![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/1f/b5bb5555c8672841f563a76f43f1f306.jpg)
◎2012年12月8日(土)
武州日野駅駐車場(7:16)……明ヶ指たまご水(7:50)……北尾根合流(8:15)……820m標高点付近(9:07)……矢岳(10:50~11:08)……1144m標高点付近(11:27)……1040m篠戸山(12:03)……853.7m大反山(12:45~12:58)……一般道路(13:37)……日野駅(14:10)
秩父の矢岳は2年越しである。ネット記事で拝見する限り、結構厳しい山のようだ。いきなり歩くのにはためらいもある。近辺のヤブ系尾根をしばらくうろついて、気持ちの準備をしていた。5月の宗屋敷尾根からの熊倉山もその一環だ。続いて、聖尾根をやってから矢岳に入るつもりでもいたが、もう12月。積雪も出てくるし、年内には片付けておきたい。ふん切りもつかぬままに矢岳に行ってしまうことにした。聖尾根は後回し。バラモ尾根も念頭にはあったが、これも後日だ。
コースの選択に迷った。昭文社マップにある破線ルートでもいいが、川浦林道の歩きが長くなる。浦山ダムからのルートもいくつかあるようだが、ダムのゲートだかがあって、早い時間からの歩きは無理かもしれない。となると、北尾根を利用するしかないか。ちょうど、ハイトスさんが秩父槍ヶ岳を歩かれた際、途中で一緒になったHIDEJIさんの矢岳紀行を拝見したりもしていたので、タイミング良くHIDEJIさんのブログにコメントを入れたところ適切なアドバイスもいただいていた。まったく同じルートではあるが、これが適当だろう。北尾根から登り、北東尾根を下るオーソドックスなルートである。
(秩父鉄道・武州日野駅)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/7d/e36c3d01119a78c4a06a379ee95c1dee.jpg)
(たまご水までは29分とあるが、34分かかった。今日はノロマな歩きかも)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/46/7f7bcbcdab6348a18289bce0f92daf57.jpg)
(中央左寄りの三角が矢岳。奇しくも、HIDEJIさんと同じところからの撮影のようだ)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4d/8c/dae0de4aef31e321d6bbfe2dd613b48b.jpg)
武州日野駅に駐車場があるのを知ったのは最近のこと。どこにあるのか知らぬままであったが、HIDEJIさんから入り方まで教えていただいた。おかげですんなりと入れた。駐車代は300円。駅に支払うことになっているが、駅には不在の札が置かれている。帰って来てからでもいいだろう。駅に備え付けの登山届けをポストに入れ、ついでにトイレを拝借。暖房便座できれいなトイレだ。すっきりして出発。踏切を渡って、取り付きの目印となる「明ヶ指たまご水」への標識を辿る。正面に矢岳。幸いにも、雪は付いていないようだ。用心に6本爪アイゼンは持ってきてはいる。民家が奥まで続き、ここから眺める矢岳は標高も低く、里山の部類といった印象を受けなくもない。これでいったら、熊倉山も同じようなものになるのだが、とんでもない。
(ネットでよく見かける橋)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/5f/ce3b4582d8fd582ed254312d083828db.jpg)
(タマゴ水)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/f3/8bd4a57625a5d7c3ac14ab77b240a58c.jpg)
やがて民家が途絶え、シカ除けの柵が現れた。扉はどこに行ったのか、素通り。矢岳の北尾根歩きの紀行には必ず現れる橋があった。なるほどこれか。ちょっと古くなって危ない感じ。未舗装の車道が出てきてまた民家。道の脇には石仏。姿形がよく分からない程にさらされている。
これまでしっかりした「明ヶ指たまご水」への道標が、いきなり、手書きの、怪しげなものになった。沢への下りになっている。道はいくつかあったが、民家の敷地に入り込むのではないかと危ぶまれた。民家とて、今やだれも住んではいないようだ。やがて、キャンプ場なのか、別荘地なのかよく分からないエリアに入った。取りあえず、たまご水を見て、適当な取り付き尾根を探すことにしよう。
たまご水はHIDEJIさんが見られた時とは違って、澄んでいたが(もっとも、水受けのタライが青いせいだからかもしれない)、この寒い時期のこともあって、水を飲んでみる気はおきない。眺めただけ。温泉の効用と同じような能書きが廃れた看板に書かれていた。さて、ここから尾根を眺めるに、この沢から取り付くには厳しそうだ。一旦、戻って様子を見る。なだらかなところはない。しばらくうろつき、いさぎよく急斜面に取り付く。なかなか急だ。歩く人は多いようで、ケモノ道と人の踏み跡があちこちにある。皆さん、適当に、この急斜面を自分に合わせて登っているのだろう。
(この枝尾根?登りごたえが有り過ぎた)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/92/1f7b155476e6902ef4d293cce80ee013.jpg)
(本尾根はいたっておとなしい)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/11/a321e088444fcb20533b946ef33f9db2.jpg)
本尾根に合流。ここに至るまで、適当に斜面を登ったが、やけに急できつかった。右手・西側には岩場もあって落ち込んでいた。それに比べて、本尾根は静かでなだらかな植林帯の尾根である。踏み跡はしっかりしている。
(ほったらかしにされた社殿)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/b3/8f60d360ef22d4f7734963364f8c58e1.jpg)
