新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

8月18日 その2 GDPの成長率が-28.7%に

2020-08-18 09:59:05 | コラム
何ゆえにマスメディアは大騒ぎをするのか:

マスメディアは昨17日からこの4~6月期の年率換算で27.8%に達するマイナス成長で、予期せざる事態が発生したかのように騒ぎ立てて見せている。新型コロナウイルスの感染の悪影響で産業界を始めとして各方面で危機的な状態に立ち至ってきつつあるのは、既成の周知の事実だったのではないか。事実、私は8月8日に産経新聞の記事を引用してこの件を採り上げていたので、敢えてもう一度記載してみる。それは下記のようなものだった。

「本日の産経新聞が報じていたところを纏めてみれば、東証一部上場の873社中(金融関係を除けば)実に31.5%の企業が最終赤字を計上していたのだった。これは由々しきことだと思う。更に業種別の赤字を見れば、輸送器機が7,181億円、陸運が3,705億円、空運2,075億円、石油・石炭が819億円、鉄鋼が430億円となっていた。更に、我々が日常的に依存している病院は産業界とは一線を画するが、その60%が赤字で深刻な経営状態に陥っている。」

産経新聞は本18日には「外食、小売、観光」の業種が特に苦境に立たされているとの見出しを打っていたが、これとても特に目新しい問題ではないと思う。何れにせよ、ほぼあらゆる業種がマイナス成長の事態に陥っているのは止むを得ぬ事態だったと思う。即ち、「経済を回す」ことは焦眉の急なのだが、その為にはウイルスの感染の広がりを何としても食い止めねばならないのだが、どうも事態は「鶏が先か卵が先か」にも似たような決断しきれていないような状況に立ち至ってしまっているようだ。

この事態が我が国だけの急を要する事態ならば未だ手の打ちようがあるかと思う。だが、世界を見渡せば、何処にも完全にウイルスを制圧し切れている国がなく、輸出も輸入も不振を極めているのだから、言わば八方塞がりに近い状態なのだ。このウイルス問題が発生して以来、経済と制圧対策の何れを優先するのかとか、どちらか一方に専心してどちらかを犠牲にするのも止む無しだとか、イヤ両立も可能なりとの説もあって、政府は何れを採るのかのを明確にしないままに半年以上を空費してきた感が否めない。

私は特に西村康稔経済再生大臣を評価していないので敢えて言うが、彼に経済再生とウイルス征圧の両方を担当させている辺りにも「虻蜂取らず」に陥っている一因があるように思えてならない。昨17日にも採り上げたように、彼にそれだけの重荷を負担させ誰が為に日本水商売協会の甲賀女史に「一度も現状の視察にお見えになっていない」という批判をされてしまったのだ。ここには彼の能力もさることながら、手を抜いてはならない現場の視察の時間も取れていないという過剰な負担があるのではないかと言いたくなる。事実、彼の顔付きは日を追って窶れてきたように見える。

その煮え切らない状況の最中に安倍首相の日帰りの検査入院があって、またもや色々な憶測が乱れ飛び、来週の28日(金)を以て辞任されるということまで言い出されている。私は何れが鶏でも卵でも良いから、四の五の言わずに国会を開いて特措法だけでも改正してウイルス制圧策を講じる一方で、財政出動でも何でも良いから苦境に立たされている産業界への梃子入れを実行すれば良いのではないかと言いたくなる。産業界の救済こそが急務で外食や外飲業界の補償よりも優先して欲しいと思うのだ。故池田勇人総理だったかは「中小企業の2~3社が倒れても」と言ったではないか。



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