令和6年5月10日(金)、東京美術倶楽部で行われた「第500回 東茶会」へ出かけました。
ご案内は次のようでした。
済美庵 濃茶 岩﨑宗瑞
花の間 薄茶 岡本宗因 (宗徧歴史伝承会)
点心 金田中 調整
午前中は混むとのことなので、12時近くに到着し最初に点心席へ、その後濃茶席と薄茶席へ回りましたが、とてもスムーズに回れ、大正解?でした。
最初に濃茶席の済美庵へ入りましたがこちらは展観席で、会記にあるお道具が並べられていてご説明を拝聴しました。
どれも魅了される御道具ばかりでしたが、一番心に残ったのは斗々屋茶碗・銘「杜鵑」と宗旦の茶杓・銘「木刀」でした。特に斗々屋は高台内のちりめん皺やへら目までじっくり見せて頂き、碗形といい、御本の色合いと侘びた味わいがなんて素晴らしいのだろう!と感動しました。
細身の茶杓は、利休の「ホトトギス」茶杓のように曲がっていて、宗旦の筒と共に拝見できてヨカッタです。淡路島のお茶事を懐かしく思い出しました・・・。
御軸は古渓宗陳御筆で「庭前柏樹子」の公案について書かれているようですが、詳しくは濃茶の呈茶席で岩﨑宗瑞氏からお聴きくださいとのことでした。
(今年の金襴を記念撮影です)
次は寄付へ、こちらで菓子を頂きます。
こちらにも広い床の間があり、松花堂画の竹の水墨画に江月宗玩の賛がありました。
垂涎の炭道具があり、S先生の「時代のある好い炭道具はなかなか見れないので、機会があったらしっかり見るように・・」を思い出しながら拝見しました。唐物炭斗は唐人籠のような形が珍しく、西洋のスプーンのような珍しい灰匙や龍頭の鉄火箸、柳川焼の雲華の灰器も見ごたえがありました。
茶入(瀬戸、橋姫手)の2つの仕覆や箱書が飾られていましたが、美しい装飾(蒔絵?)が施された丸い蓋のようなものがあり、これがかの斗々屋茶碗の挽家と知り、びっくりするやら、またまた斗々屋に感動したのでした。
菓子は「卯の花きんとん」(岬屋製)です。
(今年の銀蘭を記念撮影です)
お菓子を頂いてから、濃茶の呈茶席へ移りました。
30畳(?)くらいの大広間で広い床があり、御軸(確か・・・宗峰妙超のような高僧のお名前がたくさん?)が掛けられ、鉄線と令法が露に濡れて生けられていました(花入が記憶に・・・?)。
床の前に座ると、ちょうど反対側に点前座が設えてあります。呈茶席と伺っていましたが、お点前があるようで内心ホッとしました。点前座には大きな常盤釜が常盤風炉に掛けられ、水指は釣瓶、その前に茶入が飾られ清々しい雰囲気です。
最後の方が席入りして座が治まると、黒楽茶碗を持ったお点前さんが茶道口に座り、濃茶点前が始まりました。その途端、約40名のお客さまが襟を正し、一斉にお点前さんの一挙一動を閑かに見つめます・・・これぞ、濃茶席の一座建立、席主の思いが伝わってきました。
お点前さんは男性の方でしたが、精神性を感じる中にも美しく整った所作に魅了され、いつまでも拝見していたい・・・と。
濃茶が練られた頃に半東が現われ、お正客様へ黒楽茶碗が運ばれました。その後、大きな盆(四つ頭に使う)に各服で練られた濃茶が天目茶碗で出されました。良く練られた濃茶の翠が美しく、とても美味しく喉を潤し、もう一服頂きたいほどでした。濃茶は「一滴翠」(小山園詰)です。
席主・岩﨑氏の「お客さまに濃茶点前を静かに集中して見て欲しい・・・」というお気持ちが我が意を得たようで嬉しく、この瞬間こそが濃茶席一番のご馳走だったと思うのです。後でお点前さんは共に学園で学んだ同級生と伺いましたが、お名前が・・・しっかり伺えばよかったと反省しきりです。
心に残る濃茶席をありがとうございました! つづく)
第500回東茶会へ・・・(2)薄茶席 へつづく