京都大学生存圏研究所が開催した「ナノセルローズ・シンポジウム2013 生物が創り出すナノ線維」の講演会を拝聴しました。
京都大学生存圏研究所が主催する、ナノセルローズ・シンポジウムは今回で7回目だそうです。
このシンポジウムの主題になって「ナノセルローズ」「ナノ線維」とは、植物の細胞壁を構成し、て“心棒”として働いているセルロース・ナノファイバー(CNF)のことです。このセルロース・ナノファイバーはセルロース分子の集合体です。このセルロース・ナノファイバーがコンクリートの中の鉄筋にようなものです。このセルロース・ナノファイバーの“心棒”が強いために、例えばスギの大木は立っていることができます。
この天然の心棒であるセルロース・ナノファイバーは、植物を構成する主成分であるだけに、無尽蔵に存在します。ところが、心棒の構造材である直線状のセルロース分子は、分子の表面に水酸基(OH-)を多数持つために、セルロース分子同士が水素結合によって強固なつながった集合体になっています。心棒が多数集合したものでしか存在できないところが自然の妙です。
京都大学生存圏研究所の矢野浩之教授の研究グループは、このセルロース・ナノファイバーを巧みに取り出し、例えば繊維強化プラスチックの“繊維”として実用化したいと考えました。セルロース・ナノファイバーは、高強度かつ高弾性で、低熱膨張係数などの優れた性質を持つからです。
いろいろな紆余曲折(うよきょくせつ)を経て、紙をつくる際に利用するパルプからセルロース・ナノファイバーを取り出す、実用化に必要な技術を開発しました。
一般の方には、パルプも細長い繊維の集合体と直感的に思われるでしょうが、セルロース・ナノファイバーは直径が数から数10ナノメートル(nm)と微細です。人間の髪の毛が直径数マイクロメートル(ミクロン)であることを考えると、セルロース・ナノファイバーはその1000分の1ぐらいと細い点が特徴です。
繊維強化プラスチックの用途の中で、主なものは自動車の車体部品です。
自動車の車体(ボディー)を繊維強化プラスチックに代替すると、軽量化が可能になるからです。現在の自動車では、繊維強化プラスチック製の車体部品はまだあまり多く使われていません。
将来、セルロース・ナノファイバーで強化した繊維強化プラスチックを実用化するために、まずはポリエチレン(PE)で基礎データを採取し、プラスチックの種類をポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)へと拡大する開発を精力的に進めています。当初は、かなり無理な狙いとも思えましたが、さまざまな工夫を加えて、ある程度の実用化のメドを立てつつあります。
こうした研究開発からイノベーションが産まれることを祈念しています。
京都大学生存圏研究所が主催する、ナノセルローズ・シンポジウムは今回で7回目だそうです。
このシンポジウムの主題になって「ナノセルローズ」「ナノ線維」とは、植物の細胞壁を構成し、て“心棒”として働いているセルロース・ナノファイバー(CNF)のことです。このセルロース・ナノファイバーはセルロース分子の集合体です。このセルロース・ナノファイバーがコンクリートの中の鉄筋にようなものです。このセルロース・ナノファイバーの“心棒”が強いために、例えばスギの大木は立っていることができます。
この天然の心棒であるセルロース・ナノファイバーは、植物を構成する主成分であるだけに、無尽蔵に存在します。ところが、心棒の構造材である直線状のセルロース分子は、分子の表面に水酸基(OH-)を多数持つために、セルロース分子同士が水素結合によって強固なつながった集合体になっています。心棒が多数集合したものでしか存在できないところが自然の妙です。
京都大学生存圏研究所の矢野浩之教授の研究グループは、このセルロース・ナノファイバーを巧みに取り出し、例えば繊維強化プラスチックの“繊維”として実用化したいと考えました。セルロース・ナノファイバーは、高強度かつ高弾性で、低熱膨張係数などの優れた性質を持つからです。
いろいろな紆余曲折(うよきょくせつ)を経て、紙をつくる際に利用するパルプからセルロース・ナノファイバーを取り出す、実用化に必要な技術を開発しました。
一般の方には、パルプも細長い繊維の集合体と直感的に思われるでしょうが、セルロース・ナノファイバーは直径が数から数10ナノメートル(nm)と微細です。人間の髪の毛が直径数マイクロメートル(ミクロン)であることを考えると、セルロース・ナノファイバーはその1000分の1ぐらいと細い点が特徴です。
繊維強化プラスチックの用途の中で、主なものは自動車の車体部品です。
自動車の車体(ボディー)を繊維強化プラスチックに代替すると、軽量化が可能になるからです。現在の自動車では、繊維強化プラスチック製の車体部品はまだあまり多く使われていません。
将来、セルロース・ナノファイバーで強化した繊維強化プラスチックを実用化するために、まずはポリエチレン(PE)で基礎データを採取し、プラスチックの種類をポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)へと拡大する開発を精力的に進めています。当初は、かなり無理な狙いとも思えましたが、さまざまな工夫を加えて、ある程度の実用化のメドを立てつつあります。
こうした研究開発からイノベーションが産まれることを祈念しています。