(金属製の折れた標識)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/74/36c17292081aaa690d03cb46e6ed638c.jpg)
ほどなく585m小ピークに到着。樹間から熊倉山、宗屋敷尾根が覗く。正面にかすかに矢岳。展望は悪い。左下から沢音が聞こえてくる。沢に落ち込む斜面は急だ。しばらく行くと、小ピーク手前に左に分かれる踏み跡が現れる。HIDEJIさんが迷い込まれた巻き道というのはこれではないのか。後にも先にも、明瞭なものはこれしかなかったような気がする。行ってはいけないルートだ。地道に尾根通しに行くしかあるまい。木の下に壊れかかった木造の社殿があった。中を覗くと空っぽ。周囲の景色は何もない。黙々歩きが続く。金属の支柱に据えられた「県営林」の標識がへし折られている。上から下って来た人が、勢い余ってぶつかって曲がったものとは思えない。やはり、この辺にもいるのだろう。しかし、すごい力だ。
(820m付近。向こうに見えるのは坊主山だろうか。それとも手前の赤岩ノ頭?)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/c8/d3c908e1a9d03d5c75996647dbdf3641.jpg)
820m付近を通過。右手は雑木になり、展望が一角広がった。熊倉山から南に向かう山並みが覗く。熊倉山の大分先に酉谷山も見えるはずだが、どれがそれなのか分からない。酉谷山は、自分にはまだまだ遠い存在の山だ。北には両神山が見えた。その先は雲で白い。しかし、今日は風が冷たい。西に面したこの尾根、植林帯から抜けると、風がもろにあたる。好展望はこの付近だけ。また、左植林、右雑木が続く。矢岳の姿をはっきりと正面にとらえた。標高差でまだ500mある。今のところ、尾根の傾斜はそれほどのものではない。
925mあたりで左の植林は一旦切れ、ようやく解放された感じになった。右手からはっきりした尾根が合流。シカが歩いている姿が見える。やがて、1050mあたりで、左からもなだらかな尾根が入り込んできた。右手・西側の川浦谷を挟んで、その先に長い白いものが見えた。川浦林道のガードレールだろうか。ところで、秩父周辺の沢は「○○谷」と呼ぶのがほとんどだ。「○○沢」と呼ぶのが一般的だと思っていたが、そうでもないらしい。
この辺になると、尾根幅も次第に広がるものの、傾斜は増してくる。じわりとカーブし、矢岳の位置も、正面から左手前方に変わってくる。左手に、下る予定の北東側の尾根が見えてくる。こちらの尾根に比べて、かなりゆるやか。秩父の町並みがまだ見えるところなんか、やはり里山のイメージなのだが、山そのものは深い。
(向こうはスパッと切れている)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/7e/200b3a7f1d22913152cb261615ae5ea6.jpg)
(そこから熊倉山方面の西側展望。皮肉なことに、北尾根ではここからの展望が最高だった)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/82/9e0e2a9255b3433420d54487f2382e40.jpg)
(岩場が出てくる。そろそろ、北尾根の核心部に入る)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/0a/1ab0b91bc90d6847ba0e47f308974701.jpg)
(東側に武甲山が見えた。その下が帰路に使った尾根)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/df/60fa081ac6ec4646f10f2ea39d98c6c6.jpg)
(矢岳)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/05/09ccd494e7465883005a4c43c603c81a.jpg)
(なかなかの急斜面)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/59/0b5a48be6e15fccbbb1558cababac51d.jpg)
尾根がまたヤセになってきたなと思っていたら、忽然と西側の展望地に出た。距離的には10mほどのもの。さえぎる木々もまったくない。よく見ると、真下は崩落して、すとんと落ちている。長居は無用と、写真だけ撮ってそそくさと通過。岩が出てくる。そろそろ、北尾根の核心部に入ったようだ。雪が付いていたらやっかいだろう。左手尾根越しにようやく武甲山が顔を出し、右に小持山、大持山も見える。岩場は難なく通過したが、これまでの尾根の様相とは一変し、ヤセ尾根が続き、岩や太い木の根がはびこる尾根になってきた。この辺から、いわゆる危険地帯なのであろうか。心なし斜度も増し、緊張してくる。取りあえず一服して、芽生えはじめた動揺を抑える。風でなかなか火が付かない。
尾根の形状が次第に不明になってくる。右から尾根がいくつか入り込んできた。左手には、また植林が延びてきた。迷いそうだが、登り時には差し支えはない。高みを目指して歩けばいいだけのことだ。テープやヒモもやたらと出てきた。岩場も手こずることはない。しかし、下りに、この北尾根を使うのはどうだろうか。自分なら、絶対、尾根の選択を間違えてしまうだろう。ましてや急斜面の下りだ。
(もうそこなのだが…)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/28/655817a704046e778a510bcda7d87f9b.jpg)
(矢岳山頂)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/19/04593d36d9d0395cb65a24b4a9b8294b.jpg)
