの合流点(10:07)……ふれあい道に合流(10:43)……トマの滝(11:25~11:43)……林道(11:52)……準車道林道(12:13)……1002m三角点・展望の丘?(12:22~12:35)……駐車地(12:41)──その後に<赤城観音>に向かうもどこあるのかわからずに帰路に就く。

 <注意事項>。本ブログ記事のタイトルでもおわかりのように、今回は久しぶりの失敗談だ。文字通りに想像はできよう。腹を抱えて笑いながら歩いたわけではない。むしろ中盤から苦痛が伴う歩きになった。こういう話題は好き嫌いがはっきりしている。嫌悪感もあれば、自分の体験に合わせて、まさにと思う方もいる。品の悪さ云々といった観点からの感情も含めていろいろだ。ちなみに自分は他人様の下(しも)の失敗談は大好きだ。こと山の歩きに関してのそれは自分にも覚えがあるし、へーなるほどと、参考にしようと思うこともある。ぶなじろうさんのブログ記事でよく見る「駅でクソをした」といったストレートな表現は、失敗談というよりもむしろ日常的な光景で、自分には敢えて書けないから恐れ入る。最近は、足尾に行く途中に必ず寄る大間々トイレすら記さない。洗顔と同様に日常的だからだ。だが、トイレを使えない緊急事態という非日常的なことがたまに起きる。決して、だれでも同じ体験をしているはずと敢えてはいわないが、みんな大小なしでスマートな山歩きをしているはずはない。長時間歩きをすれば、何回かの生理現象が起きるのは当たり前のこと。そんなところを一々ブログやらで記しはしない。まして、ちょいオシッコくらいで書き込めば「この人、おかしいんじゃないの」となる。自分もまたそう思うだろう。今回はそんなのではなかったから、タイトルに含みを持たせたし、内容もまたその展開になる。露骨、詳細に記さないようにはするが、そういうストーリーの進展を嫌う方は、写真とコースだけ見て済ませてもらえれば十分だ。だから、冒頭で<注意事項>として敢えて記しておいた。そんなのはオフレコだと思う方は読まなきゃいい。辛らつなコメントを入れられても面倒だ。あくまでも公序良俗に反しない範囲での記述だし、それ以前にこれは個人の好き勝手なことを記したブログ記事。自身、決して公的な立場にいるわけでもない。花見会で何やら怪しげなことをやらかしている政治家もどきどもに比べれば、むしろただの奇行で済ませられる恥かきの小笑い話だ。

 くだらない前置きはさておき、本題。今年の四月に矢筈山に行って以来、こちら側から鈴ヶ岳に登ればどういうことになるのかずっと気になっていた。それを実行に移すことにした。つまり、赤城キャンプ場のある渋川市から鈴ヶ岳に登ることになる。もちろんれっきとしたコース有りで、松岩山と同様に紅葉目当てでもない。
 天気予報は芳しくないが、雨が降っても夕方から。家を出がけに冷え込みを感じた。ヒートテックを履くにはまだ早いので、ユニクロのステテコを下に履いた。ステテコを履いて山を歩くのは初めてだ。結果としては、防寒対策としては意味なしだった。ステテコそのものが防寒用の下着ではなく、夏場の吸汗用で通気性を重視した下着なのだ。

(登山道入口)


(入口に置かれた案内図板)


 やはり天気のせいだろう。どんよりして、赤城キャンプ場にも、分岐林道入口の登山口にも車はない。ハイカーなんかいやしない。林道だらけでややこしいが、本林道路肩ぎりぎりに車を寄せて外に出る。ブルっとふるえた。風も冷たくて寒い。この寒さがやがて腹具合に拍車をかけることになる。そもそも、わかる方にはわかるだろうが、出がけの二回が一回で終わり(量的にはいつもなら二回目>一回目)、コンビニコーヒーでいずれはと思っていたが、まるきし兆候がないままPAに寄ることもなくここに着いていた。その時は、まぁそんなこともあるさ。その気配になったら、だれもいないようだし、ドラえもんではないがどこでもトイレとばかりに特に気にもせずにいる。ただ、腹は何となく重い。今日は久しぶりに登山靴にした。そろそろ地下タビでは足元が寒くなってきている。
 入口にはコース案内図板が置かれている。念のためコースを確認する。見どころスポットとしては下ってからのトマの滝とロウソク岩に寄ることにしていたが、他に重箱岩というのが目に付いた。鈴ヶ岳への登りにある。前回気づいたが、こちらから見る鈴ヶ岳はもろに岩峰だった。そして赤城観音。観音様は歩くには遠いし、帰り道に車で林道を先に行って寄ればいいか。

(分岐した林道の先には貯木場。登山道は右に行く)


