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錦秋の京都
(つづき)
名残りの茶会を書き進める前に11月1日のお客さまについて記しておきます。
お正客は昨年10月に如庵茶会へお連れ下さったSさま、お詰は同門社中のYさま、
次客のKさまと三客のHさまはYさまの茶友です。
13時待合集合、用意が調いましたら玄関のカギを開け、「在釜」の札を掛けておきます
・・・とご案内しました。
火入の灰形に手間取って12時半に門を開けると、全員が待っていらして、もうびっくり!
あわてて、中へお入り頂きました。
皆さま、茶事形式の茶会は初めてで、緊張のあまり早くに来てくださったとか。
それを伺って、またまた感激に胸を熱くしたのでした・・・(アリガトウ!)
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31日は晴れでしたが、1日はときおり時雨が・・・
昼食がなごやかに終わり、ほっとしながら炭を置かせて頂きました。
中置ではなく、あとの薄茶点前の都合で常据えとしました。
釜は桐文真形で高橋敬典造、風炉は唐銅道安、一之瀬宗和造です。
炭斗は認得斎好みの松山籠、菊頭四方透かしの飾り火箸、羽根はフクロウなど、
いつもの炭道具ですが、珍しく灰形を遠山とし、お香を工夫してみました。
鴨川べりの桜紅葉に沈香をつけた「つけ干し香」を2枚焚きました。
そのあとで風炉中を拝見していただくと、ちょうど枯葉と沈香の薫りが立ちこめて
名残りにふさわしい秋の景色が部屋いっぱいひろがりました。ヤッタね!
香合は、妙喜庵古材の錫縁香合です。
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桜紅葉のつけ干し香
手づくりのきんとん「錦秋」を縁高でお出しし、中立をお願いしました。
(写真を撮る余裕がなかったのが残念・・・)
後座の案内は銅鑼です。
灑雪庵の茶事で銅鑼を打つのもこれが最後かしら・・・一抹の寂しさを覚えながら
大・・・小・・中・中・・・大 と打ちました。
いつもより2時間遅いスタートなので、部屋は早や真っ暗です。
床の間の燭台に灯りを入れ、破れ壷「仙石原」に花を入れ、諸飾りとしました。
花は矢筈ススキ、吾亦紅、アブチロン、孔雀草、射干玉(ぬばたま)です。
蝋燭の灯りが揺らぐ中、濃茶をたっぷりのんで頂きたくて、2碗点てました。
濃茶は「北野の昔」一保堂詰、京都限定だとか。
「お服加減いかがでしょうか?」
「薫り高くまろやかで、美味しゅうございます」
お客様の一言にほっとして、濃茶の緊張感が心地好く緩んでいきました。
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手燭をお出しし、道具を拝見して頂きました。
主茶碗は高麗御本三島、古帛紗は紺地吉祥文金襴です。
もう一碗は、黒楽の長次郎「喝喰(かつじき)」の写しです。
慣れ親しんだ道具の中で特筆すべきは茶入でしょうか。
たつの市・揖保川焼の池川みどり作、Kさん所有の魅力あふれる茶入で、
ゴツゴツした黒い土肌、なぜか円周率を連想する歪んだ形状が気に入っています。
ステキな茶入は振りだしに使われていました(なんと!もったいない・・)。
Kさんからある日突然、
「京都滞在中は永久貸与します。どうぞ茶入を使ってあげてください」
と、2つの仕覆とともに送られてきました。
時々茶事で使わしていただきましたが、最後の出番です。
使うたびにKさんと池川さんの顔や思い出が浮かんできて、存在感のある茶入でした。
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茶入・銘「背負い水」と茶杓
湯相、火相もよく、続いて薄茶を差し上げました。
箕に干菓子3種(南都七大寺、つみ小菊、栗納豆)をお出ししました。
薄茶の趣向はナイショ、参加者だけの楽しみとさせていただきますね・・・。
準備を楽しみ、お客さまとのお出会いを待ちわびた茶会でしたが、
和やかに楽しくあっという間に時が過ぎていきました。
・・・こうして灑雪庵・名残りの茶会が終わってしまいました。
灑雪庵・名残りの茶会-1へ -3へ
(つづき)
名残りの茶会を書き進める前に11月1日のお客さまについて記しておきます。
お正客は昨年10月に如庵茶会へお連れ下さったSさま、お詰は同門社中のYさま、
次客のKさまと三客のHさまはYさまの茶友です。
13時待合集合、用意が調いましたら玄関のカギを開け、「在釜」の札を掛けておきます
・・・とご案内しました。
火入の灰形に手間取って12時半に門を開けると、全員が待っていらして、もうびっくり!