左手目の前に北東尾根筋が現れた。真上が矢岳。「←浦山口」の案内札を見て、何とか、矢岳に到着。直下は押せ押せのきつさだった。ほっとして振り返った。もう、どこを通って登ってきたのか分からない始末だ。下りにここを使ったら、テープを追っても迷うに決まっている。しばらく、山頂で休んだ。三角点の目の前を、赤岩ノ頭、長沢背稜の坊主山に向かう踏み跡が続いている。その長いコース上の視点に立てば、この矢岳は、途中の小ピークに過ぎない。日光の山でいえば、宿堂坊山に似たような存在だ。周囲は木立で展望は悪く、陽もあたらない。「北尾根を下るな」のプラスチックの警告板は見事に粉砕されていた。コーヒーを飲んでしばらく休む。菓子パンを一個口に入れる。達成感はあるものの、結果が冴えない小ピークとは、何となく複雑な心境。
(このまま行くと都県境の坊主山。長沢背稜に至る)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/2b/1de7738651d25193e75a686c18c0f940.jpg)
(北東尾根を下る)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/a3/fc118f15fc474378308017669db1affb.jpg)
(こんないい「道」だ)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/cb/b6c2a91784216dabc446f308816177e5.jpg)
予定では、さらにちょっと南下して、先の様子だけでも見に行くつもりでいたが、もはやその気は失せていた。疲れもあるが、積極的に行く気がおきない。ゆっくりと北東尾根を下ることにしよう。地形図を見る限り、北東尾根も、途中から、かなりの尾根が分岐している。間違えなければいいが。
木に赤ペンキが塗られている。北尾根に比べて、テープも多いし、標識もある。踏み跡もしっかりしていて、まさに道がある。雪の付いた斜面を下る。今日、歩いているハイカーはいないようだ。矢岳直下の下りを除けば、至ってなだらかな尾根だ。最初の尾根分岐を左に見送ると起伏が多くなり、左手に北尾根を望む。この先に見える小ピークは1040mの篠戸山だろうか。確か、篠戸山は伐採地だったはず。左手は急斜面になっているが、右手はゆるやかで、落ち葉に覆われた斜面の風景が続いている。尾根は部分的にヤセや大石混じりがあるものの、危険な箇所はなく歩きやすい。右に植林帯が出はじめた。「大反山 フナイド →」の古い手書きの案内板を見る。
(広大な伐採地から武甲山)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/7c/a539db8ab08504216d4a2724a825a6da.jpg)
(篠戸山。だと思うが…)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/d9/0f66cfad8e87cefaf03c14d666e60b0a.jpg)
植林帯を下ると鞍部。この付近がデンゴー平なのだろう。何かがあることもなく、原っぱになっているわけでもない。素通りして、篠戸山への登りにかかる。右側・東側の展望が一気に広がる伐採地に出た。ちょうど一年前、向かいの栗山尾根から、この伐採地を眺めていた。正面に武甲山、小持、大持がよく見える。先を行く2人連れが目に入った。どこからこの尾根に上がったのだろうか。荷物は大きくもなく、ハイキング程度の大きさだ。少なくとも、自分の目の前を歩いて来たとは思えない。2人は、この先の篠戸山で荷を下ろして休んだ。
では、この伐採他で自分も昼食にしようか。ここは東に面し、風もなく陽当たりだ。ゆっくりできる雰囲気。今日は鍋焼きウドンにでもしようと、途中のセブンに寄ったが、具沢山でかなり重いのであきらめた。結果はラーメン。しかし、タバコを吸って、チョコレートを食べたら、食欲は失せてしまい、早々に篠戸山に向かう。矢岳で菓子パンを食べたからまあいいか。山頂には先のお2人が食事中。「どちらから?」と尋ねたが、よく分からなかった。かなりのマニアックを歩かれたのか。この山頂、山名板は見あたらない。お2人も、ここで探したけど見つからないとおっしゃっていた。 ※この部分、他のネット記事を見ているとあやふやで、伐採地の手前に1040mピークがあって、そこに山名標を見たという記事もあった。あるいは、自分が1040m(=篠戸山)と思っていたピークはそうではなかったかもしれない。
(一年前に歩いた栗山尾根。右に大ドッケ、大平山に至る)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/da/45cc6a8337e89809b105cca54fda2af4.jpg)
コンパスをセットし直して962m標高点に向かう。右手の伐採地はなおも続いている。栗山尾根の南側を眺めると、その先に大ドッケ、大平山に続く山並みが見える。栗山尾根を下った際、西側に、ふいに林道が現れて不思議な感じがしたが、ここから見ると、その林道も下からくねくねと上に続いている。地形図には、そんな林道も記されていない。さて、このまま下ると、その先、植林と伐採地の際を下りそうで、一気に急斜面になる。大丈夫かなと思ったら、962mらしきあたりから、左手、真北に続く尾根が分岐していた。ほっとした。どうも、ここがフナイド尾根の分岐で、急斜面がフナイド尾根のようだ。
しばらく下ると「大反山→」の標識。そして、「この付近、道不明瞭です。…。引き返す勇気も必要ですよ」か。矢岳に引き返して、北尾根を下ったら勇気というよりも蛮行だろうな。これから登る方に対する警告だろう。「武州中川駅→」の標識もある。その下に「ワタシノクビレ」と書き込まれている。「私のクビレ」とは何だ?今やクタびれ果て、クビレが遠い昔の懐かしい思い出の方もいっぱいいらっしゃる。昭文社マップを見ると、この先に「クタシノクビレ」というのがあった。一人笑いしてしまった。
(大反山がど~んと控えていた)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/bc/e85b29acab45dfbef8ca5bce8d025e00.jpg)
(大反山山頂)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/da/2738c26ed659e87c4edf97046ae4e28f.jpg)