(登山道。右は鈴ヶ岳)


(こちらは子双山)


 入口から清滝不動石碑までの区間は歩いているが、林道を少し入ると貯木場があり、林道はそこで終わり、脇から山道になる。付近を伐採しているようだが、この風景には、前回記憶がない。周囲にスギやらヒノキの植林はないから、カラマツでも伐採しているのか。貯木場越しに鈴ヶ岳の頭が見えている。
 右手には矢筈山の先の子双山が見える。そちらから複数の交わし声が聞こえる。声は大きく、ハンターだろうか。後で確認すると、群馬の狩猟は15日に解禁になっている。ただ銃声は聞こえない。あの大声ではシカも警戒して隠れているのではないのか。

(ひっそりとモミジ)


(これもまたひっそりと)


(右下に涸れ沢)


(清滝不動石碑)


 この登山道、視覚的にはわかりづらい。最初のうちは明瞭だったが、落葉が堆積するようになると、窪み道になってちょっと不明瞭。それをフォローするように、標識とテープが続く。これがなければ道をロストしかねない。ただ、どうもムダ歩きが多いような気がする。緩い登りでも迂回して行く。途中で宮標石と淡い紅葉がいくつか目に入る。全体としては冬枯れの景色になっている。この曇天ではそう映っても当然。
 右下に涸れた沢が出てくる。これは春に来た時もそうだった。滅多に表面に水は流れず、伏流だけなのかもしれない。そして清滝不動石碑に到着。前回は沢の向かい側の小尾根からここに下りて来た。石碑の下を覗くと、確かに細い水が流れている。飲んでみる。特に甘露という味はしない。ここで小休止してタバコを一本。この一本と冷たい水の一口で、腸内が動き出す。まだ自覚症状には出ていない。前述のように、これに寒さの環境がなければ、活発化することもなかったはずだと思っているのだが。

(大山碑)


(石の多い登山道)


 左手に鈴ヶ岳が大きく見え、子双山は右後ろに去って行く。ここで「大山●」と刻された明治三十二年の石碑を見る。●の字は自分の能力では解読不可。「祇」かとも思ったがどうも違う。裏には奉納者の名前が並ぶ。ということは、この道は古道または信仰の道らしい。とはいえ、この古道で見かけた石碑はこの大山碑と清滝不動だけだった。
 やはり岩峰の証か。左の鈴ヶ岳側斜面には、最初は岩クズ状の大石が大分転がっていたが、上がるに連れて次第に大きくなって岩ほどのものもあちこちに点在してくる。歩行に差し障りがあるわけではない。テープはそれを避けて付けられている。

(あの窪みが鞍部。つまり大沼からの合流点かと思う)


(鞍部直下)


(炭焼き窯跡かと思うが)


(鞍部の標識。キャンプ場、深山方面から登って来た)


 やがて、上に尾根の鞍部が見えてきた。あれは鍬柄山との鞍部に違いない。あそこで大沼からのコースに合流か。ここで横に逸れるが、入口から清滝不動石碑までが渋川市。その先は前橋市域になっている。鈴ヶ岳山頂は両市の市境。かたや、黒檜山、駒ヶ岳、長七郎山は前橋市と桐生市の市境になる。地蔵岳は前橋市。小黒檜山は完全に沼田市域だ。だから、渋川市に関わる赤城連山は鈴ヶ岳しかない。さらに横道。「〇ヶ岳」の「ヶ」の字だが、先日、民放の番組でやっていた。「ヶ」は「箇」または「个」の略字で、つまり簡単にいえば、「箇」の竹かんむりを略した字で、本来は片かなではないが、いつしか片かな扱いになったとか。その先はややこしいので、やめておく。自分の頭ではというか、この頭だから十分には理解できていない。ただ、本来の日本語表記としては「〇箇岳」、「〇个岳」、「〇が岳」が正しいことを知った。
 横道に逸れ過ぎた。別に洒落ではないが、鞍部には、斜度的には直登できるしヤブでもないが、横道に逸れては巻きながら登って行く。いらつくが、歩くのは初めてのコースだし、律義に登山道に合わせて登って行く。炭焼き窯跡と思しき石垣を見て鞍部に出た。

