たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

意外にもえらく手間どった八方ヶ原スノーハイク

2012年03月08日 | 近所じゃない栃木県の山
◎2012年3月7日(水)

<山の駅たかはら駐車場(8:00)……小間々台周辺(8:35)……大間々台駐車場(9:22)……鳥居(9:40)……八海山神社(10:54~11:05)……矢板市最高点(11:14)……剣ヶ峰(11:34~11:46)……神社(12:23~12:35)……大間々台(13:41~14:22)……駐車場(15:05)>

 水曜日の天気は何とか持ちそうなので、代休をとって塩原(としていいのか不詳だが)の八方ヶ原に行くことにした。年代のせいかもしれないが、有給休暇はすこぶる取りづらく、代休なら、躊躇もなく消化してしまう。さて、今回のスノーハイクは、先日の女峰山山麓歩きが不本意なものだったためのフォローであるが、眺望の点ではあまり多くを期待してはいない。むしろ、谷川岳方面に向かいたかったが、天気が今ひとつはっきりせず、八方ヶ原にした次第ではある。ただ、ネット記事では、積雪期でもよく見かけ、以前から歩いてみたいと思っていたところではあった。春はミツモチと合わせ、ツツジがきれいなところらしい。その意味では、下見といった意味合いもある。剣ヶ峰往復として、夏道のコースタイムの合算は3時間35分。雪質は現地で確かめてみないと判断しかねるが、休憩込みの5時間コースと踏んでいる。場合によっては、大入道経由で下山するつもり。

(山の駅たかはら駐車場)

(しっかりした幅広のトレースの窪み)


 県道塩原矢板線の路面に雪はなかった。冬期閉鎖の学校平入口までは、スリップ1回だけで済んだ。「山の駅たかはら」の駐車場に車を入れる。ここから先は通行止め。駐車場は凍結していて、施設は閉ざされ、自分以外の車はなかった。「たかはら」では、スノーシューのレンタルがあるらしいが、土日のみの営業ということだろうか。車のドアを開けると同時に、那須地方特有の冷たい強風が音を立てて吹き荒れていた。準備をする。ザックにワカンを括りつけて出発。県道に面した「大間々遊歩道」の標識から樹林帯に入る。大間々駐車場までは2.5kmとなっている。ちなみに、大間々駐車場から八海山神社までは2kmとなっていた。その先、剣ヶ峰まで行ったとしても、往復11km前後だろう。標高差は500mくらい。夏道なら、楽なコースともいえる。雪質はやや緩め。歩く人も多いだろうし、あまりぬかることはないんじゃないのか。これは甘かった。500mほど歩くと、つぼ足では無理な状態になり、ワカンを履く。風はほどなく和らいだ。

(だが、この辺に来るとトレースも薄くなる)


 コースはトレースこそないが、1mほどの窪みがずっと続いている。今のところ天気は良い。樹木の説明版があったり、鳥のさえずりが聞こえたりして、気持ちがいい。大間々台までは傾斜もゆるい。「大間々自然歩道」の標識が置かれている。やがて車道をまたぐ。この辺が小間々台だとして、出発から35分経過している。夏道タイムでは20分。出だしから大幅に遅れている。これをカバーして急がないと、といった次元の問題ではないが、今日はかなり時間もかかりそうだ。あるいは剣ヶ峰も無理かも。幸いにも、ここまで、前回、体力消耗の一因となった雪払いがない。これからもないことを祈る(結局は最後までなかった)。

(大間々台)


 林を抜け、雪原になり、大間々台が近づく。無積雪期はここまで車が入れるらしい。陽は隠れたがすぐに出る。今日はずっとこの繰り返しだった。右手には前黒山と大入道らしき山、振り向くと男鹿山塊の山々が壁のように見えてくる。そして、目を凝らすと、男鹿山塊の右端後ろに、あれは茶臼岳だろうか。真っ白だ。先日、野球親爺さんが三本槍ヶ岳に行かれたようだが、薄ぼんやりとしているため特定はできない。実は、氏のブログ記事を拝見し、出がけまでいずれにするか迷っていた。

(林道だろうか)

(鳥居をくぐって本格的な登りになる)

(最初はまだ良かった。迷うことのない窪みがある)

(埋もれた標識。やがて窪みも消えた)


