8月6日にチェンマイ大学陶磁資料室を再訪したが、またもや担当教授は不在であった。目的はサンカンペーン陶磁についての質問である。翌8月7日に出直した。そこで見たサンカンペーン印花文盤片である。

特徴は鍔縁の幅が広い点、その外側の縁が丸く立ち上がっており、カベットとの境目も丸く立ちあがっている。サンカンペーンでは珍しい鍔縁である。

見込みの外周で、カベットの立ち上がりの部分が、盛り上がるように轆轤引きして特徴をもたせ、それを挟んで○を基調とした印花文を巡らしている。大きな○のなかに一つの小さな○を押し、その周囲に小さな丸を配するのは、日輪と思われる。更には中央の大きな丸に、小さな三つの丸を配しているものもあるが、何を意味しているのだろう。

更には、高台脇にも円周に沿って大きな○の中に、小さな三つの○を配した印花文が見える。これも何を意味しているのか不明である。
胎土は、写真をみればわかるが半磁器質で固く、白化粧なしで青磁釉が掛っている。そして重ね焼きの形跡もない。サンカンペーンのどこの窯址から出土したのか、聞き忘れた。サンカンペーンの窯址から出土した、他の北部窯の陶片であろうとの感触も捨てきれない。昨日の記事に載せた複合技法の盤片も、縁と縁を重ね焼きした形跡が認められない。これらの盤片がサンカンペーンで焼成されたとすれば、驚き以外のなにものでもない。
いずれにしても現品に表示される識別番号は、サンカンペーンに分類されており、少なくともサンカンペーンから出土したことに、間違いはなさそうである。