たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

赤城<三段の滝(下段滝)>と<山崖の滝>見物。猿川のフィニッシュ部は失敗歩きでかなりヤバかった。

2020年06月04日 | 赤城山周辺
◎2020年5月31日(日)

二の鳥居(8:03)……林道終点(8:51)……三段の滝見物(9:41~10:03)……猿川最後の滝(10:16)……遊歩道に出る(10:43)……三段の滝展望地?(11:00)……山崖の滝(11:40~11:57)……利平茶屋の駐車場(12:23)……二の鳥居(12:42)

 あまりにありきたりの歩きだったため、ブログ記事にはアップしなかったが、5月5日に利平茶屋から鳥居峠までアカヤシオ見物に行っていた。駐車場ではふみふみぃさんの車を見かけた。見事なアカヤシオを堪能できたので、もう今季の心残りはない。以来、山歩きはご無沙汰になった。別にコロナ自粛をしていたわけではない。なぜそういうことになったのかは不明だが、しばらくして、連日、明け方に訪ねて来るこむら返りにさいなまれ、山歩きどころの状態ではなくなり、歩きたい気も起きなかった。寝る前に軽いストレッチをするようになり、最近になってこむら返りの間隔も開いてきたので、身体と気分の痛みは少しは和らぎ、山歩きも意識できるようになった。さりとて、ロングの山歩きはしばらくはできまい。山中で歩けなくなっているのではどうにもならない。足首の骨折以来、座骨神経痛、腰痛と続き、今度はこむら返りだ。下半身は爆弾抱えになってしまった。次はヒザだろう。もう骨折前の歩きスタイルに戻ることはできまい。加齢による衰えも加担しているはず。飽きもせず冒頭からボヤキが出てしまった。
 さて、前回の赤城のアカヤシオ見物以来、三段の滝と山崖の滝のことが気になっていた。これはふみふみぃさんと瀑泉さんのブログ記事を拝見したからだ。三段の滝は、あにねこさんの記事を読み、上まで登るのはレベル的に無理と判断するのは普通の感覚だろう。箸棒で無謀というもの。せめて下段の滝くらいは猿川を遡行すれば間近に見ることもできるようだ。それで十分。ついでに上段の滝の上にある滝も見られればラッキー。向かいの尾根から眺めるのでは物足りない。正直申せば、傾斜のきつい山登りは足への負担もかかるが、ゆるゆるで歩いて行けそうな猿川ならといった気持ちもあった。

 当日の天気予報は終日、曇天のようだが日中の雨の心配はない。ここのところ、晴れた日は日増しに暑くなっている。昨日のような暑さではその気にはなれなかったろう。もっとも仕事日だった。沢歩きなら暑い日の方がむしろ気持ちも良いだろうが、猿川は巻き歩きで水に浸かることなく行けるようだ。その辺は物足りない感じはするが、無理に水に浸かって、翌朝にこむら返りではかなわない。今の足具合には手頃な沢かもしれない。なお、猿川は「川」ではあるが、以降は「沢」表記にする。猿川は水が滔々と流れる川ではなかった。

(出発地点の二の鳥居)


 二の鳥居の前に駐車する。以前、この辺をぶらついた際には気にも留めなかったが、よく見ると、「赤城大明神」の鳥居は宝暦年間の建造だった。ここは赤城山に向かう古道「あかきみち」で、利平さんの営む茶店もあったわけだ。だれでも知っているだろうことを今さらながらに納得した。後で気になって調べると、一の鳥居は利平茶屋に向かう県道の分岐にあるらしい。大沼の赤城神社を本社とするなら、その間に三、四、…の鳥居があっても不思議ではないが、跡形はあるのだろうか。古道は御神水を経由してケーブル跡に沿って鳥居峠にでも出るようになっていたのか。余談だが、この御神水、先日立ち寄ってみたが、何となく新興宗教の怪しげな施設といった感じがして、長居できる雰囲気ではなかった。水そのものの味もいまいちではあった。

(林道に入る)


(林道の風景。左に猿川。対岸にも車が通れそうな道があるのが見える)


