昔からマルチガットのウリモンクは、ナチュラルに近いとか、超えたとかいうものが多いと思います。 で、これまで僕はかなりのマルチガットと、ナチュラルガットを試して来たのですが、そのチガイについて少々。
まず、ナチュラルガットという素材に関してですが、知らない人が初めて触れた時に、その硬さにちょっとビックリします。 ナチュラルは柔らかいと思っている人が多いようですね。
それと、ナチュラルガットの表面は凸凹が無くツルツルしていることが多く、断面は真円に近いです。 このこともカンチガイしている人が多いんじゃないかと思います。 上質のナチュラルは当然品質も加工精度も高いので表面は滑らかで、必然的に透明度は高くなります。
次に、ナチュラルガットは張る前に必ずハンドストレッチをします。 何故かと言うと、これをすることによって、ポリガットみたいに巻き癖がキレイに取れて張りやすくなるからです。 で、僕はこれまでマルチでプレストレッチすることは無かったのですが、比較のためにやってみることにしました。
今回使用したガットは巻き癖の強いPrince PREIRE Touch17です。
半分の約6mをハンドストレッチしたのが、画像下の右側になります。
僕の感覚では、ナチュラルに迫るほどではないにしても、マルチにも弾力と伸縮性をけっこう感じました。 見ての通り巻き癖もけっこう取れたので、パッケージ物で巻き癖の強いマルチガットを張る時は、ハンドストレッチをした方が張るのがカンタンになると思います。 まあメンドクサイとは思いますが。
で、構造的に違うのは、ナチュラルにはカバーはなく、ほとんどのマルチにはあるということですね。 もし、マルチガットにカバーが無ければ、耐久性はかなり悪くなってしまうと思います。
ナチュラルガットの断面
こちらはマルチガット
ケミカルガットでナイロン系に替わってポリ系が主流になったのも、表面硬度が高いということが大きいんじゃないかな、という気がします。 ほとんどのポリガットは単一構造で表面カバー無しですから、とにかくツルツルで硬く伸びが少ない。 使う人によっては一概に断定することは出来ませんが、初速の速さと耐久性の良さはここにあるんじゃないかと思います。
マルチガットの場合はポリであれナイロンであれ、弾力にやや欠ける上に表面硬度が比較的低いので、ガットの接触面が凹みやすく、カバーの質にもよりますが、ガットの自由度(滑り)はかなり低くなります。 ハイブリッドで、メインガットにマルチ、クロスにポリを使った場合、ナチュラルに比べるとメインガットの戻りはやや遅く、また、カバーの損傷はかなり早いので、ガットのヨレが出るのは早いですね。
まあ、質の良いナチュラルはホームストリンガーでない限り、かなり高価になるのは間違いのないところではありますが、意外にナチュラルを使ったハイブリッドはけっこう長持ちします。