 ここから「青空コース・ミツモチ山」と「やしおコース・ミツモチ」が分岐する。前者の下に「剣ヶ峰」と記されていたので、こちらに向かう。後者に続く窪みは見えなかった。この青空コース、無積雪期に来たことはないので知らないが、幅広の林道が続いている。地形図では実線になっている部分だ。これまで以上に歩きやすい。今日は別だが、歩いている人もかなりいるのであろう。やがて、右手に「見晴コース・剣ヶ峰」の標識が出てくる。そのままの直進は「県民の森・ミツモチ山」。見晴コースに入ると、すぐに鳥居があった。鳥居をくぐる。その先、しばらくはトレース跡の窪みがあり、これを辿って行ける。それでも膝あたりまでぬかる。スノーシューの方が良かったかもしれないが、湿気を帯びた雪では、いずれでも同じだろう。西から北西に向きを転ずるあたりから、窪み跡は気まぐれになり、ラッセル状態になった。テープ類だけが頼りといった感じ。

(釈迦ヶ岳が見えてくる)


 左手に釈迦ヶ岳が見えてきた。その奥のもっこり山は鶏頂山だろうか。日光の山は見えない。何とも残念。風が止んで、雪が降っていないから、今のところ安心して歩ける。両者がセットされたら、この辺は確実に風雪にさらされ、早々に退散の状況だろう。それにしても疲れる。一気に50mも進めない。息が続かない。ずっと頻繁な小休止が続いている。どこまで歩けるか心配になってきた。もうそろそろだろうと思っていたところで、「八海山0.6km」の標識を見る。うんざりする。傾斜がやや急になる。

(右手ピークが八海山だろう)

(ケルンと、後ろは矢板市最高点)


 岩が出はじめ、ケルンが見られるようになった。釈迦ヶ岳の姿が大きくはっきりしてきた。この尾根の先に社殿がようやく見えてきた。その先にもピークが見える。あれが剣ヶ峰だろうか。八海山神社で少し休憩する。八海山という山名板があった。この風景はネットでよく見かけていたので、初めて来た感じがしない。鶏頂山に至る尾根の裾野にスキー場が見える。営業していないエーデルワイスなのか現役のハンターマウンテンか知らないが、ハンタマの最上部が明神岳のようだ。ウィダーインを一つ含む。ここまで来たら、剣ヶ峰までは行きたい。この時点では、この先に見えるピークが剣ヶ峰とばかり思っていた。出発。

(矢板市最高点)

(男鹿山塊。去年、アブ攻めに遭った日留賀岳はどこだ?)

(剣ヶ峰手前の小ピーク)

(手前が剣ヶ峰。奥が前黒山。剣ヶ峰と称する鋭角的なイメージが伝わらない)


 気まぐれにあった窪みも消えてしまった。尾根伝いだから、迷うことはあるまい。テープもたまに見かける。さて、登りついたピークは剣ヶ峰ではなかった。「ここは矢板市最高点1590M」の標識があった。地形図を見直した。確かに中間点にピークがある。さらに昭文社マップを広げると、「1590」が記されている。山の名前はないらしい。剣ヶ峰はさらに先。釈迦ヶ岳は左手前方から左手に移っていく。この先に小ピークがあった。丸い小山だ。そこに立つと、向い側に剣ヶ峰が見えた。今の場所よりも標高は低く、一旦下り、少し登れば剣ヶ峰だ。何とも貧相な姿にがっかりした。写真を撮ろうにも、後ろの前黒山が目立ち過ぎる。50mほど下らないといけないから、ここでやめてもいいかなとまで思った。ここ辺からの男鹿山塊の展望は良い。

(剣ヶ峰山頂)

(山名板)

(前黒山)


 50mほどの下りは100m下降にも感じた。雪が深いうえに滑りまくりだ。剣ヶ峰に到着。どうもほっとした気分になれない。50mの登り返しを考えると気が重くなる。剣ヶ峰からの展望は良くない。前黒山方面は切れているが、木がじゃまになってすっきりしない。この前黒山は栃木百名山らしい。それなりに惹きつけられるところがある山だ。山頂の木に那智山青岸渡寺の御札が結わえてあった。聞きかじり程度のことだが、日光修験形成のベースには熊野修験があったらしい。結局は役小角ということだろうが。大入道方面の標識があった。ラッセルはもういいや。これ以上続けたら、明日、腿が上げられなくなる。このまま戻ろう。

(あの小ピークを登り返す)

(釈迦ヶ岳。この状態では、足を向けるのも無理な相談)

(八海山に舞い戻る)

(林間コースに入った)


 50mの登りはつらかった。ひっくり返りもした。小ピークに立ってようやくほっとした。とぼとぼと八海山に戻る。自分のトレースを追っているのに、なぜか沈み込む。トレースから外れるとそれ程埋もれもしない。八海山に到着。時間的にはランチタイム。八海山で食事といきたいが、風が出てきた。火の回りが遅いだろうからと、菓子パン1個で我慢する。正直のところ、空腹感はあるが食欲がわかないでいる。さて、下りはどうするか。予定では、「林間コース」で大間々台に下りることにしていたが、標識はあるものの、その先は窪みすらない。だが、自分のトレースを辿って見晴コースを下るのも何となくシャクだ。意を決して林間コースに入り込んだ。