(林道終点。堰堤と道は先に続いている)


 古道にこだわっているわけではない。すぐにどうでもよいこととして忘れ、林道ガードを越える。この林道、地図には短い実線で記されている。南から南東に向かい、その先はその方向のままに破線路になっている。だが、実際の本林道は猿川に近くなってから猿川沿い西方向に反転して上流に向かっている。林道が屈曲しているのは、1204mを経由する尾根が張り出しているせいか。林道は未舗装部もあったりで一定はしていないが、スパ地下で歩いていてもさして苦痛感はない。廃れていないところからして、ある程度先までは現役のようである。
 何度も通る林道なら飽きもするが、自分には初めて歩く林道。猿川の河原も広いせいか、さほどに長く感じることもなく終点に着いた。50分ほどの歩きだった。一定速度での長い歩きは久しぶりだ。毎日二回、犬の散歩はしても、犬の気分、用足しで急に止まったり、方向を変えるのは頻繁で、これはまったく自分の散歩にもなっていず、こんな林道歩きをしたせいか、ふくらはぎの違和感は消えた感じがした。やはり適切で適度な歩きがストレッチなどよりも効果的かもしれない。

(河原歩き。ピンクテープが見える。ずっと続いているわけではない。ということは、別の尾根コースでもあったのか)


(あにねこさん記事のF1かと思う)


(細い水流の滝)


(沢を見下ろして。巻いて行くと、こういう景色になるだけのこと)


(水流が多いなら、眺めているだけでも楽しいと思うが)


(四段状の滝)


(沢の風景1)


(沢の風景2)


(沢の風景3)


(沢の風景4)


(沢の風景5。すべて簡単に巻ける)


(沢の風景6。ここも)


(崩壊地)


(沢の風景7)


(沢の風景8)


(沢の風景9)


(沢の風景10。見た小滝はすべてここに出している)


(沢の風景11。ナメ。水に入りたくとも入る必要性は感じない)


※この間に入れた文章と写真がなぜか何度やっても入らない。最後の<後日談>の後に入れた。

(ここの左から上に続くガレ溝が使えるような気がしたが)


 何だかすっきりしない歩きになっている。沢靴は持ってきていない。徒渉しなけりゃいけないのなら足を濡らすつもりでもいたし、むしろその方が気分もすっきりしたろうが、すべてが小さく巻いて先に行ける。これでは、スニーカーでも歩けたかもしれない。ところどころで目にする小滝やら段差のある小ぶりの滝を眺めてはうさ晴らしをしていたが、ようやく、左手前方に三段の滝らしい滝が見えてきた。滝は猿川の支流になる。本流からは20mほど奥まって位置しているか。ここに至って、変化が出てきてほっとした。林道から離れて50分経っている。気分的には長くもなく短くもなく相応のものだった。
 三段の滝に向かう前に周囲を観察した。決して、さらに上の段に向かうための観察ではない。上に登るつもりははなからない。あにねこさんたちは当初、右から巻こうとしたが脆いので、さらに先まで行って巻いたようだが、右ではなく支流に入ってすぐ先の左にガレの窪み状があって、これが上まで続いているようだ。木の葉が繁茂して先はしかとは確認できず、不安定な岩場を通過するようでもあるがそこを行けそうな気がしないでもない。その分野の専門でもないので、無責任なことは言える。まぁ、エキスパートのご三方だ。当然、その辺もチェックして、左は無理と判断して右先から大回りしたのだろうが。

(下段の滝)


(落ち口)


(下部)


(ここからでも行けるか。なんてね。ここから見る限りは、登り切ったところと落ち口が尾根状になっている。ただ、緑に隠れた危険が潜んでいるかも)


(紅葉の頃はきれいかも。美滝でなくともモミジが加われば絶品の滝になる)


(改めて)