 ここまで腹の具合に異変があったわけではない。鞍部に出るまでに、念のために始末しておきたい気持ちも出てくるようになってはいたが、そのつどにガス抜きで解消することはできた。これで緊急事態になることはあるまい。便意がもたげてきたことは確かで、あちこちの岩を見ては、あの裏なら人目に付くまいと思ったりもするが、実行に移す段階でもない。それでいて後続ハイカーがいるのではないのかと気になって、絶えず下を覗いている。暗に、岩陰に隠れるのを人に見られたくないといった本能からの行動だ。こんなところを歩いているのは、大沼コースに比べたら1/5程度のものだろう。いずれにせよ、我慢云々の状態にはまだなっていない。
 ここから鈴ヶ岳を往復して、帰路は北側に下る。大沼は東側になる。標識を見ると、来た方向には「キャンプ場3.2km 南回り」とあり、反対方向には「キャンプ場4.2km 北回り」とある。登山口には鈴ヶ岳2.9kmとあったから、キャンプ場から登山口までは300mということになる。これはあるまい。どう考えても500m以上はあるかと思う。
 出発地点の標高は990m、この鞍部は1400m。山頂まで150mほどの登りになる。鈴ヶ岳は10年ほど前にチョイ雪山歩きで大沼から来て以来だがほとんど記憶になく、山頂の三本の石碑だけは覚えている。ここでストックを出したが、その先は岩場が続き、邪魔になっただけなのですぐに収納する。

(鈴ヶ岳への上り)


(黒檜山方面は今にも天気が崩れそうな雲行きになっている。右端は鍋割山、荒山か)


(岩稜帯になる)


(矢筈山方面。その先は前橋市街)


(こちらは鍬柄山方面。ガスがすっぽり)


 普通の山道に岩がゴロゴロ出てくる。ロープも垂れている。別に使うまでもない、前方はガスがかかっている。振り返ると、黒檜山方面もシルエットになり、あっという間にガスで隠れた。それでいて、前橋市街は薄い青空の下にある。おかしな天気だ。山は隠れつつあるのに、市街地の晴れ間はこちらに向かってきていて、向かいの矢筈山方面は陽があたり、オレンジ色になった山肌をさらしている。そして、大沼方面の山肌は立ち枯れしたようなダケカンバ類で白く、すでに冬枯れの様相だ。いずれこちらも晴れてくるだろう。

(もう山頂かと思ったが)


(まだあった)


(最初の石碑ニ基)


(続いて)


(覺明霊神碑)


(山頂がぽっかり)


 岩の間をかいくぐると少し平坦になり、山頂もすぐそこだと思ったら、また岩場が復活した。ここで、スポットとして見なければと思っていた重箱岩のことはすっかり忘れている。岩に四角にくり抜いたような窓状の隙間のある岩のようだが、下りでも忘れていて、戻ってから件の案内図板を見て気づいた情けなさ。もしかして写ってやしないかと、撮った写真を見直したが、重箱岩はちらりとも写っていなかった。
 山頂に近づいたらしい。緑川神勢霊神と一心神勢霊神の石碑が二基。一心鎮宅霊神と続く。裏には「御嶽教…」と長い文章が刻されている。その世界には詳しくはないが、こんな石碑はとんと記憶なし。この山頂直下、岩場通過に慎重になったり、好きな石碑を見ていたせいか、腹具合のことはすっかり忘れているし、この先、不要な心配と思っている。

(山頂の三角点)


(鈴ヶ岳の象徴である石碑三基)


(そして石祠)


(きりがないのでお終い)


 覺明霊神碑の先はぽっかりと開けていて鈴ヶ岳山頂に到着。出発から二時間もかかっていない。別に速いわけではない。標準タイムは一時間55分だ。周囲はガスガス。かろうじて山頂周辺は視界の範囲内だが、一面が湿気っている。三等三角点にしては立派な標石。後ろには石祠。おそらく何らかの神社だろう。
 これだけは見覚えのある三基の山頂石碑を確認する。右から赤城山大神、鈴嶽山神社、愛宕山大神と並ぶ。山頂は決して広くはない。その先にも石碑がいくつか見える。平成に入っての建立もある。一応の確認。御神銘、施世大権現、御嶽神明霊神。注意すればまだありそうだが、ここは御嶽山信仰の山らしいことはわかった。別に石碑探しに来たわけでもなく、未体験コースを歩いてみただけのことで、石碑はそのついで。それ以上は不要とうちきってタバコを一本吸って休憩。お腹も空いてはいない。腹の違和感は遠ざかっている。

(下る)


(ここもかなりガスが巻いてきた)


 下りにかかると間もなく単独オジサンが登って来た。岩場で待機する。コンニチワと声をかけると、返答なし。あるいは小声でうなづいたのかもしれないが、自分の耳には達していない。こういうのは頭にくる。こちらが待機してアリガトウも言えないのかよ。続いて元気なオバチャン四人組。こちらは元気も愛想も良い。腹立ちはここで収まった。以降は、何せ短区間だ。だれにも会わずに鞍部に到着。その間、南側の陽射しの加減は同じで、晴れて来るかなという思いは停滞してしまった。