(たまにテープを発見)


 すぐにズボズボになった。ストックがグリップまで入り込んでは抜けなくなる始末。窪みはあちこちに目に付くが、これはトレース跡のものではなく、自然現象で出来た窪みだ。目印を頼りに歩いたが、すぐに見失った。踏み出す前にコンパスを合わせていたから、もう、コンパスに忠実に下るしかあるまい。しばらく格闘した。たまに目印に遭遇するが、その続きがない。方向として間違ってはいないようだ。それにしても、この林間コース、雪の間、歩く人もいないのではあるまいか。それとも、見晴コースよりも積雪が多いのだろうか。やがて沢状の地形になってきた。地形図に記された桜沢だろう。破線が施されているが、雪の上では破線も見えない。ただ、右手・南側にずっと行けば、朝の自分のトレースにめぐり合うことは可能だろう。そこに行くまでが大変だから、それは最終手段としておく。沢から南側に逸れて漕いで行くと、テープと標識が断続的に現れた。白黒のブリキも出てきた。積雪量は少なくなった。今度は、テープを見逃さないように注意して進む。

(正解が出てから長かった)

(ようやくお疲れさま)

(大間々台から男鹿山塊)

(前黒山と右・大入道)

(この下で遅いランチタイム)


 沢だか道だか不明なところを2か所越える。窪みが集約されてきた。そして平坦になった。ここからが気分的に長かった。左右前方、同じ雪景色がずっと続く。ようやく大間々台の展望櫓が見えた時にはほっとした。出がけの自分のトレースしか見あたらなかった。今日はだれも歩いていない。これでは、何かあったら大変なことになっていた。携帯も圏外のままだ。櫓まで行き、土台のコンクリに腰をかけて食事タイムとした。インスタントラーメンにソーセージとモチ。湯がなかなか沸かず、40分の長い休憩になってしまった。天気はどんよりとしてきたが、男鹿山塊は朝と同じように見える。ツツジの頃に改めて来てみたいが、ここが駐車場になるのでは、うざい所になってしまうかもしれないな。静かな雰囲気も今ならばこそか。

(歩き出しのつぼ足跡が残っている。どんな気持ちで歩いていたのやら)

(駐車場に戻る)


 そのままの道で戻る。途中、小間々台の手前で別の窪みを追ってみたら、小間々台で合流した。その間、大入道の標識を見つけた。麓で確認した唯一の大入道標識である。半分消えかかった朝の自分のトレースが登って来ている。自分の足跡であっても、思いはおかしなものである。ワカンに履き替えた後のトレースは無機質的な感じを受けるが、ツボ足で歩いている足跡は一つ一つに感情が漂って見える。下りは気力のみで歩いたが、意外にあっさりと戻れた。駐車場は朝のままガランとしていた。風が出てきた。というよりも、ここの駐車場エリアは風が強くあたる所なのだということを知った。もう3時を過ぎている。明日は平日のままだ。早々に着替えて、帰途に着く。

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8 コメント

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剣ヶ峰 (みー猫)
2012-03-09 22:24:05
こんばんわ
秋の微妙な天気(ほぼ雨天)のときに行ったのですが、剣ケ峰・・・・すっかり見落としてました。いつかきっちりと大入道コースを歩いてみたいです。
日留賀岳のアブって、たそがれオヤジさんでしたか・・秋に自分が登ったときになぜハイトスさんが、アブを気にするのかそのときは分からず、虻と蛇を間違えるわけもないなあと思ったりしたのです(笑)
みー猫
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みー猫さん (たそがれオヤジ)
2012-03-09 23:05:53
こんばんは。平日山行でしたから、気づく方も少ないと思っておりましたが、目をとめていただきありがとうございます。
みー猫さんの釈迦ヶ岳目ざし、改めて拝見しました。一昨年の9月でしたか。矢板市最高点で敗退だったわけですね。写真を拝見する限り、どこか他の山のイメージで、どうも、そこを一昨日歩いたといった気がしませんね。おそらく、雪のない時期に改めて行けば、何やら来たことがあるような…といった具合でしょう。
蛇足ながら、剣ヶ峰は見落としてもいいピークかとも思いますが。あそこは、目的地ではなく通過点ですよ。

