新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

オペレーション・ワープ・スピード

2021-06-26 09:09:21 | コラム
カタカナ表記には問題点が多過ぎる:

どうしてここまでおかしくなってしまったのかと、非常に残念な例に出会った。残念だという意味は「何故、おかしなカタカナ表記に妥協されたのか」という点である。

それは、最新のPresident誌に渡瀬裕哉氏がトランプ前大統領が「対COVID-19のワクチンをワープ・スピードで創り上げよ」と指示されたことを採り上げておられた事を言う。これは、ウイルスに対して否定的だったトランプ前大統領の功績であるとの指摘であり、私でも尤もだと思う。だが、極めて残念だったのは”operation warp speed“が「オペレーション・ワープ・スピード」の表記になっていたことだ。

私にはこの辺りに長くアメリカの駐在されていると聞く渡瀬氏にして、このようなおかしなカタカナ表記をしてしまうことと(もしかして編集が手を入れたのかも知れないが)、我が国の英語教育の至らなさと、カタカナ語製造業者の無知蒙昧振りが悲しい程見えてくるのだ。

私は今日までに繰り返して「英語の発音というか読み方の中で”a“は特に要注意である」と「英語という言語は非常に不規則に出来ているので、ローマ字式の発音と読み方が通用しない場合が多い」と指摘してきた。私は言語学などとは無縁の存在なので、その不規則性が「英連邦以外の國の言語、例えばラテン語等の言葉が入っているので、同じaでも不規則なるのか」程度に勝手に解釈して、一々その単語毎に発音を記憶する以外に、その不規則性には対応できないと割り切っていた。

だが、我が国の英語教育と、それに従って育ってきたカタカナ語製造業者はそうとは考えなかったようだ。頑強にローマ字読みに固執するか、好き勝手に元の英語とはかけ離れ表記を乱発したのだと見ている。私はそれを完全に否定までしていないから「妙なカタカナ語をお使いたればご勝手に。但し、それらは本当の英語の意味と発音とは違っている場合が極めて多いし、その通りに発音してもnative speakerたちには解って貰えないかも」と述べてあった。

「オペレーション・ワープ・スピード」の何処がいけないかと言えばoperationは厳格には「アペレイション」が近いし、warpは「ウオープ」が正確なのだから。

この”a“が入った単語中でも特にテレビで濫用・乱発されている言葉に”award”がある。困ったことに、テレビ局では誰が決めて指示するのか知らないが、平然として「アワード」と言わせている。テレビ局には英和辞典の1冊もないのかと訊きたくなる。これはOxfordでもチャンと「アウオード」との発音記号が出ている。大体からして”war“=戦争を「ワー」と発音するか。この”warp”も上記のように「ワープ」ではない。余談になるが、私はwarp speedを知らなくて調べて見た。「非常にか、異常な早さ」の意味だった。

そこで見えてくるのが英語の不規則性だ。サッカーなどに出てくる”forward“は「フォアウオード」とはならずに「フォワード」とすれば原語に近くなる。ここではaは組んでチャンと「ア」と発音されるのだ。と言うよりもaは次にrが付くと「オー」になってしまうようだ。ここまで来れば、単語の発音は臨機応変に元の発音をチャンと聞いて覚えておくしかないことになる。ましてや、カタカナ表記をする場合に、恣意的にローマ字表記をするなどと言う行為は、大袈裟に言えば「以ての外」なのだ。

そういう「以ての外」のカタカナ表記は、話し言葉や文章の中に英語の単語を交えたがる似非インテリ(知性も教養も高いはずのテレビ御用達の専門家の先生方)が増える一方なので困る。先生方は何故か従順にマスコミが濫用する奇妙なカタカナ語を嬉々として使っておられるのだ。何度も指摘したがsecurityを「セキュリティ」と言い、誤りと知ってか知らずにか「フリップを出して下さい」などと曰うのだ。念の為に辞書でsecurityの発音記号をお調べ下さい。

私には最早このような奇妙なカタカナ語やその表記という弊害を正す方法など分からなくなってきた。大原則は「例えば、中学1年から教え出すとして、その際に正確のな発音と読み方を、ローマ字は忘れなさいと明示して、教え込むことから始めればと思う。ここで誤解してはならないことはnative speakerに教えさせることだ。

経験上も言えることで、彼ら外国人には「日本人が英語のどの点で苦労するか、何処が難物なのか」は理解を超えているのだ。最初は日本人で正確に英語の発音が出来て、まともに英語を理解している人が教えるのが最上である。でも、そんな人が何処に行けばいるのだろうか。私は外資というか外国の会社に勤務する同胞の中には、数多くの練達熟練の方がおられると承知している。でも、そういう方たちは恐らく教員の資格をお持ちではないだろう。私は不真面目で英文学科にいながら教職課程は避けて通ってきた。

兎に角、カタカナ語を使うと思うときには、事前に辞書で何が本当の発音かくらいを確かめよう。更に言えば「マスコミが使うカタカナ語は信用しないこと」なのだ。最後に言えば「学校の英語教師たちよ、深刻且つ真剣に反省せよ」なのだ。



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