 下段滝の感想。美滝とはいえない。うまい表現は浮かばないが無骨な滝だ。あにねこさん記事では落差45mのようだ。傾斜が急なので、下から見上げる限りはそれほどの落差があるようには見えない。それと肝心なのが水量だが、あにねこさんの記事写真とさほど変わりはない。支流の滝だからそんなものなのか。たとえば台風の直後ならかなり豪瀑かもしれないが、滝つぼがないところからして、元から水量は少ない滝なのかもしれない。素人の滝感想はこんなものだ。上まで行ってみたいなという気持ちが起きたのは否定できない。それは、期待したほどの美滝ではなかったからのことで、下段よりは中段、さらに上段のすべてを見れば、一応の満足にはなるかなと思ったからだ。だが、自ずの力量もさることながら、ヘルメットもロープもなしで来ているからには土台、無謀な話。途中で行き詰ったらどうにもならない。

(猿川の上流方向。左の細い水流が三段の滝から来ている。あにねこさんたちは、最初にここから上に取り付こうとしたと思われる)


(ここから右岸に登るのは無理でしょう。ということはさらに先からということになるが。自分で登るわけでもないから、これ以上の詮索は無用だ。後は瀑泉さんが現地でお決めになるだろう)


 本流に戻り、下段滝をチラ見できる岩の上に座って一服する。目の前にある脆そうなところからあにねこさん達は登って撤退し、さらに上流から登ったのだろうが、確かにそちらからの方が確実には思える。ただ、その真下は崩れて地層が剥き出しになっているし、先は岩壁で見るからに恐ろしい景色になっている。落ちたらただでは済むまい。自分としては、どうしても滝の左手のガレの溝が気になる。あにねこさんが行かれたのは5月15日。こちらは31日。日付だけでは16日の違いだが、濃い木々の葉が視界を塞いでいる。上がしっかり見えていたら、目で辿ることもできるだろう。この緑の繁茂は、後になって改めて感じ入ることになる。瀑泉さんが三段の滝の全容を見られたのは5月9日。引き算すれば22日だ。自分にはそれが見えなかった。
 本流の遡行もあとわずかだ。地層の脇を流れる小滝は細い。大岩やら大石がゴロゴロしてくる。そして、先には大きめの滝が見える。大きな石に手をかけたらゴロンゴロンとかなり下まで転がって行った。慎重にならざるを得ず、滅多に石には手をかけられない。崩壊が日常的な状況らしい。ただ、この辺まではまだ始末もよかった。

(二股。右股に滝が見えたので、そちらを選んだ)


 二股になった。直進と左。比率は同じようだが、さっきから見えている滝は右股側にある。ここは直進。この選択には、もう一つの理由があって、いずれ1204m標高点のある尾根に出ることを考慮すれば、尾根から離れる左股よりも、近づく右股が正解ではないかと思ったからだが、左股を行けば、あるいは、長七郎山の裾野を巻く林道に近づくのかもしれない。左右股の間も小尾根状になってはいるが、これはどこに行くやも知れず、使わない方が無難に思える。

(最後の滝の手前にこんな水流があった。後で思うと、滝を見たら、さっさと戻って、右手の岩を巻いて枝尾根に出ればよかったようだ。ここは、右が脆そうだったので左手から巻こうとした)


(砂地の登り。苦闘の登りだった。スダレが右に見えている)


(スダレの上に出て滝を見る。たかが5~6m滝を間近に見るのに苦労した。この滝もまた右から這い上がったら小さな落盤を起こす)


 ここで最初の失敗。最後らしい滝にこだわったこと。大した滝でもなさそうだが見ておきたかった。滝下からなら本尾根ではないにせよ、左岸側の枝尾根に這い上がることができた。まだ先でたやすく上がれると思った。
 滝の流れの前にスダレ状の水流がある。まず、これを越えないといけない。ここまでのガレ沢はここからいきなりザレ場というよりも火山灰土のような細かい砂礫になった。左から巻くつもりでいたが、まったく先に進まない。ズルズル。頼れるつかめる物もない。後退して左岸の尾根に逃げようかと思ったがすでに遅い。斜面の半分まで来ていて、下を見ると、思った以上に急だ。トラバースを試みたが、転げ落ちそうで、とにかく何とか右岸側(つまりは二股の中尾根)の草地に逃れた。