さて、日留賀岳の思い出は余計なモノがつきまとって、強烈に残っております。2か月後に行かれたみー猫さんの記事は拝見しておりましたが、何でこうも違うのか、さらに、あの時は、アブのために、途中の景色もほとんど記憶なしの状態でしたし、紅葉がきれいな写真を見ていると、行く時期を誤ったと後悔していました。いつか、改めて、行き直しのつもりでいますよ。
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八方ヶ原 (ハイトス)
2012-03-10 20:00:37
平日山行でしたか。
体力の衰えといわれますが、なんのなんのこれだけ雪の中を長時間歩かれるのだから感心です。
たそがれさんがもう少し体力が落ちると同行しても迷惑をかけずにすみそうなのですが。

この山域は高原山に行った時の記憶がありますので何となくわかりますが、自分の場合積雪期の山行は一度は無雪期に走行した場所で無いと不安があります。
もっとも雪があると風景も一変しますので気持ちの問題かもしれませんがね。

日留賀岳のアブは自分も強い印象があり、絶対にたそがれさんの行かれた時期は避けなくてはなりません。
みー猫さんの行かれた頃が良いようです。
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Unknown (ぶなじろう)
2012-03-10 20:19:17
今晩は。
どうも、代休山行でクリーンヒットならずですか?
西平山経由の釈迦ヶ岳あたりの方がたそがれさんらしい気がするのですが・・・(もちろん、冬季はおいらは無理)。とか、言いながら、おいらもこのコースに冬に行ってみたかったのです。写真を見る限り、スキーでも可、なのかなと思ったりもしているのでが、その辺はどうなのでしょうか?ご教授願えれば幸いです。
ミツモチ、大入道のツツジでしたらK女史にピッタリコースですよ!シロヤシオ、ミツバ、山ツツジが派手に咲いとります。シーズン後半はレンゲツツジが巨大に咲いとります。
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ハイトスさん (たそがれオヤジ)
2012-03-10 22:40:42
何をおっしゃるハイトスさん、でしょうか。
今回は、時間だけの無駄歩きのようなものでした。確かに、このコース、無積雪期にすら歩いたことはありませんでしたから、かなり不安でした。さらに、甘くもみておりました。ハイキングコースだからと。
失敗のいい例ですよ。
こんなコースでも、やはり、夏道での下見は必要だと実感しました。特に、林間コースでの下りは沢に出会いますから、事前に地形を把握していないとまずいですよ。

日留賀岳は、確か、おKさんから賛同なしということでしたよね。単独で行かれる際には、お声かけくださいよ。アブでもヘビでも、2人いれば2分しますから。倍になったら、その時はその時でしょうね。
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ぶなじろうさん (たそがれオヤジ)
2012-03-10 23:08:29
西平山とはどこかいな?と地図を広げて確認いたしました。そんなコースもあったのですね。どうも、思考が八方にいかず直情的でした。懸案として検討してみましょう。まっ、積雪期は無理でしょう。

相変わらず、ここのところの雪山はクリーンヒットにはなりませんね。やばい情況と隣り合わせであってこそ、雪山のおもしろさなんだ、なぞとおかしななぐさめをいたしております。でも、確かに、からっと晴れた、ラッセルもたいしたことのない、歩きをしてみたいものですね。ストレスのようなものが溜まってきましたよ。

さて、スキーの件ですが、当初、スキー歩きも想定して、板を積んでいきました。場合によっては、車に戻ってスキーにしようかとも思っていたのですが、傾斜が緩すぎます。大間々台あたりは、滑れませんね。また、林間コースの下りはやわい雪が深すぎます。スキーなら、見晴コースを下った方がいいでしょう。

やはり、ツツジの名所なんですね。K女史には雪のない時期なら、ちょうどいいハイキングにはなりますね。ただ、西平山経由の方がはるかに魅力感じますよ。
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日留賀岳 (野球親爺)
2012-03-25 18:31:47
このリポートは見逃していたようです。
平日にお疲れ様でした。
剣ガ峰はおっしゃる通り通過点ですね。
ツツジの時期に釈迦ヶ岳まで行くのもいいかも知れません。帰りは大入道経由がおすすめです。
アブの日留賀岳は最初の写真で左端に山頂がかろうじて写っているようです。大間々台からの写真でも左端に写っている三角の山だと思います。
日留賀岳は夏にはご勘弁という山ですね。
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野球親爺さん (たそがれオヤジ)
2012-03-25 20:23:32
ありがとうございます。
日留賀岳は、あの三角の山ですか。なるほど。
ツツジの時期に改めてと思っていましたが、野球親爺さんのお言葉で、これは、絶対に間違いないなと思うようになりました。
混まない、平日にでも行きたいところですがどうなるでしょうか。
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