たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

雲竜渓谷を見下ろそうと黒岩目指すもコース半分で退散する。

2012年03月04日 | 日光周辺の山
◎2012年3月3日(土)

 先週の水曜日からずっと風邪引きの状態である。かれこれ10日。その間、福岡の出張があり、現地では最悪の状態になっていた。出張終了の翌日は土曜日であったため、湯布院に一泊し、由布岳に登るつもりでもいたが、体調がすこぶる悪く、温泉にはゆったりつかったものの、結局、国東半島石仏巡りになってしまった。もっとも、登るつもりの土曜日は雨で、前日に見えていた由布岳は一度も姿を現すことがなかった。体調が万全だったとして、果たして行けたかどうか。ここ数日、風邪もようやく治りかけている。土曜日は天気がいいらしい。咳込んだり、鼻を垂らしながらぶらぶらしていたのではもったいない。多少無理してでも歩きたい。迷いもなく日光に決めた。さて、日光のどこに行くか。凍結のいろは坂を走る気にはなれないから下になる。雲竜渓谷には縁がないし、特に行きたいとも思わないが、上から見下ろしてみるのもオツなものかもしれない。楽ちんスノーシューで行ってみよう。と、出がけのテンションだけは高かったのだが。

(白糸の滝。氷瀑とは縁がない)


 当初、二荒山神社から歩くつもりでいた。しかし、駐車場の営業は9時からで、ロープで締められていた。雪の坂を危なっかしくバックして滝尾神社に向かう。雪道ながら、しっかりと車の轍はあった。駐車場には車はなかったものの、すぐにどんどん入って来る。こちらはもたもたの準備中だ。様子を見ていると、車は工事関係の方々のようで、ここから工事用車両に乗り換えて雲竜渓谷への林道に入って行くようだ。地面が露出し、まだスノーシューの状態ではないので、アイゼンを付けた。スノーシューは、自転車の荷台用ゴムでザックにくくりつけた。これは意外と便利な代物。ハイカーらしき車が入って来た。ここから雲竜渓谷まで歩かれるようだ。ご苦労さま。出発。7時50分。親方らしきオッサンに声をかけられた。雲竜渓谷に行くと思われたらしい。話を聞くと、雲竜渓谷も、雨が降ったため、もう見頃じゃないそうだ。傍らの白糸の滝は氷瀑にならず、普通に流れていた。

(行者堂)

(林道合流)

(殺生禁断碑)


 気づくと、行者堂の前でアイゼンがおかしくなっていた。左右ともに、爪先部分が靴から外れて外に向いている。左右を間違ってはいない。バンドの締めが甘かったのかなと締め直す。50mも歩いたらまた外を向いた。直す。そしてまた外。靴に合っていなかったのだろうか。車に戻って、なじんだ古いアイゼンと交換することも考えたが、どうせスノーシューになるだろうからと、もう、そのままで歩いた。外れはしないが、上りのカーブがスリップした感じで不安定になる。ツボ足でも行けそうだが、下が固まっている。初っぱなから嫌な予感がした。行者堂では薄日もさしかけた。すぐに陽は隠れた。先をだれも歩いていない。窪みを追って歩く。今のところ雪は少ない。林の中だからだろう。林道に出て、また林に入る。いつも思う。この林道は現役なのだろうか。どこに出るのだろう。轍はない。雪は多い。殺生禁断碑に着く。8時35分。アイゼントラブルでえらく時間がかかってしまった。ここからは、当初の予定通りにスノーシューに履き替える。ほっとした。このアイゼンも、新規購入してもう3年近くになるが、つい古いのを信用して使ってしまっていた。新参者はヘソも曲げるだろう。

(防火帯に逃げてみたが、先はヤブ)

(夏道に戻ると、こんな案配で雪のトンネル状態)


 ここから、もう一つの殺生禁断碑に行きたいところだが、今日の目標は黒岩、行けずともせめて八風だ。女峰山なんて、大それたことは考えてもいない。極めて控えめの目標。余裕があったら、下りで立ち寄りとしよう。雪が一気に深くなった。スノーシューでちょうどいい。ワカンならかなり沈むだろう。グイグイと足が先に進む。スノーシューのいいところはこれだ。だが、予想外のことがあった。それは、木の枝に付いた雪。雪の重みで垂れ下がり、夏道の窪みの上を覆う。所によっては両サイドから迫っている。杖で雪を下ろし、枝をはねのけないともろに雪を被る。この作業が随所にあり、手間取る。せめて、先行者がいて、トレースがあり、雪払い済みだったら、何とも楽だったのになぁ。次第にうんざりしはじめ、東側の防火帯に逃げることにする。しばらくは良かった。窪みがない分、雪は深い。スノーシューを履いていても膝までくる。やがてヤブになり、早々に退散。夏道に復帰。