あわてて、中へお入り頂きました。
皆さま、茶事形式の茶会は初めてで、緊張のあまり早くに来てくださったとか。
それを伺って、またまた感激に胸を熱くしたのでした・・・(アリガトウ!)
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31日は晴れでしたが、1日はときおり時雨が・・・
昼食がなごやかに終わり、ほっとしながら炭を置かせて頂きました。
中置ではなく、あとの薄茶点前の都合で常据えとしました。
釜は桐文真形で高橋敬典造、風炉は唐銅道安、一之瀬宗和造です。
炭斗は認得斎好みの松山籠、菊頭四方透かしの飾り火箸、羽根はフクロウなど、
いつもの炭道具ですが、珍しく灰形を遠山とし、お香を工夫してみました。
鴨川べりの桜紅葉に沈香をつけた「つけ干し香」を2枚焚きました。
そのあとで風炉中を拝見していただくと、ちょうど枯葉と沈香の薫りが立ちこめて
名残りにふさわしい秋の景色が部屋いっぱいひろがりました。ヤッタね!
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香合は、妙喜庵古材の錫縁香合です。
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桜紅葉のつけ干し香
手づくりのきんとん「錦秋」を縁高でお出しし、中立をお願いしました。
(写真を撮る余裕がなかったのが残念・・・)
後座の案内は銅鑼です。
灑雪庵の茶事で銅鑼を打つのもこれが最後かしら・・・一抹の寂しさを覚えながら
大・・・小・・中・中・・・大 と打ちました。
いつもより2時間遅いスタートなので、部屋は早や真っ暗です。
床の間の燭台に灯りを入れ、破れ壷「仙石原」に花を入れ、諸飾りとしました。
花は矢筈ススキ、吾亦紅、アブチロン、孔雀草、射干玉(ぬばたま)です。
蝋燭の灯りが揺らぐ中、濃茶をたっぷりのんで頂きたくて、2碗点てました。
濃茶は「北野の昔」一保堂詰、京都限定だとか。
「お服加減いかがでしょうか?」
「薫り高くまろやかで、美味しゅうございます」
お客様の一言にほっとして、濃茶の緊張感が心地好く緩んでいきました。
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手燭をお出しし、道具を拝見して頂きました。
主茶碗は高麗御本三島、古帛紗は紺地吉祥文金襴です。
もう一碗は、黒楽の長次郎「喝喰(かつじき)」の写しです。
慣れ親しんだ道具の中で特筆すべきは茶入でしょうか。
たつの市・揖保川焼の池川みどり作、Kさん所有の魅力あふれる茶入で、
ゴツゴツした黒い土肌、なぜか円周率を連想する歪んだ形状が気に入っています。
ステキな茶入は振りだしに使われていました(なんと!もったいない・・)。
Kさんからある日突然、
「京都滞在中は永久貸与します。どうぞ茶入を使ってあげてください」
と、2つの仕覆とともに送られてきました。
時々茶事で使わしていただきましたが、最後の出番です。
使うたびにKさんと池川さんの顔や思い出が浮かんできて、存在感のある茶入でした。
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茶入・銘「背負い水」と茶杓
湯相、火相もよく、続いて薄茶を差し上げました。
箕に干菓子3種(南都七大寺、つみ小菊、栗納豆)をお出ししました。
薄茶の趣向はナイショ、参加者だけの楽しみとさせていただきますね・・・。
準備を楽しみ、お客さまとのお出会いを待ちわびた茶会でしたが、
和やかに楽しくあっという間に時が過ぎていきました。
・・・こうして灑雪庵・名残りの茶会が終わってしまいました。
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