(鞍部。ここから左に下る。右から登って来た)


(低いササの道。この辺から腹が動き出した)


(こんなのを撮っている場合ではないのだが)


(つい撮ってしまう)


 鞍部から北に下る。標識でいえば北回り。こちらも踏み跡は明瞭。オバチャンたちに会って、腹立ちが収まったのに、別腹ならぬ本腹が動き出した。何かをしたわけでもない。急激な便意。放屁で済ませていた枠はすでに超えていて、もはや放屁は押さえている。つまりは、ガス抜きの分、大腸内が詰まってきて、直腸に押し出されつつあるということか。だれも歩いていないことはほぼ確実だろうが、身を隠すところがない。周囲はササヤブでカラマツの疎林。奥に大石ゴロゴロ地帯はあるが低すぎる。あれでは尻を隠して頭出しになる。もっと良い環境はないものかと探し回るうちに、ふれあいの道が先に見えてきた。左に大岩を見つけてダッシュした。蛇足。ダッシュとはいっても、自分の足ではまだ走ることは無理。速足で行ったということだ。ジャンプもまたしかり。走りも跳躍もまだ恐い。
 ズボンをおろすと即だった。本当にヤレヤレだが、ザックの中にペーパーが入っているのか気になった。しゃがみスタイルでザックの荷物をぶちまけた。幸いにペーパーはあった。その際、どうもカメラのレンズキャップをここで落としてしまったようだ。後で気づいたらなくなっていた。そんなことはともかく、ペーパーがなかったら、落葉で拭うしかなく、もしくはインド式に水筒での水洗いだったが、落葉はカラカラになっていて、ペーパー代わりにはならない。塊で手に受けてもすぐに粉々になる。葉片を尻に挟んだままに歩くわけにもいかない。
 ペーパーがあったのは幸いだが、このペーパー、坑夫の滝に行く際にチャック袋に入れたままでいたためか、かなり湿り気が残ったままになっていて、くっついていた。丁寧に剥がしては延ばして何とか処理した。
 これでほっとした。だれにも気づかれていない。ここで罪悪感を抱く方もまたおかしなものだ。おそらく、自分が歩いたコースをだれも歩いてはいないはずだ。それでいて人の目を気にしている。

(第一弾が終わってようやくほっとしたところだ)


(ふれあい道に合流する)


 岩陰から出て登山道に戻る。だが、こういうものは一回で収まるわけがない。歩いているうちに第二弾だ。腹の中がうねっている。回数的にも、普段は出かける時は家で二回、途中で一回の計三回だ。岩を探すが見あたらない。仕方ない。ササヤブをこいで、大きな樹の下にしゃがみ込む。
 もう大丈夫だろう。ガスも平気で出せる状態になった。腹の中は空っぽのはず。登山道に復帰するまで時間がかかった。何も考えずに樹を目指していたから、復帰に手間取った。ここで<注意事項>は終わりだが、手だけは洗いたかった。水筒の水はムダにしたくもなく、先の沢まで我慢することになる。

(一旦。西に歩いたが戻って東方向に行く。)


(橋を渡る。ふれあい道はその先、右手だ)


(ロープを越える)


 ふれあいの道に出る。ここのふれあい道は大沼から赤城キャンプ場を経由して渋川の深山を結ぶ道で「カラマツと熊笹の道」と呼ばれているようで、鈴ヶ岳は経由せずに裾野を巻いている。ふれあい道はわざわざ造ったわけではなく、環境省が既存の道をつなげただけのことで、栃木県と群馬県は異様に多い。このふれあい道も整備されているのならともかく、自分の知るふれあい道の大方は崩れても放置されたままになっていたりして、無責任な道といったイメージがある。そんなことはともかく、ずっと気になっていた腹の重圧からは解放され、ようやく気持ち新たに歩けるようになり、陽もあたるようになる。だが、残りのほとんどが林道歩きではちょっと寂しい気分にはなる。
 次のスポットはトマの滝。実は滝の位置がよくわかっていない。沼尾川にある滝のようだが、その周辺に滝マークはない。つまりはたいした滝でもないということ。一応、ローソク岩も含め、下山口周辺の地形図は持参し、あるらしきところに印を付けてきた。
 ふれあいの道を西方向に歩いた。ここで地図を見る。地図通りの破線路になっているのなら、東に向かって、沼尾川を回り込んだ方がいいのではないのか。今歩いている西方面は実線路になっている。戻って東に向かう。念のためGPSの軌跡を確認すると、登山道を歩いているのにマップ上の破線路とはかなりずれている。ここではGPSはあてにならない。
 大沼方面に向かうと、左下に林道のようなものが見えた。あれが北側の破線路だろうか。とりあえずそのまま行くと、木橋があった。地図を確認。破線路は三方向に分岐している。①このまま直進して左岸側を大沼に向かうルート。②川を渡って右岸側を大沼に。③川を渡って大沼とは逆方向。ここは③に入りたい。①は踏み跡がなくなっている。橋を渡ると、②と③ルートの分岐。ふれあい道はそのまま②で続いている。③方面に行こうとすると、ロープでふさがれ、②コースに導く標識が垂れている。これを行くわけにはいかず、ロープを無視して越える。