(本当に束の間の晴れ間)


 一瞬、晴れ間が覗いた。見上げると真上だけだが青空になっている。天気予報は当たったなどと感心し、さらに、これからの歩きに期待も出た。陽にあたった木々の雪は誠にきれいで素晴らしい。車にはスキーも積んでいた。スキーで来ればよかったなぁ、失敗した。なんぞと思ったりもした。このルンルン気分も10分間で終わる。すぐに白から灰色の世界に逆戻り。しかし、いずれは晴れてくれるだろうと、期待感は少なからずあった。いつもなら見えてくるはずの女峰山はまったく見えない。

(稚児ヶ墓)


 稚児ヶ墓になかなか着かない。やけに長く感じる。気づかずに通り過ぎたかとまで思った。9時50分、ようやく稚児ヶ墓に到着。ここまで2時間もかかってしまった。これでは、黒岩までさらに3時間半はかかりそうだ。八風までにしておこうかと、次第にテンションも下がってくる。稚児ヶ墓の地蔵さんの雪を払い、一服。ザックを下ろした。ザックは真っ白になり、水浸しの状態になっていた。やばいと思い、上蓋からタバコを取り出すと、これは濡れずに済んでいたが、ライターに火がつかない。2個ともいかれてしまった。命綱の火がないのでは湯も沸かせない。あ~ぁだ。またラーメン用具一式が荷物になってしまったか。菓子パンを半分かじった。食欲がわかない。手鼻をかんだら、大量の鼻汁が出た。どうも本調子じゃないみたいだ。

(晴れてりゃなかなかいい景色なのだが)

(寒々としたツツジヶ原。ここは鹿道だらけだ)

(水場の案内板)


 雪が降ってきた。視界も悪くなる。雪払いはなおも続く。汗もかき、メガネが曇りだし、さらに雪も付くようになった。先が見えない。メガネを外して歩く。ツツジヶ原(自分でつけた名前だが)を通過。そこいら中に、鹿が寝転んだ跡がある。寒々とした殺風景な景色が広がっている。ほどなく水場の案内板に到着。10時40分。かかり過ぎだ。もう歩くのが苦痛になっていた。ちっとも楽しくない。これ以上は行っても仕方がないと判断。天気が好転する可能性は0に近くなった。無難にUターンしてしまおう。せめて、ここまで来たからには、寂光石でも見てから帰ろうか。水場の沢に下り、登る。この辺はすごい積雪だ。スノーシューでも股まで埋まる積雪。ラッセル状態だ。さっぱり進まない。

(寂光石に向かう途中の壁を乗り越える)

(あのこんもりが寂光石)


 寂光石は雪で覆われ、遠目には石の姿がこんもりとしているだけだった。一応、これだけでも満足したことにして下る。雪の降りがますます強くなった。ツツジヶ原を下ると単独氏が上がって来た。唐沢小屋に泊まるそうだ。見上げたものだ。とても真似できない。さらにツボ足で歩いていた。こちらは、温存体力もすでになしの状態。そして、汗でびっしょり。ラッセルが効いた。彼に、水場マークまではトレースがあるからねと言い残したが、彼には、あまり、意味もなさない言葉であったろう。

(西側ルート。この時期はなかなかの曲者だった)


 稚児ヶ墓の手前を、今度は西側に下ることにする。ここも防火帯だろうか、それとも旧道といったところだろうか。間もなくヤブになった。東側の防火帯よりもヤブが濃い。以前歩いた時はそれほどの印象はなかったけど。巻いても、雪を被る。もう、フードをかぶり、かまわずに強引に歩いた。夏道にようやく出た。あれ、ツボ足がもう1人分増えている。2人分か。迂回している間に通り過ぎたようだ。この時間だし、唐沢小屋泊まりだろうが、すごい方々がいるものだね。脱帽するわ。雪質がさっきまでと違い、湿気を帯び、やたら重くなってしまっている。雪は降っていても、気温が上がっているからであろう。

(外山)


