世界の街角

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北タイ少数民族の風俗#1

2015-08-04 09:33:06 | 東南アジア少数民族
左前と右前

 北タイの少数民族の風俗の一つに衣服の左前と右前がある。左前を「左衽」と云う。それは、衣服の右の襟や衽(おくみ)を、左の襟や衽の上に重ねて着ることである。
 漢族は、北方胡族の影響を受けて、古来「右衽:右前」であった。それに対し日本では古来左前であった。群馬県の古墳から人物埴輪が出土しているが、下の写真を見れば分かるが左前である。
 それでは、日本で男女ともに着物の着方が何故右前になったであろうか。「続日本紀」元正天皇の養老三年の条に、右衽にするよう布告されたとあり、それ以降のものと思われる。
 過日、チェンダオとメーリムの少数民族村を訪れた。そこで見た左前と右前である。下はヤオ族の男性であるが、写真のように上着は右前である。
 それに対し、苗(モン・Hmong)族は左前である。写真の女性では分かりにくいが、向こうのハンガーに掛る民族衣装は、明らかに左前である。
 漢族は右前であったことは先述した。蛮夷には右前でなく左前を強要したと、説く人がいるが果たしてどうであろうか。蛮夷であるヤオ族が右前で、モン族は左前であり、この説には多少?を感ずる。
 鳥越憲三郎氏はヤオ族は苗族の分派というが、その根拠は示されていない。分派とすれば、その最も基本であるはずの、服の着方が異なるのは何故であろうか?・・・この分派説にも疑問を感ずる。