(堰堤越え。向こうに道のようなものが見えている)


(道に出て沼尾川の方に歩く。正面は鈴ヶ岳)


(荒れた林道。現役ではあるまい)


 ③に入りはしたが、これは作業道のようで、川から離れていく。これではまずいので、ちょっと先のガレ沢にかかる堰堤の上から対岸に渡る。対岸に渡った理由は、その先に道状のものが見えたからだ。この際にようやく細い水流で手を洗った。
 やはり道型になっていて、鈴ヶ岳の方向に向かっている。反対側は先まで続いている。ローソク岩はこの道をそのまま奥に行けば良かっただけのようだが、この時点では気づいていない。おそらく、さっきの作業道はその先でこの道に合流しているのだろう。道はすんなりとはいかず、途中で崩壊している。崩壊地を迂回して道の延長に出る。とにかく、滝を見るのに沼尾川から離れるわけにはいかない。先に橋が見えた。後で知ったが、この橋の名前は真藤橋(まふじはし)と欄干にプレートがあった。

(真藤橋)


(トマの滝。橋の手前から)


(河原から。このアングルが逆光を避けるギリギリ)


(手前の岩場から流れ出ていた清らかな水流)


(滝壺はさほどに深くはない)


(これ以上は逆光で無理)


(橋の上から)


 橋の手前で上流を見ると滝が見えた。あれがトマの滝のようだ。予想していたように。たいした滝ではない。落差もせいぜい6mほどだろう。だが、この滝も、橋の手前から見る限りは木立が邪魔だ。河原に出ようと、下流側に行くと、下れそうな踏み跡があった。
 足を濡らさずに滝の前に出たはいいが、撮影するにはもろに逆光だ。冴えないアングルの写真しか撮れずにがっかり。むしろ橋に戻り、木立ちが入り込んでしまうが、この時間帯なら、橋の上から撮ったトマの滝が全容が見えていて良かったかもしれない。

(落葉の堆積した林道)


(別口の林道に合流。右手から下って来た)


 ここで、この道を戻ればローソク岩に至るだろうことは想定できたが、少し面倒になり、ローソク岩はパスしてそのまま先に行く。林道はかなり荒れていたが、ふれあい道に合流。不思議なことに、トマの滝そのものにもスポット板はなかったが、林道分岐には標識はなかった。文字の消えた板切れが針金で鉄柱に結わえてあったから、あるいは、これに手書きで「トマの滝・ローソク岩⇒」とでも記されていたのかもしれない。後で行こうとした赤城観音もそうだが、案内図板に写真付きで掲示しているからには、標識くらいは設置して欲しいものだ。そんなのがないから、こちらはあてずっぽうで歩くことになる。トマの滝やらローソク岩をわざわざ見に行くようなハイカーが遭難するようなことはあるまいが。

(すっかり陽が出てむしろ暖かいくらいだ)


(赤はなかった)


(黄色1)


(黄色2)


(黄色3)


 林道歩きになった。駐車地まではたかが知れた距離だ。もう陽が出ていて、空は青空だ。周囲のカラマツは黄色に色づき、中には黄金色に見えているのもある。ここの林道歩きは退屈しなかった。

(舗装の本林道)


(ここもなかなかだ)


 本林道に合流。ここまでの林道名は西赤城山線。本林道はここから北側が潜下線、キャンプ場に向かう南側が赤城山線と言うらしい。本林道は舗装。西赤城山線は未舗装の通行止めだった。このままトボトボと舗装林道を歩くのも何だしと、地図を見ると1002m三角点がこの先にあった。林道から少し離れたところにある。どうせヒマつぶしだ。三角点を見ておこう。
 ここの林道の黄色もきれいだ。赤も混じってくる。車は通らない。通行止めではないが、今日あたりにこんなところを通る車はないだろう。

(三角点はこの看板の裏にあるはず)


(赤がお出迎え)


(ちょっとした広場。菖蒲ヶ池の標識がある)


(三角点を確認)


(鈴ヶ岳)


(これにはまいった)


(ムンムンしている)


(先に小径が続いている)


(しつこいか1)


(しつこいか2)