正面に853.7mの大反山、右に鉄塔が見え出す。ここで、何を勘違いしたのか、鉄塔に下ってはまずいという意識が働き、直進したつもりが左寄りに下ってしまった。大反山がどんどん離れていく。軌道修正。鉄塔下の木の階段を下り、クタシノクビレに到着。左に巻き道が続いているが、大反山に登ってみることにする。かなりの標高差がありそうに見えるが、実際は70m程度のもの。
余力で登ったつもりだが、しんどかった。植林帯の薄暗い中、何度も休んではゼーゼーした。三角点と山名板が3枚あるだけの、薄日のさす山頂。じっとしていると寒い。あとは登りなし。下りだけだ。ほっとした。
(大反山からの下りが、今日は最高だった)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/2e/5866baff08c228870e57bc6b97cf1466.jpg)
植林帯を抜け、尾根が広くなった。最初は急な下りだったが、すぐに緩やかになった。落ち葉だらけの尾根をサクサクと音を立てながら歩く。何とも気持ちが良い。紛らわしい尾根が分岐するも、コンパスにしたがって584m標高地点を目指して下る。
左から側溝のような幅広の窪みが現れた。何だろう。同時に急斜面になり、尾根はこの窪みに吸収された。大反山手前の巻き道の延長のようだ。気づくのが遅かった。そうと知っていたら、この巻き道を少し戻って、石祠見物ができたのに。唯一の心残りだ。
(窪みに合流し、もうそのまま下る)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/7d/7488e8cd6923a5ec196fa67a7d504e67.jpg)
(馬頭尊碑)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/63/025292d3c88a715391eee630272b6b90.jpg)
(小沢を越える。まさに秩父の典型的な光景)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/91/89a63c3627cd42797c900eb2bed5db46.jpg)
(鈴は2個付けていた)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/d3/3e2f7447a12b1eb06ea89a93d3604d7c.jpg)
(網戸を外して下界に出る)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/91/0d990880f8febd9a7696e999bbcc2631.jpg)
こうなったら、この九十九折れの道を下れば確実だろう。町並みも、まだかなり下に見える。ここまで来て迷っているのでは仕方がない。どんどん下る。大岩の下に石碑があった。「馬頭尊」と彫られている。その脇には万延二年。小沢を渡る。
そろそろ山道も終わりだ。若御子(若獅子?)遊歩道のエリアに入ったようで、「フクジュソウ」の案内板を見かける。ザックから鈴を外す。シカ除けネットの扉を開けて外に出る。もうここまで来たら、武州日野駅方面に向けて、適当に歩くだけ。
適当に歩いたせいか、民家の庭先に出てしまった。バアチャンが縁側で日向ぼっこをしていた。このまま行ってはまずいと思い、苦し紛れに道を尋ねる。問題なく直進して墓地の中を通って車道に出た。
(左・矢岳、右・熊倉山)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/cf/4b5ed29eccaf8f08de043b121ace35df.jpg)
(駐車場に到着)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/7e/266b7651f036327fe96c5a149d63579f.jpg)
日野駅に到着。山歩きをしているよりも、里の方がずっと寒い感じだ。駅員さんに駐車代を支払い、帰途に着く。北尾根も面白かったが、今日は、風が静かで、陽もあたる北東尾根の方が面白かった。変化に富んだ歩きもできた。矢岳はこれでもういい。今日のルートを使って長沢背稜に抜けることは、まずないだろう。
(本日の軌跡)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/73/74ffa416ecaa31d637c08e0556a1e0a5.jpg)
「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図メッシュ(標高)を使用した」(承認番号 平23情使、 第832号)
※伐採地でお会いしたお2人連れだが、後でネット記事を確認したところ、『へたれジージの山歩き』さんご一行らしく、その時の記事を確認すると、「事上沢」という沢(ここは不思議にも「谷」ではなく「沢」)の左右岸尾根を往復されたようだ。地形図をぼんやりと眺めているだけでは、そんなルートは思いもつかない。すごい方がいるものだと恐れ入った。ちなみに、今回の矢岳歩きに際しては、ジージさんの記事も参考にさせていただいていた。さらに蛇足ながら、ジージさんという方は、山渓からも沢登り関係の単行本を出されているようだ。何だ、レベルが違う方なんだと納得。
武州日野駅駐車場(7:16)……明ヶ指たまご水(7:50)……北尾根合流(8:15)……820m標高点付近(9:07)……矢岳(10:50~11:08)……1144m標高点付近(11:27)……1040m篠戸山(12:03)……853.7m大反山(12:45~12:58)……一般道路(13:37)……日野駅(14:10)
秩父の矢岳は2年越しである。ネット記事で拝見する限り、結構厳しい山のようだ。いきなり歩くのにはためらいもある。近辺のヤブ系尾根をしばらくうろついて、気持ちの準備をしていた。5月の宗屋敷尾根からの熊倉山もその一環だ。続いて、聖尾根をやってから矢岳に入るつもりでもいたが、もう12月。積雪も出てくるし、年内には片付けておきたい。ふん切りもつかぬままに矢岳に行ってしまうことにした。聖尾根は後回し。バラモ尾根も念頭にはあったが、これも後日だ。