(中尾根歩きになってほっとしたが、結果として一時しのぎ)


(尾根の左はこうなっていた)


 次の失敗。滝の上の横断。二股の中尾根に乗ると、シカ道があった。ラッキーとばかりに追うと消えた。滝の真横に立った。近づく。降りられない。ここでヘルメットを持ってこなかったことを後悔した。そして、スパ地下のスパイクがかなり摩耗していたこと。水気のある砂礫にこれでは食い込まない。せめてストックでも持っていたら展開も違ったろう。ズブリと刺し込みある程度の支えになってくれた。だが持っていなかった。先にスニーカーでも歩けたかもなんて記したが、それは大甘な失言だった。
 ともあれ、滝上に降りようとしたが、トラバースになり、草付きではあってもかなりもろそうだ。あきらめた。こうなったら、横断して左岸尾根に登り上げるのはかなりきつい。このまま中尾根を行くことにする。滝の上に水流はすでにない。

(中尾根から左岸尾根への乗り移り。見た目は楽勝かと思った)


(ちょっとした区間だが、砂地の部分の横断に手間取った)


(さらに行っていたら、ここをびくびくして渡ることになった。いずれも、写真で見る限りは大したところでもないのだが)


 悪い状況はこれで済みはしなかった。中尾根の先は崩れかけている。そのまま砂地になって、ぽっかりと左に落ち込んでいるところもある。このまま行くのはまずかろう。幸い、左岸側尾根は接近してきている。乗り移るのが頃合か。だが、そううまく事は運ばない。ここに至ると、涸れた沢はかなり急になっていて、たやすく渡れそうにない。砂地は続いている。
 ようやく砂地はザレになり、部分的にガレも出てきた。砂から顔を出している小さな岩屑も目に付く。すでに先がうやむやになっている中尾根から離れてそーっと踏み出した。岩屑に手をかけると頭がポロリと折れた。上に頭を向け、足を蹴り入れてカニのように横上に移動した。流されたらどうしようとは思わなかった。そんな余裕はない。ようやく大石が目に付くようになり、左岸の草地斜面に到達。直前につかんだ頭大の石は沢を物騒な音を立てて転がり下り、すぐに視界から消えた。すでにノドはカラカラだが、この場から早いとこ逃れたい。すべては最後の滝を右岸から越えようとしたところから始まった。もっとも、滝下で左岸から巻くのは無理だったし、もっと下からならそれも可能だった。

(とにかく上に向かう)


(踏み跡を追う)


(何やら、標識のようなものが見えた)


(行止りの標識だった)


(これを見てほっとした)


 見上げると、尾根上はかなり痩せているようだ。このまま斜面を上に行かず、しばらくこのままトラバースしながら登ると、広い尾根になった。そして、ひょっこりと踏み跡の続く尾根に出た。助かった。その間にヤマツツジやら砂礫地帯、草地の写真を何枚か撮ったが、大方がピンボケになっていた。かなり動揺していたのだろう。
 方向感覚もなく踏み跡を下って行くと、先にベンチが見え、標識と看板が立っていた。表に回ると、標識には「行止り」とある。自分の居場所がすぐにわかった。前回来た際、鳥居峠から回り込んで林道を歩き、ここを経由して利平茶屋に下るつもりでいた。ところが、たまたま前を同じ歩程で歩いている単独氏がいて、目障りだったので、途中から認可されたコースを基調に、アカヤシオの寄り道をしながら下った。そこで御神水に寄ったわけだが、その後に標識を読み間違え、登りに使った尾根に合流してしまい、しばらく下る始末になった。その時の単独氏とは駐車場に同時に着き、思わず顔を見合わせてしまった。ふみふみぃさんの車はまだあった。どこをどう歩いているのやらと気になったものだ。
 ベンチに腰かけて水を二口飲んだ。空腹感はなく、タバコを深く吸った。さて、これからどうしよう。三段の滝の上の滝のことはすでに頭から飛んでいる。看板はイラスト付きで「遊歩道案内標識」とある。遊歩道か。現在地は「シャクナゲ自生地」。なるほど、花のないシャクナゲの葉が繁茂している。ふと思った。瀑泉さんはここを通って、三段の滝の全容を眺めたのではないのか。では、その観瀑台に行ってみようじゃないか。ただ、次の予定は山崖の滝だから、ここに一旦戻って、反対側に下ることになる。そのまま遊歩道を行ったら、滝は遠回りになる。そもそも、どういう遊歩道になっているのか、地図を見ても皆目わからない。少なくとも、遊歩道である以上は1204m尾根を二の鳥居に出るわけはない。

