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吉田山(神楽岡)にある吉田神社
早や神無月(10月)も9日を過ぎ、昨日は十五夜、皆既月食、寒露でした。
10月4日(土)に「神の月」の茶事をしました。
お客さまはS先生のご指導の元、ともに稽古に励んでいる4人の方々です。
開催予定が一度流れて、この度お招きできてホッとしています。
次の歌を添えて、御茶一服のご案内を差し上げました。
神無月 時雨もいまだ降らなくに
かねて移ろう神なびの森 よみびとしらず(古今)
神無月とは神の月という意味だそうです。
神さまはもちろん出雲大社へお集まりになるのでしょうが、それは一時のこと、
神なびの森にも神社のお社にも神様はいらっしゃるそうです。
灑雪庵に近い吉田山は神楽岡(かぐらおか)とも言い、神さまのメッカのような場所で、
京都の節分で名高い吉田神社をはじめ、菓祖神社、山蔭神社、吉田神社斎場大元宮、
竹中稲荷社、宗忠神社などがあります。
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全国の八百万の神を祀る吉田神社・大元宮
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神の月らしさを・・と思い、煙草盆は吉田神社の福枡にしてみました。
待合の掛物は富岡鉄斎の画いた草花と菊を表装したものです。
詳しいことはわからないのですが、草花が枯れたハスのようにも見え始め、
以前Kさんが名残りの茶事で掛けてくださったお軸の禅語を思い出しました。
荷尽己無雨蓋
菊残猶有傲霜枝
(読み下し)
荷(はす)は尽きて己(すで)に雨を(ささ)ぐるの蓋(かさ)無く
菊は残りて猶(なお)霜に傲(おご)るの枝有り
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本席のお軸は、金剛経の一節で足立泰道老師に書いて頂いた
「応無処住而生吾心」(おうむしょじゅう にしょうごしん)
(読み下し)
住むところを無くして、しかもその心を生ずべし
捉われていることを全て無にしなさい。そして、その無の中から
湧き上がってきた自分の思いを大事にしなさい・・・とお伝えしました。
ご挨拶のあと、お香を聞いて頂きました。
予め温めておいた香炉へ紅く火のついた香炭団(山田松香木店)を入れ、
Wさまから頂戴した菱灰をふんわりと盛り上げ、空気穴と聞き筋を入れました。
正客前に香盆を運び出し、「どうぞお申し合わせでお香を・・」と香所望です。
次客のSさまがお香を焚いてくださると、まもなく薫香が末席まで満ちてきました。
お香は火の加減が微妙なのでいつもドキドキです・・・。
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正客Tさまから順次聞き回し、穏やかで心豊かなひと時を共有しました。
「優しく雅な香りを楽しませて頂きましたが、お香銘は?」
「ご案内の和歌・・・神無月 時雨もいまだ降らなくに かねて移ろう神なびの森
より「神なび」(伽羅)でございます。
「神(かん)なび」とは神が隠れ籠もる・・という意味だそうです」
「まだ佳い薫りが楽しめますのでもう一巡お回しください。
菱灰の作者さんがいらっしゃるので菱灰についてお尋ねくださいませ」
香盆を詰のWさまに託し、懐石準備のために心を残しながら席を離れました。
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神の月の茶事-2へつづく
早や神無月(10月)も9日を過ぎ、昨日は十五夜、皆既月食、寒露でした。
10月4日(土)に「神の月」の茶事をしました。
お客さまはS先生のご指導の元、ともに稽古に励んでいる4人の方々です。
開催予定が一度流れて、この度お招きできてホッとしています。
次の歌を添えて、御茶一服のご案内を差し上げました。
神無月 時雨もいまだ降らなくに
かねて移ろう神なびの森 よみびとしらず(古今)
神無月とは神の月という意味だそうです。
神さまはもちろん出雲大社へお集まりになるのでしょうが、それは一時のこと、
神なびの森にも神社のお社にも神様はいらっしゃるそうです。
灑雪庵に近い吉田山は神楽岡(かぐらおか)とも言い、神さまのメッカのような場所で、
京都の節分で名高い吉田神社をはじめ、菓祖神社、山蔭神社、吉田神社斎場大元宮、
竹中稲荷社、宗忠神社などがあります。
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全国の八百万の神を祀る吉田神社・大元宮
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神の月らしさを・・と思い、煙草盆は吉田神社の福枡にしてみました。
待合の掛物は富岡鉄斎の画いた草花と菊を表装したものです。
詳しいことはわからないのですが、草花が枯れたハスのようにも見え始め、
以前Kさんが名残りの茶事で掛けてくださったお軸の禅語を思い出しました。
荷尽己無雨蓋
菊残猶有傲霜枝
(読み下し)
荷(はす)は尽きて己(すで)に雨を(ささ)ぐるの蓋(かさ)無く
菊は残りて猶(なお)霜に傲(おご)るの枝有り
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本席のお軸は、金剛経の一節で足立泰道老師に書いて頂いた
「応無処住而生吾心」(おうむしょじゅう にしょうごしん)
(読み下し)
住むところを無くして、しかもその心を生ずべし
捉われていることを全て無にしなさい。そして、その無の中から
湧き上がってきた自分の思いを大事にしなさい・・・とお伝えしました。
ご挨拶のあと、お香を聞いて頂きました。
予め温めておいた香炉へ紅く火のついた香炭団(山田松香木店)を入れ、
Wさまから頂戴した菱灰をふんわりと盛り上げ、空気穴と聞き筋を入れました。
正客前に香盆を運び出し、「どうぞお申し合わせでお香を・・」と香所望です。
次客のSさまがお香を焚いてくださると、まもなく薫香が末席まで満ちてきました。
お香は火の加減が微妙なのでいつもドキドキです・・・。
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正客Tさまから順次聞き回し、穏やかで心豊かなひと時を共有しました。
「優しく雅な香りを楽しませて頂きましたが、お香銘は?」
「ご案内の和歌・・・神無月 時雨もいまだ降らなくに かねて移ろう神なびの森
より「神なび」(伽羅)でございます。
「神(かん)なび」とは神が隠れ籠もる・・という意味だそうです」
「まだ佳い薫りが楽しめますのでもう一巡お回しください。
菱灰の作者さんがいらっしゃるので菱灰についてお尋ねくださいませ」
香盆を詰のWさまに託し、懐石準備のために心を残しながら席を離れました。
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神の月の茶事-2へつづく