コースの選択に迷った。昭文社マップにある破線ルートでもいいが、川浦林道の歩きが長くなる。浦山ダムからのルートもいくつかあるようだが、ダムのゲートだかがあって、早い時間からの歩きは無理かもしれない。となると、北尾根を利用するしかないか。ちょうど、ハイトスさんが秩父槍ヶ岳を歩かれた際、途中で一緒になったHIDEJIさんの矢岳紀行を拝見したりもしていたので、タイミング良くHIDEJIさんのブログにコメントを入れたところ適切なアドバイスもいただいていた。まったく同じルートではあるが、これが適当だろう。北尾根から登り、北東尾根を下るオーソドックスなルートである。
(秩父鉄道・武州日野駅)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/7d/e36c3d01119a78c4a06a379ee95c1dee.jpg)
(たまご水までは29分とあるが、34分かかった。今日はノロマな歩きかも)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/46/7f7bcbcdab6348a18289bce0f92daf57.jpg)
(中央左寄りの三角が矢岳。奇しくも、HIDEJIさんと同じところからの撮影のようだ)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4d/8c/dae0de4aef31e321d6bbfe2dd613b48b.jpg)
武州日野駅に駐車場があるのを知ったのは最近のこと。どこにあるのか知らぬままであったが、HIDEJIさんから入り方まで教えていただいた。おかげですんなりと入れた。駐車代は300円。駅に支払うことになっているが、駅には不在の札が置かれている。帰って来てからでもいいだろう。駅に備え付けの登山届けをポストに入れ、ついでにトイレを拝借。暖房便座できれいなトイレだ。すっきりして出発。踏切を渡って、取り付きの目印となる「明ヶ指たまご水」への標識を辿る。正面に矢岳。幸いにも、雪は付いていないようだ。用心に6本爪アイゼンは持ってきてはいる。民家が奥まで続き、ここから眺める矢岳は標高も低く、里山の部類といった印象を受けなくもない。これでいったら、熊倉山も同じようなものになるのだが、とんでもない。
(ネットでよく見かける橋)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/5f/ce3b4582d8fd582ed254312d083828db.jpg)
(タマゴ水)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/f3/8bd4a57625a5d7c3ac14ab77b240a58c.jpg)
やがて民家が途絶え、シカ除けの柵が現れた。扉はどこに行ったのか、素通り。矢岳の北尾根歩きの紀行には必ず現れる橋があった。なるほどこれか。ちょっと古くなって危ない感じ。未舗装の車道が出てきてまた民家。道の脇には石仏。姿形がよく分からない程にさらされている。
これまでしっかりした「明ヶ指たまご水」への道標が、いきなり、手書きの、怪しげなものになった。沢への下りになっている。道はいくつかあったが、民家の敷地に入り込むのではないかと危ぶまれた。民家とて、今やだれも住んではいないようだ。やがて、キャンプ場なのか、別荘地なのかよく分からないエリアに入った。取りあえず、たまご水を見て、適当な取り付き尾根を探すことにしよう。
たまご水はHIDEJIさんが見られた時とは違って、澄んでいたが(もっとも、水受けのタライが青いせいだからかもしれない)、この寒い時期のこともあって、水を飲んでみる気はおきない。眺めただけ。温泉の効用と同じような能書きが廃れた看板に書かれていた。さて、ここから尾根を眺めるに、この沢から取り付くには厳しそうだ。一旦、戻って様子を見る。なだらかなところはない。しばらくうろつき、いさぎよく急斜面に取り付く。なかなか急だ。歩く人は多いようで、ケモノ道と人の踏み跡があちこちにある。皆さん、適当に、この急斜面を自分に合わせて登っているのだろう。
(この枝尾根?登りごたえが有り過ぎた)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/92/1f7b155476e6902ef4d293cce80ee013.jpg)
(本尾根はいたっておとなしい)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/11/a321e088444fcb20533b946ef33f9db2.jpg)
本尾根に合流。ここに至るまで、適当に斜面を登ったが、やけに急できつかった。右手・西側には岩場もあって落ち込んでいた。それに比べて、本尾根は静かでなだらかな植林帯の尾根である。踏み跡はしっかりしている。
(ほったらかしにされた社殿)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/b3/8f60d360ef22d4f7734963364f8c58e1.jpg)
(金属製の折れた標識)
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ほどなく585m小ピークに到着。樹間から熊倉山、宗屋敷尾根が覗く。正面にかすかに矢岳。展望は悪い。左下から沢音が聞こえてくる。沢に落ち込む斜面は急だ。しばらく行くと、小ピーク手前に左に分かれる踏み跡が現れる。HIDEJIさんが迷い込まれた巻き道というのはこれではないのか。後にも先にも、明瞭なものはこれしかなかったような気がする。行ってはいけないルートだ。地道に尾根通しに行くしかあるまい。木の下に壊れかかった木造の社殿があった。中を覗くと空っぽ。周囲の景色は何もない。黙々歩きが続く。金属の支柱に据えられた「県営林」の標識がへし折られている。上から下って来た人が、勢い余ってぶつかって曲がったものとは思えない。やはり、この辺にもいるのだろう。しかし、すごい力だ。
(820m付近。向こうに見えるのは坊主山だろうか。それとも手前の赤岩ノ頭?)