 もう一つの殺生禁断碑を見ておこうと、東の防火帯に入る。自分のトレースだけが残っている。さて、どこだったけと、目印を探すが見あたらない。グルグルと回った。見つからない。視界もどんどん悪くなっている。埒が明かない。目印を外されたわけでもあるまい。断念して夏道に戻る。もう帰るか。殺生禁断碑の前でスノーシューを外し、ツボ足で下った。あっという間ではあったが、すこぶる長く感じながら行者堂に到着。石段の雪が解けてグショグショ。もう雪は上がったがどんよりとしている。正面に寒々とした外山が見える。駐車場着12時半。

 早々に着替えたかった。汗をしこたまかき、雪で濡れてもいる。ところが地元ナンバーのオッサンにつかまってしまった。裏見滝周辺の滝の探索をして来たところだそうだ。何でここにいるのかは不明。話をよく伺うと、沢専門に歩かれているようで、女峰山も、雲竜渓谷からしか入ったことはないそうだ。恐れ入る。ゴム長を履いていたので、冗談半分で、それで滝巡りをされたのかと聞くと、そうだとのこと。スパイク付きであった。登山靴は持っていないらしく、アイゼンが必要な時は、爪先に鉄芯が入ったゴム長に直に装着するとのことだ。そんなこと可能なのだろうか。試してみたい。オッサンの話は結構楽しくおもしろいが、こちらは、まずは目先の下着を取り替えたい。話を打ち切ったつもりでいても、次から次へと話しかけられるものだから、正直のところ困った。さりとて、オッサンの目の前でパンツを履き替えるわけにもいくまい。とうとう着替えは出来なくなってしまった。場所を変えて着替えをするしかない。行者堂を見てみたいというオッサンに道順を教え、ようやく振り切った。運転しながらクシャミが出た。着替えをしたのは、日光宇都宮道路のパーキング。明日は安蘇の山にハイキングと思っていたが、風邪がまたぶり返してしまった。我ながらひどい風邪声になっていた。これでは、明日はダメだな。

 どうも不作続きになっている。天気と自分のタイミング次第だから致し方がない。起死回生とまではいかないが、すかっとした雪山歩きを堪能したいものだ。

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4 コメント

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Unknown (ぶなじろう)
2012-03-04 23:31:05
今晩は。
想像を絶する天気の違いですね!当日早朝は市内から女峰山は確かに見えませんでした。しかし、まさか、これほど暗い山になっていたとは!
中禅寺湖周辺から県境にかけては快晴でした。
写真を見る限り、これはスキー用のコースですね。毎年これほど積もるのでしょうかね?前日の降雪で特別だったのか?
とりあえず、風邪の方をしっかり治してください。
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風邪 (ハイトス)
2012-03-05 00:23:51
少しくらいの風邪なら雪山をラッセルして汗でもかけば吹き飛ぶ・・・なんてやっぱりダメだったようですね。
どうも少しくらいの風邪ではないようです。
結局日曜日はおとなしくしていたのでしょうか。

しかしぶなじろうさんもたそがれさんも負荷のかかる雪山歩きをご所望とは恐れ入ります。
自分なんかは2週続けて里山歩きですよ。
とくに今週はたそがれさんの代わりに安蘇山塊で遊んできましたから。
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ぶなじろうさん (たそがれオヤジ)
2012-03-05 12:10:38
ぶなじろうさんありがとうございます。養生いたします。
ぶなじろうさんのブログを拝見し、あのぴーかんの空模様、どこの社山かと思いましたよ。同じ日光の隣組でもえらく空模様が違うもんですね。狭い灰色の世界にいたものですから、日光の山すべてがああだと思っておりました。驚きとともに、いろは坂を上れば良かったなぁとため息交じりですよ。

デイダラボッチさんのブログを拝見しました。ぶなじろうさんも主役の一員としてラッセルを頑張っていたんじゃないですか。ご自分のブログでは、くっついて行ったかのような記述でしたが。ついでながら、ご尊顔をはっきりと。晴れて、横顔の正面をといったところです。
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ハイトスさん (たそがれオヤジ)
2012-03-05 12:12:39
ハイトスさんこんにちは。
「翌日」はなしでした。安蘇の山とはいっても、私の場合、よりマイナーな寺久保山を想定していました。日光で過激に歩いた翌日は軽くハイキングの予定でいたわけですよ。でも、昨日のどんよりした空模様では歩く気にはなれなかったですね。2日続きの冴えない歩きは勘弁ですよ。
汗をかけば風邪も治る。これ、私も考えていたことですが、大甘でした。決して、着替えのタイミングを逸することになったオッサンのせいではないのです。汗かいて、雪に濡れネズミ状態では、風邪も当たり前に悪化しますよ。それ以前に、無理が出来る若い身体ではないわけですよ。お互い(笑)。
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