(もうヤマツツジが盛りなんだなぁ)


(確かに遊歩道だ)


(三段の滝が見えた。あれが上段の滝かと思う。ここから見れば垂直)


(さらに先まで行って見た。ようわからん)


 ともかく観瀑台に向かう。ヤマツツジが咲き誇っている。それだけでも気分は良いが、どんどん下るところからして、戻りが不安になってきた。右手にアレかと思ったところの対岸はただの崩壊地。さらに下る。ようやく見えた。正面ではあるが、草木が繁って中段らしきところから上がチラリと見えた。左右ともに岩壁じゃないの。迂回したとはいえ、あにねこさん達はよく登ったものだ。全容は見えていない。これでは満足できず、さらに遊歩道を下る。
 三段の滝が右寄りに見えるところまで下ったが、対岸の生い茂りでダメ。すっきり見えない。もういいか。全容を見られるのは葉が落ちた冬の時季かもしれない。あきらめて戻る。登り調できつかった。

(どうも気になりながら)


(息切れして戻って大休止)


 ベンチに腰かけ、ぐったりして空腹をいやす。一服して下ることになったが、三段の滝の上の滝をここで思い出したところで、おそらくは行くまい。猿川のフィニッシュで神経をすり減らした。遊歩道を山崖の滝を目指して下ることにする。

(「遊歩道」を下る。シャクナゲ自生地)


(足を止める)


(険しい下りといった感じ)


(行き止まりになっていたので右手に下る)


(すぐに堰堤が見えた。山崖の滝は堰堤の間にある滝のようだ。それを思うと興ざめしてしまう)


 遊歩道とはいってものんびりと歩けるハイキングコースではない。踏み跡が入り乱れているところもあって、どっちを行けばいいのか迷うところもあるが、いずれは合流するようになっているようだ。ご丁寧に朽ちた木を横に置いているところは先には行くなという目印だろう。もうアカヤシオは跡形もなく、シロヤシオの花びらは散在し、たまに見かけるミツバツツジは見るに堪えない。今はヤマツツジが盛りになっている。

(ザレの横切り。こんなのは、猿川からの脱出を思えば、踏み固められている分、赤子の手をひねるようなものだ)


(ロープ付きの急下り)


(2mもあったか。クサリ付きの岩棚歩きはご愛嬌にも感じた。アレがなかったら、変化のある遊歩道ということになる)


(向こうから下ったが、渡しの上に乗ったらかえって危ない)


 沢音が近づいてくると遊歩道にも変化が出てくる。「行止り」の標識が出てきたり、ザレ地の横切り、ロープ、そして折れた鉄の渡し、足元注意の標識…。滝の標識は「三階の滝」となっている。これは遊歩道といったレベルからは離れている。もっとも、この遊歩道が現役で通行可能なのかは知らない。少なくとも、後になって利平茶屋に置かれたイラストの遊歩道案内看板には「崩れのおそれがあるため」とシャクナゲ自生地の西側にシールのようなものが貼られていたが、通行禁止なのかは警告されていなかった。そもそも、あちこちに行止りと通行止の標識があって、どこをどう外れれば自己責任なのかわからなくなる。

(山崖の滝が見えた)


(山崖の滝)


(落ち口)


(ここが中段だとすれば三段の滝にはなる)


(ここも滝つぼなし)


(上が明るく、下は暗い。タイミング的にどうしようもないか)


(ここも紅葉の時季かねぇ)