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820m付近を通過。右手は雑木になり、展望が一角広がった。熊倉山から南に向かう山並みが覗く。熊倉山の大分先に酉谷山も見えるはずだが、どれがそれなのか分からない。酉谷山は、自分にはまだまだ遠い存在の山だ。北には両神山が見えた。その先は雲で白い。しかし、今日は風が冷たい。西に面したこの尾根、植林帯から抜けると、風がもろにあたる。好展望はこの付近だけ。また、左植林、右雑木が続く。矢岳の姿をはっきりと正面にとらえた。標高差でまだ500mある。今のところ、尾根の傾斜はそれほどのものではない。
925mあたりで左の植林は一旦切れ、ようやく解放された感じになった。右手からはっきりした尾根が合流。シカが歩いている姿が見える。やがて、1050mあたりで、左からもなだらかな尾根が入り込んできた。右手・西側の川浦谷を挟んで、その先に長い白いものが見えた。川浦林道のガードレールだろうか。ところで、秩父周辺の沢は「○○谷」と呼ぶのがほとんどだ。「○○沢」と呼ぶのが一般的だと思っていたが、そうでもないらしい。
この辺になると、尾根幅も次第に広がるものの、傾斜は増してくる。じわりとカーブし、矢岳の位置も、正面から左手前方に変わってくる。左手に、下る予定の北東側の尾根が見えてくる。こちらの尾根に比べて、かなりゆるやか。秩父の町並みがまだ見えるところなんか、やはり里山のイメージなのだが、山そのものは深い。
(向こうはスパッと切れている)
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(そこから熊倉山方面の西側展望。皮肉なことに、北尾根ではここからの展望が最高だった)
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(岩場が出てくる。そろそろ、北尾根の核心部に入る)
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(東側に武甲山が見えた。その下が帰路に使った尾根)
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(矢岳)
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(なかなかの急斜面)
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尾根がまたヤセになってきたなと思っていたら、忽然と西側の展望地に出た。距離的には10mほどのもの。さえぎる木々もまったくない。よく見ると、真下は崩落して、すとんと落ちている。長居は無用と、写真だけ撮ってそそくさと通過。岩が出てくる。そろそろ、北尾根の核心部に入ったようだ。雪が付いていたらやっかいだろう。左手尾根越しにようやく武甲山が顔を出し、右に小持山、大持山も見える。岩場は難なく通過したが、これまでの尾根の様相とは一変し、ヤセ尾根が続き、岩や太い木の根がはびこる尾根になってきた。この辺から、いわゆる危険地帯なのであろうか。心なし斜度も増し、緊張してくる。取りあえず一服して、芽生えはじめた動揺を抑える。風でなかなか火が付かない。
尾根の形状が次第に不明になってくる。右から尾根がいくつか入り込んできた。左手には、また植林が延びてきた。迷いそうだが、登り時には差し支えはない。高みを目指して歩けばいいだけのことだ。テープやヒモもやたらと出てきた。岩場も手こずることはない。しかし、下りに、この北尾根を使うのはどうだろうか。自分なら、絶対、尾根の選択を間違えてしまうだろう。ましてや急斜面の下りだ。
(もうそこなのだが…)
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(矢岳山頂)
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左手目の前に北東尾根筋が現れた。真上が矢岳。「←浦山口」の案内札を見て、何とか、矢岳に到着。直下は押せ押せのきつさだった。ほっとして振り返った。もう、どこを通って登ってきたのか分からない始末だ。下りにここを使ったら、テープを追っても迷うに決まっている。しばらく、山頂で休んだ。三角点の目の前を、赤岩ノ頭、長沢背稜の坊主山に向かう踏み跡が続いている。その長いコース上の視点に立てば、この矢岳は、途中の小ピークに過ぎない。日光の山でいえば、宿堂坊山に似たような存在だ。周囲は木立で展望は悪く、陽もあたらない。「北尾根を下るな」のプラスチックの警告板は見事に粉砕されていた。コーヒーを飲んでしばらく休む。菓子パンを一個口に入れる。達成感はあるものの、結果が冴えない小ピークとは、何となく複雑な心境。
(このまま行くと都県境の坊主山。長沢背稜に至る)
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(北東尾根を下る)
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(こんないい「道」だ)
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予定では、さらにちょっと南下して、先の様子だけでも見に行くつもりでいたが、もはやその気は失せていた。疲れもあるが、積極的に行く気がおきない。ゆっくりと北東尾根を下ることにしよう。地形図を見る限り、北東尾根も、途中から、かなりの尾根が分岐している。間違えなければいいが。
木に赤ペンキが塗られている。北尾根に比べて、テープも多いし、標識もある。踏み跡もしっかりしていて、まさに道がある。雪の付いた斜面を下る。今日、歩いているハイカーはいないようだ。矢岳直下の下りを除けば、至ってなだらかな尾根だ。最初の尾根分岐を左に見送ると起伏が多くなり、左手に北尾根を望む。この先に見える小ピークは1040mの篠戸山だろうか。確か、篠戸山は伐採地だったはず。左手は急斜面になっているが、右手はゆるやかで、落ち葉に覆われた斜面の風景が続いている。尾根は部分的にヤセや大石混じりがあるものの、危険な箇所はなく歩きやすい。右に植林帯が出はじめた。「大反山 フナイド →」の古い手書きの案内板を見る。
(広大な伐採地から武甲山)
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(篠戸山。だと思うが…)