(これでもかで)


(ダメ押し)


 三角点の林道側には「鈴ヶ岳生活環境保全林案内図」の看板があった。後ろに尾根が張り出している感じなので、おそらく、三角点はこの裏側先だろう。入り込む。真っ赤なモミジの出迎え。そして、奥行きのある平地。小広場といった感じ。標識もある。何でまたこんなところに。違和感を覚えながらもまずは三角点標石を確認する。四等三角点。
 たかが知れた広場風だが、奥に行くと、真っ赤になったツツジが連なっていた。これに後ろには淡いモミジと黄色のカラマツ。脇役はススキ。前方には雲はありながらもくっきりした鈴ヶ岳がそびえている。狭いながらもなかなかの空間だ。本日、最高の景色を味わう。タバコを吸うのももったいないが、陽があたって気温も上がったせいか、つい、地べたに腰をおろしてくつろいだ。春先のむんむんとした世界。何ともなくここに三角点を見ておこうと来ただけだったが、ここは「展望の丘」というスポットらしい。案内図板にはなかったし、トマの滝同様にスポット板もなかった。それでいて、林道に並行して山道が下っている。いずれは林道に合流してキャンプ場に向かうのだろう。

(林道に戻る)


(鈴ヶ岳を正面に見ながらの林道歩き)


(陽があたればクサレも美人に見える)


(駐車地に戻る。急に寒くなった)


 鈴ヶ岳を正面に見ながらの林道歩きになった。なかなかの色具合だがあっさりと駐車地に着いてしまった。駐車地は日陰で寒い。早いとこ抜け出したいと、登山靴をスニーカーに替えただけで車の向きを変えて潜下線の方に向かう。軽で来ているから、方向転換は容易い。次のスポットは赤城観音。
 駐車地に他の車はなかった。春に来た時にはここに車が三台ほどあった。おそらく、今日のコース、北回り、南回りを歩いたのは自分だけだったのだろう。人の影におびえて腹具合の消火(昇華でもいいか)に奔走したのは何だったのだろう。

 赤城観音もまた詳細な位置は知らず、案内図板に記された位置をナビの道路図を追って、この付近だろうと特定してセットした。その付近に近づけば、標識もあるだろうといった思いもある。案内図板を見る限りは、そこから沼尾川を渡らないと行けないようだ。

(赤城観音に向かう途中で)


(強行突破。実際はもっとボコボコ)


 林道は舗装のままながらも、目的地の手前で寸断されていた。土砂崩れと倒木。倒木はかろうじて斜めになっていて、車はくぐれそうだが、路面はかなり厳しい。ここまで来て戻るのも何だし、車から下りて観察すると、ここを通った車のタイヤ痕があった。行けないこともないかと、四駆にして突破。車の天井も腹もゴツゴツと嫌な音を立てた。普通車ではまず無理。ここで引き返そうにも、狭い林道、切り返しの方向転換もかなりやっかいだ。

(標識も何もないが、赤城観音にはここを行けばいいのだろうか)


(川を渉るのはいいが、その先に岩屋らしきものはなかったので引き返す。先の平地に見えるところが赤城観音への道になっているのだろうか)


(駐車地に戻りながら)


(よく見ると、下が岩状になっている。もしかしてあそこか。もういいや)


 目的地に着くと、確かに川に向かう道状のものが目に付いた。路肩に車を止めて行ってみる。道は川の前で途切れ、後は川を渡るようだが、観音様が納められた岩屋というか、岩そのものが視界には入らない。これでは対岸に渡ったところで先行きが不透明。車に戻り、林道を先に行く。見落としがないように目を凝らしたが、別の林道も標識も見ることはなかった。もういいやとそのまま帰路に就く。

 短時間ながらもいろんなことのあった山行だった。しかし、あの腹具合のトラブルはいきなりでまいったし、一回で済まなかった。こればかりは、事前に注意しようもない。自分の意思とは別のところで動いている。それでも、そのあたりはまだ天気もどんよりしていて茶を濁す気分の範囲内だった。これをブログのメインにしてしまったのは自分自身だが、それはさておき、渋川側から登って周回する鈴ヶ岳もまた捨てがたい。極めて地味な雰囲気を楽しめた。それでいてラストの希望の丘というスポットでどんでん返し。おそらくはレンゲツツジかヤマツツジの頃かと思うが、その時期に立ち寄るのもまた趣向のある歩きを楽しめるかもしれない。

(本日の軌跡)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」

コメント (11)    この記事についてブログを書く
« 桐生・崇禅寺のモミジは少し... | トップ | 太田市の紅葉スポットで。 »