 左下に滝が見えてきた。河原に下りる。ここもまた滝つぼはない。三段の滝の下段滝よりは美瀑。これは上の落ち口が見えているからだろう。三階の滝とも記されているわけだから、三段滝のように見えなくもないが、下から見る限りは落ち口の先が見えない。あるいは、その先に小さい滝があるのかもしれない。この滝、写真を何枚も撮ったのはいいが、上段には光があたって、下段は日陰。ろくな写真はなかった。時間的には失敗タイムだった。
 上に行ってみようかとも思った。左から大回りになりそうだ。ただ、一帯がどうも脆そうで、踏ん切りはつかなかった。結局、ここで滝を眺めてしばらく休む。この滝、豪瀑ではないので印象には残らないかもしれない。

(帰途に就く)


(堰堤は続いている)


(林道に出た)


(ここに置かれた標識。述語はどうなっているのか、どこを歩けないのか皆目知れず)


(橋を渡る)


(橋の上から)


 重くなった腰を上げて河原を下る。この辺を歩くのは初めてだ。探索というほどでもないが、河原をぶらぶらして歩いて行くと、あっさりと林道に出てしまった。橋を渡ると、以降は見覚えのある風景になった。

(クリンソウを見かけた)


(キャンプ場には管理する方の軽トラを見かけただけ)


(石碑が見えて)


(お不動様でした)


(利平茶屋の駐車場)


 コテージ群を通過して、駐車場が見えてくる。ふと岩の方に目を向けると石碑のようなものが見えた。何だろうと行ってみると、お不動様だった。「寛政六年」「上州勢多郡下田澤柏山村中」とある。火焔の色は残っているが、お顔は半分風化してしまっている。200年以上も風雪にさらされたままでこれなら立派な方だろう。
 駐車場には車が三台。アカヤシオの時に比べたら随分と少ない。果たして山歩きなのかもわからない。ここから舗装道を二の鳥居まで歩くことになるが、下りだから楽なものだ。途中、公園の監視人らしき腕章を助手席に置いたオッサンに、乗って行くかいと声をかけられた。二の鳥居に車を置いているからと答えると、あぁあれかと言われる。立場上、不審な車と思われていたのかもしれない。

(車道とはいっても県道になっている)


(途中で沢に下りてみた)


(帰着)


 歩きながら、三段の滝の上の滝を見忘れていたことに気づいた。改めて行くほどでもないだろう。三段の滝の下段滝と山崖の滝を見られただけで十分だ。それにしても、猿川最後の砂礫脱出はしんどかった。ただのザレ場とあなどってしまったのが失敗の元だった。

(帰り道で見かけた石仏。年代は宝暦とあった)


(今回の軌跡)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」


<後日談>自分と同じような歩きで、猿川沿いに遊歩道まで出た方のヤマレコ記事を見つけた。6年前のものだ。この記事には「スニーカーでも問題ありません」とあった。最後の滝を左から巻いた手順も同じだったが、その後は「ガレ場を通って右の尾根に逃げた」とあった。ガレ場? 自分にはザレと砂礫はあっても、ガレ場は見あたらなかった。ガレ場だったら、こんなに大騒ぎして右に逃げることもなかった。自分の思い込みかもしれない。あるいは6年の間にガレの石は大方が崩れて流されてしまったのだろうか。その辺は何とも言えない。