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植林帯を下ると鞍部。この付近がデンゴー平なのだろう。何かがあることもなく、原っぱになっているわけでもない。素通りして、篠戸山への登りにかかる。右側・東側の展望が一気に広がる伐採地に出た。ちょうど一年前、向かいの栗山尾根から、この伐採地を眺めていた。正面に武甲山、小持、大持がよく見える。先を行く2人連れが目に入った。どこからこの尾根に上がったのだろうか。荷物は大きくもなく、ハイキング程度の大きさだ。少なくとも、自分の目の前を歩いて来たとは思えない。2人は、この先の篠戸山で荷を下ろして休んだ。
では、この伐採他で自分も昼食にしようか。ここは東に面し、風もなく陽当たりだ。ゆっくりできる雰囲気。今日は鍋焼きウドンにでもしようと、途中のセブンに寄ったが、具沢山でかなり重いのであきらめた。結果はラーメン。しかし、タバコを吸って、チョコレートを食べたら、食欲は失せてしまい、早々に篠戸山に向かう。矢岳で菓子パンを食べたからまあいいか。山頂には先のお2人が食事中。「どちらから?」と尋ねたが、よく分からなかった。かなりのマニアックを歩かれたのか。この山頂、山名板は見あたらない。お2人も、ここで探したけど見つからないとおっしゃっていた。 ※この部分、他のネット記事を見ているとあやふやで、伐採地の手前に1040mピークがあって、そこに山名標を見たという記事もあった。あるいは、自分が1040m(=篠戸山)と思っていたピークはそうではなかったかもしれない。
(一年前に歩いた栗山尾根。右に大ドッケ、大平山に至る)
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コンパスをセットし直して962m標高点に向かう。右手の伐採地はなおも続いている。栗山尾根の南側を眺めると、その先に大ドッケ、大平山に続く山並みが見える。栗山尾根を下った際、西側に、ふいに林道が現れて不思議な感じがしたが、ここから見ると、その林道も下からくねくねと上に続いている。地形図には、そんな林道も記されていない。さて、このまま下ると、その先、植林と伐採地の際を下りそうで、一気に急斜面になる。大丈夫かなと思ったら、962mらしきあたりから、左手、真北に続く尾根が分岐していた。ほっとした。どうも、ここがフナイド尾根の分岐で、急斜面がフナイド尾根のようだ。
しばらく下ると「大反山→」の標識。そして、「この付近、道不明瞭です。…。引き返す勇気も必要ですよ」か。矢岳に引き返して、北尾根を下ったら勇気というよりも蛮行だろうな。これから登る方に対する警告だろう。「武州中川駅→」の標識もある。その下に「ワタシノクビレ」と書き込まれている。「私のクビレ」とは何だ?今やクタびれ果て、クビレが遠い昔の懐かしい思い出の方もいっぱいいらっしゃる。昭文社マップを見ると、この先に「クタシノクビレ」というのがあった。一人笑いしてしまった。
(大反山がど~んと控えていた)
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(大反山山頂)
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正面に853.7mの大反山、右に鉄塔が見え出す。ここで、何を勘違いしたのか、鉄塔に下ってはまずいという意識が働き、直進したつもりが左寄りに下ってしまった。大反山がどんどん離れていく。軌道修正。鉄塔下の木の階段を下り、クタシノクビレに到着。左に巻き道が続いているが、大反山に登ってみることにする。かなりの標高差がありそうに見えるが、実際は70m程度のもの。
余力で登ったつもりだが、しんどかった。植林帯の薄暗い中、何度も休んではゼーゼーした。三角点と山名板が3枚あるだけの、薄日のさす山頂。じっとしていると寒い。あとは登りなし。下りだけだ。ほっとした。
(大反山からの下りが、今日は最高だった)
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植林帯を抜け、尾根が広くなった。最初は急な下りだったが、すぐに緩やかになった。落ち葉だらけの尾根をサクサクと音を立てながら歩く。何とも気持ちが良い。紛らわしい尾根が分岐するも、コンパスにしたがって584m標高地点を目指して下る。
左から側溝のような幅広の窪みが現れた。何だろう。同時に急斜面になり、尾根はこの窪みに吸収された。大反山手前の巻き道の延長のようだ。気づくのが遅かった。そうと知っていたら、この巻き道を少し戻って、石祠見物ができたのに。唯一の心残りだ。
(窪みに合流し、もうそのまま下る)
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(馬頭尊碑)
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(小沢を越える。まさに秩父の典型的な光景)
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(鈴は2個付けていた)
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(網戸を外して下界に出る)
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こうなったら、この九十九折れの道を下れば確実だろう。町並みも、まだかなり下に見える。ここまで来て迷っているのでは仕方がない。どんどん下る。大岩の下に石碑があった。「馬頭尊」と彫られている。その脇には万延二年。小沢を渡る。
そろそろ山道も終わりだ。若御子(若獅子?)遊歩道のエリアに入ったようで、「フクジュソウ」の案内板を見かける。ザックから鈴を外す。シカ除けネットの扉を開けて外に出る。もうここまで来たら、武州日野駅方面に向けて、適当に歩くだけ。
適当に歩いたせいか、民家の庭先に出てしまった。バアチャンが縁側で日向ぼっこをしていた。このまま行ってはまずいと思い、苦し紛れに道を尋ねる。問題なく直進して墓地の中を通って車道に出た。
(左・矢岳、右・熊倉山)
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(駐車場に到着)