11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (HIDEJI)
2019-11-25 18:46:36
たそがれさん、こんばんは。
冒頭の注意事項にすごく共感を覚えましたのでコメントさせていただきました(笑)
私も全く同じようなところがあり、行くエリアに応じて、現地までの寄れるトイレポイントを複数箇所は常に頭にあり、状況に応じて立ち寄ってます。山の難易度により厳しい山行ほど緊張感が増すのかトイレに行く回数が増えます(笑)
山行前に用が済めばスッキリ歩けるのですが、そうでない時は私も同じ思いをしてます。そのために芯を抜いたトイレットペーパーは必須アイテムです。それでもあまりそういう事態には陥らずに済んでますが、写真のカラマツの疎林ではなかなか勇気がいりますね^^;
歩かれたルートは、いまいち分からず山行に関するコメントではなくてすみません(笑)
返信する
HIDEJIさん (たそがれオヤジ)
2019-11-26 09:28:58
HIDEJIさん、おはようございます。
予想通りに、早速、食らいついてきましたねぇ(笑)。この手の失敗談はHIDEJIさんも多いですから。お互いこんな恥をつい書きたくなってしまい、どんなコースを歩いたかなんてのは二の次になりますよ。実際、今回、私の歩いたコースなんかたかがしれたものです。まさに登山道歩きですし。
緊張感と便意の関連性ですか。それには気づきませんでしたね。私は何も緊張はしませんでしたが、HIDEJIさんの場合、開放感から来る心的なものと思えば、なるほどなとはうなづけます。私は回数的な要因でしょう。
しかし、HIDEJIさんはどこでもトイレではなく、事前確保のトイレスポットですか。ということは、常に、歩いている間に必ず予兆はあるという前提での歩きということでしょうか。私はいつも突発的なものなのですけど。
以前、雲取山からの帰路で、白岩小屋跡のトイレに寄ろうとしたら、ドアは壊れていて、さらにあふれ出し状態。これを見た瞬間に引っ込んでしまいましたね。以来、あまり山小屋や施設のトイレは信用しないし、使いたくないのですよ。さりとて、自然の中でしようとすると、だれもいないことがわかっていながら人の目が気になる。決して悪いことをしているわけでもないのですけど、なぜか罪悪感が伴う心理が不思議です。最近は、ヤブ山でこんなことをしていると、熊が来るのではと、絶えず鈴を鳴らしながらの用足しですよ。
返信する
Unknown (ぶなじろう)
2019-11-26 14:12:40
こんにちは。
ユル腹関連の記事を稀に見るのは、HさんにたそがれさんのHPですね。薮山が中心のたそがれさんとしては、一般道での便意という事で、アセリが増幅したのではないでしょうか。特に人気の山での便意は困りものです。
自分は、1回目>2回目>3回目(近頃は駅)なのですが、3回目で満足感が得られないと、歩いている最中は常に不安がよぎります。
積雪がある時(GW)、室堂のキャンプ地のトイレはロッヂ立山連峰になるのですが、起き掛けに1回、朝飯を食って1回、出発で1回。その度に50円を払ってトイレを借りるのですが、3日も続くと山小屋のオッサンも呆れていました。トイレがあっても恥ずかしかったです。
返信する
Unknown (ぶなじろう)
2019-11-26 14:25:30
ユル腹の話題に夢中になって書き忘れました。
三角点近く「希望の丘」の紅葉と鈴ヶ岳の風景はいい感じですね。自分が持っている地図を見ると「展望の丘」の標記がありました。いずれにしても静かそうで、私でも歩けそうなので、頭に入れておきます。
返信する
ぶなじろうさん (たそがれオヤジ)
2019-11-26 19:30:32
ぶなじろうさん、こんばんは。
希望の丘のご指摘ありがとうございます。私のミスでした。2003年版エリアマップにも「展望の丘」、そして三角点の前に立ちふさがっていた案内図をアップしてみると、確かに「展望の丘」でした。訂正しておきました。考えてみれば、あんなところに何で「希望」なのか、深く考えるべきですよね。
本題に入りましょう。ぶなじろうさんは一回目>二回目>三回目ですか。私は二>一>三で、三はまぁ、念のためといった意味合いですが、たかが三の分量なれど、ダメ押しがないと気になって仕方がない。だれもいないことがわかりきったヤブ山では、その気配もないのに無理にしゃがむこともあります。大方は不発で終わりますけど。
一度、この三をヤブ山でやっていて、脇を人が通っていたのには驚きました。男性でしたから、特別な恥はかきませんでしたが、ヤブ山とて安心できないものです。