※の部分に入る文章と写真は以下……

 林道終点からも堰堤は続いていて、しばらく沢沿いは道状になっていた。最後の堰堤を越えると河原歩きになった。古いテープも目についた。程なくして、あにねこさん記事にあるF1らしき小滝。2mほどのもので、果たしてFナンバーを付けるのもどうかと思うが、アングルは違うものの、あにねこさん記事のF1に形状は似ている。これは帰宅してから写真を比較しての話だ。以降、Fナンバーは主観も加わるので記さないことにする。
 この辺は沢歩きをしているといった感じがあまりしない。大岩の上を歩いたり、間を抜けたりしているためだろう。水流も細い。上に行くに連れて、川幅は次第に狭くなり、渓谷じみた雰囲気になっていく。きれいな水の流れ落ちもあちこちにあるが、期待したほどに水量は多くはない。渓相としてはかなり荒れている。大岩が点在し、左右は絶壁状になっているところもある。これは、沢の源らしい長七郎山自体の崩壊化に起因しているのではないだろうか。上部に向かうほどに崩れが目に付く。沢登りには「楽しい」という言葉が付き物だが、徒渉して歩いているわけでもないので、楽しさは感じない。見るほどの滝もなく、そのほとんどがあっさりと巻ける。赤茶けた川床を目にすれば、魚もいそうにはない。これでは釣り人も入らないだろう。崩壊が進んでいるだけに、絶壁を眺めたりしながら歩いている分には確かに楽しい。何を言いたいのか、自分にもよくわからないが。

(三段の滝が見えてきた)


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2 コメント

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Unknown (瀑泉)
2020-06-06 21:25:28
猿川のお歩き,お疲れさまでした。いやはや,それにしても,こんなに早く三段の滝へ向かわれたとは(驚)。気になった処は早々に片付けてしまう辺り,流石はたそがれオヤジさんですワ。自分なんて,前々から気になっていた割に,最近まで忘れている始末で,とても真似できませんヨ。
ところで,下段の滝の巻きラインの詳しい情報,ありがとうございました。ただ,左のガレの窪み状は,改めて上からの写真を見返しましたが,行けないと思いますヨ。というのも,尾根状の処を仮に登っても,落口まで繋がっておらず,その先は,絶壁になってますからネ。
自分的には,少し大巻きでも二俣から右岸に取り付くのが良いと思ってますが,どんなモンでしょう。(ふみふみぃさんも上に行きたいと仰ってたケド,おそらく別の理由で其処からだと思いますヨ)。
それにしても,ラストは左岸尾根に抜けられるとは。以前,赤城良常さんが詰めていて,真似する気にもなれなかったんですが(http://akagi411054.moo.jp/shoko3/sarukawa060512/sub3-263.htm),やはりノドカラだったようですネ。まぁ,自分は,目的を果たしたら無理せず戻ることにいたします。
遊歩道の下り,おそらく渡しの辺りが崩れたのではと思ってますが,猿川の詰めを経験された後では,比較にならないでしょう。ちなみに,吊り橋近くの遊歩道入口は,ロープが張られ,当分の間閉鎖の倒れた看板がありましたヨ。
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瀑泉さん (たそがれオヤジ)
2020-06-07 06:49:37
瀑泉さん、こんにちは。
赤城さんの記事は拝見していましたよ。その時はカモシカばかりが気になっていて、失礼ながらあの方の文章の言い回しからして、どこをどう通って行ったのかわからず、瀑泉さんの今回のコメントで改めて拝見し、掲載写真からようやく理解できたような気になっていますが、実のところよくわかりません。さらに先まで行かれたようですが。
瀑泉さんが三段の滝をお忘れになったのは間をとりすぎたからであって、そんなことはだれにもあることで、こちらは、お二人の記事があったから、記憶から離れずに気になったので行ってみただけのこと。新しいところに目が向いてしまうので、瀑泉さんのように忘れてしまったスポットは、思い出せないくらいに沢山あります。
肝心の三段の滝ですが、滝右岸側溝はダメですか。上に出ても絶壁で下りられないわけですか。このあたり、やはり甘い現地調査でしたね。やはり二股に出て右岸ですか。100mはないにしても、かなり先ですよ。あにねこさんたちは、まさかここまでは来ていまいと思いましたのでよく観察はしませんでしたが、角に大岩はありましたが、隣は頼りになりそうな太い樹々は上に続いていましたね。
さて昨日、日光に行って来ました。霧降の滝の下段が気になっていましたので、下って見てきました。一旦戻り、今度は廃道ハイキングコースから外れて上の滝を見に行こうとしたのですが、真下に見える霧降川の水量と音に圧倒され、すごすごと戻って来ました。いずれ改めてということになりました。
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