世界の街角

旅先の街角や博物館、美術館での印象や感じたことを紹介します。

またもやバンコクで爆発

2015-08-18 19:14:55 | タイ王国
 昨夜7時過ぎ、バンコク中心街のラチャプソン交差点脇のエラワン廟敷地内の電柱に仕掛けられた爆弾が、爆発し8月18日午後3時現在、22人が死亡したとの報道である。
 その騒ぎが冷めやらぬ8月18日午後3時、またもやBTSサパーン・タクシン駅近くで爆弾が破裂。幸い怪我人はなかったとのことである。
 タイの大衆紙タイラット紙の今朝の新聞には、12名死亡との記事が掲載されていた。
 法政大学・浅見教授によると、プラユット軍政による新憲法制定に反対するタクシン派の犯行との見方もあるようだが、そんな単純なものではなさそうだ。
 エラワン廟とはヒンズー教3最高神の1神ブラフマーを祀る。多くのヒンズー教徒、仏教徒がお参りする。タイ深南部、マレーシア国境地帯のイスラム共産党ゲリラの可能性も考えられる。
 写真はエラワン廟のブラフマー神像で、本年1月22日にスカイトレイン(BTS)高架したの陸橋から写したもので、多くの信者とともに観光客の姿も絶えない。何でもパワースポットとして人気があるようだ。
 犯人の背景は不明だが、いずれにしてもプラユット軍政に打撃を与えることを目的にしているのは間違いない。当該ブロガーが滞在しているのは、チェンマイで安全であるが、暫くはバンコクは遠慮したほが良さそうである。








魅惑の北タイ諸窯の壺

2015-08-18 11:11:31 | 北タイ陶磁
 先日、滞在先である二マンヘーミン通りの本屋に行った。それはThe Booksmithと呼ぶ洋書屋である。覗くと写真のCeramics of Seduction(魅惑の陶磁器)なる本が目に入った。
 東南アジア一帯の陶磁器を扱っており、北タイ陶磁についての図版掲載は僅かであったが、その内容に見るべきものが多く、迷わず購入した。その1部の図版を使って、以降の話を展開したい。

パヤオ印花文大壺:14世紀 高さ42.5cm
 淡い褐釉と黒褐釉の掛けわけで、黒褐釉は頸部にのみ掛けられている。この手の表現方法は北タイ諸窯共通である。この壺は肩の最上部に象、その前足と後ろ足の下に並行にジグザグの印花文を、その下にペンダントの貴石のような印花文、象と象の間には四角の中に四つの花弁を配した印花文で装飾されている。この象の印花文はサンカンペーンでも見ることができ、その形状も似ている。

サンンカンペーン印花文両耳大壺:15-16世紀 高さ42.5cm
 轆轤成形時に肩に幅を持って、上下各一条の盛り上がりを持たせ、そこを黒褐釉で装飾している。多くの特徴的な印花文で装飾されているが、特に波状に蔓を走らせ、そこにリリー系統の花卉文を印花で表現している。


 この蔓状の花卉文を見て思い出すのは、ホノルル美術館とバンコク大学東南アジア陶磁博物館で見た大壺である。以下、順にホノルル美術館、東南アジア陶磁博物館の大壺である。この両壺は全く同じではないが、ほぼ同じ形状で文様は同じであることから同一の窯で焼成されたものと思われる。しかし、未だに焼成地は不詳である。




 両壺に共通する胴部の拡大写真である。ここでは波状の二重線と、○の間に点の文様を見る。これは先に掲げたサンカンペーンの印花文両耳壺の文様に通じると考えられる。
 そして波状の二重線の中の点点は、下のサンカンペーンと云われている盤片の文様に似ている。
 ホノルル美術館と東南アジア陶磁博物館の両壺はナーンではないか、と考えつつあったが、この書籍「Ceramics of Seduction」を見るに及び、サンカンペーンの可能性もありそうだ・・・というより訳が分からなくなった。情報のまとめと再構築が必要である。

 妄説が浮かんできた。過去からサンカンペーン、パヤオ、ナーンについては盤の焼成方法を含め、共通する点が多いが、装飾文様にもそれが当てはまりそうである。この3者について陶工の往来や親縁関係が考えられるが、現代日本の派遣社員のように陶工が回遊していたのではないか?