高木が以前、鳴神山で登山道脇でこれをやり、女子高生の集団が歩いて来て、繁みから立ち上がれなかったと言っていました。もろに見られたとか。
鳴神山といえば、20年ほど前のことになるのですが、景色を眺めていたら、ヤブの中から女性が尻出しで立ち上がり、振り向いたところで目が会った。その女性とは山頂でも行き会いましたが、何だか、犯罪者を見る目つきでにらまれたものですから、そそくさと下りました。登山道のあるところでの用足しは、何かと怖い目にあいますよ。
トイレ使用料50円というのは随分と半端な金額ですが、それは昔のことでしょう。50円ということがわかっていれば、50円玉も大量に持っていかねばならず、さりとて、事前にまとめて150円を払うというのも何だし。オッサンもあきれるのはもっともかと(笑)。
こと、その手の失敗談は緊急事態の場合は話題に事欠きませんが、皆さんのブログを拝見すると、よく大小なしでスマートに歩けるものだと感心しますが、それでいて、ハイトスさんもみー猫さんもしっかりと小をしている。現実はそんなこともないわけですよ。だから、どんどん書けと言うのもおかしなもので、こんなことは、やはり、お笑い話になるレベルで押さえておくべきでしょうね。
返信する
Unknown (ハイトス)
2019-11-27 23:38:45
こんばんは。
タイトルからそんな面白うことがあったのかと思ったらやはり・・ですね。
皆さん食いつきがここですね。w
鈴は何度も登ってますが、今回のルートは考えたことがないんですね。
さぞかし静かなことでしょう。
以前ななさんとみー猫さんと冬季に登った時に頂上から真北に降りようとしましたが自重したことが思い出されます。
そういえばたそがれさんの矢筈山の記事を後追いしようとキャンプ場まで行ったのですが、天気が悪化してあきらめたこともあります。
西側から鈴を眺めるのも良しかなと。
返信する
オフレコレス (みー猫)
2019-11-28 22:57:14
過去のオフレコなぞ、もはや消し飛んでしまったようですね(笑)・・・自分は登るという緊張なのか忘れてることが多いです。皆さんと複数でいくと待つこと多く・・ということで多分、小心者なのだと思います。高木さん立ち上がってたら犯罪者?
返信する
ハイトスさん (たそがれオヤジ)
2019-11-29 09:47:42
ハイトスさん、こんにちは。
以前歩いた矢筈山の稜線、そして今回の鈴ヶ岳。それぞれ単発でやったら、消化不良になるかと思います。それで腹具合が悪くなったということでもないのですが(笑)。
両方つなげて歩けば、相応に満足な歩きになるでしょう。子双山から林道に出て、これを使って鈴ヶ岳コースに入る。その手もありですが、それだと大したものでもないですが、清滝不動石碑を見られない。やはり、子双山からうまく下って清滝不動石碑に出てから周回コースに入った方がいいでしょう。
鈴ヶ岳山頂から真北下りですか…。おそらく、その先はふれあい道で大沼戻りを予定したのではと思いますが、あんな鈴ヶ岳でも、あの山は岩峰ですよ。雪がついていればなおのこと足元も隠れていて危険です。鞍部に一旦戻るのが無難です。
私が知らずに立ち寄った展望の丘。あそこはいいところです。ツツジの咲く頃は最高な気分です。行かれるのでしたら、その頃をお薦めいたします。
返信する
みー猫さん (たそがれオヤジ)
2019-11-29 09:48:11
みー猫さん、こんにちは。
コメントも話題もどうもその手の話がメインになりましたが、これは私のもって行き方でそうなってしまいました。どうせついでです。みー猫さんにも持論で対応しましょう。
私は、小はともかく、大は罪悪感が伴う(この感覚自体がおかしいのですが)以上、犯罪性を感じてしまいます。
ですから、高木のしたことは犯罪であり、さらにその場で立ち上がったら、こんどは猥褻物陳列の犯罪を重ねることになりますから、その場で固まったままになっていた方が軽犯罪で済みますし、慌てずにじっといた高木の対応は正解です。
逆に、何も気づかぬままに、ヤブから立ち上がった若い女性の尻がつい目に入ってしまった。女性はおそらくは小ですから、犯罪行為をしているわけではない。むしろ、私が覗きの罪を背負うことになる。本末転倒な話ですが、これが現実というものでしょう。
ヤブ山での大はあまり罪悪感は抱きませんが、しばらくはじっとしているわけですから、むしろ熊に鉢合わせたり、マダニ、ヤマビルの恐さがある。
私も、絶えず緊張した歩きをしたいものですよ。
返信する
Unknown (俺だ)
2019-12-13 19:55:10
今日は川場の田園プラザの南にある、後山でやってしまった。頭も腹もゆるゆる。
返信する

コメントを投稿

赤城山周辺」カテゴリの最新記事