本の読み方の設計図。

本の構造を明らかにしていく。
論拠・主張

論証=事例、引用。

小説035 : reProfesional #108

2008-10-26 01:24:18 | reProfesional
chapter#35 自己破滅的遊び

復讐心だけでは王国の中で生き延びていくというのは難しいだろうし、復讐心に満ちたようなやつに、たとえそれが無垢なハトといえども、許すほどに甘いとボクも思っていない。
ボクはボクでボクの王国を築くことが必要だし、できれば、ボクがボクの王国を築くために何が出来るかということを考えることこそ、本当にいまのボクに必要なことだろう。
ボクにも遊びが必要だし、この第一部の大きな本題である対他者の関係ばかり見ているだけでは、この物語も完成しないだろう。
物語を成功裏におさめるためには、遊びに放蕩するようでは、その成就はおぼつかないだろう。いまのボクには本当はこうもりや、ハトに現を抜かすような余裕もないし、時々現れるくちだけの狐女に苛立ちを覚えて精神を消耗しているような余裕もない。利害がそれほど自分の人生を考えた際に少ない、人の幸せ、彼らの不幸を考えていくようなことは本当は役立たないことなのだろう。

でもそれでも、ボク等は、たいてい人生にとってたいして役立たないことに身を投じてしまうという愚行を平気で繰り返す。
不必要とされているものだからこそ、逆に身を興じてしまうというおろかな一面もある。してはいけないとわかっているからこそ、放蕩に走ってしまうこともある。今何をするべきかということが明確であればあるほど、何かの抑圧が強烈であればあるほど、別の圧力が精神の中で生じ、そこから逃げようとしてしまうというおろかなこともある。

何か大切なものを傷つけたり、失ってしまう可能性があるからこそ、時として冷静な指向を失い、放蕩に走ってしまう可能性もある。
なぜ、ボク等は、ある程度意味がないとわかっているにもかかわらず、おろかな行動を選択してしまうのであろうか?

性にも何種類かあるのだろう。本能的な性と、愛の明かしてしての性。ただ興味から生じる性。ボク等は倒錯しているし、気が狂っているとも思う。
目の前で娼婦が目を隠して笑っている。色白い魅惑的な素肌を、すらりと伸びた脚をこちらに向けて開き、その奥からは、朝露のかかった果実がひくひくとすばらしく美しい方向とともにこちらを眺めている。
ただ、美しいもの、甘美なものを有したいと思うゆえに、われわれは、無駄な行為を行うのか?
その遊びからは何が生まれるのか?
究極を言うと、こうやって本来自分の人生の中で行うべきではないと自分が感づいていることに身を投じるということも、娼婦との性に近いのではないだろうか?

ただ快楽をもとめ、いや言い方を変えるなら、一時的な不快を避けるためにボク等は、永遠の不快を引きづれることにすらなることがある。

忘我のことをエクスタシーとも言うらしい。
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