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日野駅に到着。山歩きをしているよりも、里の方がずっと寒い感じだ。駅員さんに駐車代を支払い、帰途に着く。北尾根も面白かったが、今日は、風が静かで、陽もあたる北東尾根の方が面白かった。変化に富んだ歩きもできた。矢岳はこれでもういい。今日のルートを使って長沢背稜に抜けることは、まずないだろう。
(本日の軌跡)
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「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図メッシュ(標高)を使用した」(承認番号 平23情使、 第832号)
※伐採地でお会いしたお2人連れだが、後でネット記事を確認したところ、『へたれジージの山歩き』さんご一行らしく、その時の記事を確認すると、「事上沢」という沢(ここは不思議にも「谷」ではなく「沢」)の左右岸尾根を往復されたようだ。地形図をぼんやりと眺めているだけでは、そんなルートは思いもつかない。すごい方がいるものだと恐れ入った。ちなみに、今回の矢岳歩きに際しては、ジージさんの記事も参考にさせていただいていた。さらに蛇足ながら、ジージさんという方は、山渓からも沢登り関係の単行本を出されているようだ。何だ、レベルが違う方なんだと納得。
いつもながらの実行力に感心です。
HIDEJIさんの記事も読むとレベルが高そうな、やはりちょっと自分にはきつそうに感じますので当分ペンディングかな。
もっと他に酉谷山も控えていますがやはりハードであったとの事なのでたそがれさんにとっては挑戦しがいがありそうな山ですね。
比べて自分は里山でらくらくハイキングでしたよ。
矢岳に関しては、何というか、評価が難しいですね。
薄暗い、手短かに表現すれば、野峰の山頂のイメージかあったのですが、まさにそうでした。その点は、がっくりもしませんでした。想像通りでしたから。
ただ、縦走路の途中にある、今回、ハイトスさんが歩かれた篠井富屋連峰の黒戸山の雰囲気なんですよ。黒戸山だけを目指して、バリエーションの脇尾根から苦労して登ったとして、山頂に着いたら、山頂を縦走路が走っていたといった感じなのですよ。別に、ここまでしんどい思いをすることもなかったんじゃないのかと。
酉谷山はコースを選べばそれほどでもないと思いますよ。矢岳だの熊倉山の方からこだわって入ろうとするからきついだけのことじゃないですか。HIDEJIさんもさることながら、ぶなじろうさんでも、なかなかやっかいな歩きをされていますよ。
そんなのを拝見しているから、尻込みをしてしまう。でも、それがいいんですよね。笑ってしまいますよ。
矢岳行かれたんですね。当時のしんどい記憶が蘇るのと同時に、楽しく拝見させていただきました。
思い起こすと、辛いばかりで矢岳山頂に辿り着いた時には、達成感はありましたが、ここが終着。。。ここが秘峰なの?と、たそがれオヤジさんと同じく何とも言えない複雑な気分になりました。
期待している答えを求め、山頂から長沢背稜へ向かい、少し南下してみたい気持ちはありましたが、しんどくてそんな気も失せ、大反山も諦めた次第です。
行き当たりばったりで北尾根の巻き道に入り込み、それはそれでスリルはありましたが、尾根へ戻る急登で、何でこんなことをしているのか、泣きそうになりました。。。
巻き道も見つけられたんですね。そちらに進むと無駄な体力を使う可能性がありましたので、進まずによかったと思います。
私は本尾根への取り付きでかなり左(東)から登り、本尾根に辿り着く前に巻き道に入り込んでしまい、社殿やへし折られた標識は見れませんでした。
まだまだ修行が足りませんが、良い経験になりました。
この辺りの山域は、調べれば調べるほど、興味が湧くような尾根がありますので、今後もやっかいな山行を続けますよ。(笑)
秩父というよりも、奥武蔵寄りの山々を語るほどの回数もこなしてないので、えらいことは言えませんが、町からちょっと入り込むと、いきなり、山が深くなっているといったイメージはありますね。
動揺なんて、大それた表記をしてはいますが、いよいよ、遭難者が出るエリアに入ったかといった緊張感ですよ。
正直に申して、あまり、魅力あふれた山はありません。地味な山だらけです。でも、はまりますね。
みー猫さんも、もう少し、秩父寄りの地域にお住まいなら、私以上になるんじゃないですかね。
何とか、矢岳に行ってまいりました。駐車場の位置やら入り方まで伺い、ありがとうございました。
事前のHIDEJIさんのブログ記事を拝見しておりましたので、至ってスムーズに?歩けましたよ。
やはり、HIDEJIさんも、山頂に立った時は同じ感慨でしたか。その先への下見もまた同じようなものですね。私は、改めても、その先には行く気が起きませんでしたし、これからも、ここを通ることはもうないなと思っている始末です。
次は、酉谷山といきたいところですが、HIDEJIさんの記事を拝見し、ますます気後れがしております。破線ルートですらああなのですからね。しばらくは、熊倉山を含めて、近辺をうろつきますよ。
私の場合、未知の非一般ルート尾根を3時間半以上登るとちょっとヤバイ感が生じてきます。標高差1000m以上の激戦の感じレポより伝わりました。
長沢背稜の北にこんな山域があるんですね。雲取から長沢背稜歩きもまだ未体験なので、その辺りを一度歩いてみたいと思っています。それにしても、秩父のその辺も山だらけ、尾根も入り組んでいて、面白そう。近くに住んでいたら絶対はまると思いました。
矢岳は確かにマニアックな山の部類でしょうね。長沢背稜の北側の山を歩かれるのでしたら、熊倉山をお薦めいたします。
私もまだ一回しか歩いたことはないですが、コースもマニアック系を含めて多岐にわたり、なかなか楽しめる山かと思いますよ。
長沢背稜は部分的に歩いたことはありますが、西側方面は、私にも今後の課題ですね。でも、まだまだですね。
八百比丘尼ですか。私も、事前調べで興味があって、いろいろと調べてみましたが、この手の話は全国にあるようですね。ただ、なぜ、栃木市にもあるのか、それなりの話題元、縁起があったとは思いますが…。
南天山は秩父の山というよりも、西上州の山の延長のような気がします。おっしゃる通り、確かに、同じ秩父でも、他の秩父の山とは趣きが違うようです。歩いていても分かりますよ。
浦山ダムは、そうです。武甲山写真にちらっと出ています。
熊倉山、新参者さんにプッシュされちゃいましたね。