昨日(23日)は藤枝で奇人?たちに会いました。
一人目は堀部成司さん。平成エンジニアリングという精密機器メーカーの社長さんで、県内の中小企業ではトヨタ生産方式を導入した第1号企業で、今は改善事業や環境事業のコンサルタントとしても活躍中。料理の達人としても知られ、10年前には静岡新聞社から『おしゃべり魚々庵シェフのたまごクッキング』という本を上梓されました。
もともと技術開発系でひとつの物事にトコトン興味を持って追究する方なんですね。この本も、養鶏場の移転事業をコンサルしたとき、養鶏業の実情を目の当たりにし、生産者が生き残るために少しでも貢献できればと考え、いろいろ研究していくうちに、鶏の種類、卵の栄養価、卵料理の歴史、鶏卵価格の変遷等など、たまごに関するありとあらゆる雑学を身に着け、イラストレーターをされている娘さんと一緒に本にしちゃったというわけ。
今は茶業に目を向け、茶農家が生計を立てられる=茶畑の環境が継続的に守られることを目指し、二番茶以降の価格が落ちる茶葉を、粉末にしたり濃縮液状にして、機能性を付加して入浴剤や高機能茶にし、駿河湾海洋深層水や海藻エキスを加味し、静岡の新しい地域資源活用事業として開発しようと頑張っています。
茶業は、静岡県農業の基幹産業ですが、業界の力が大きいと、業界内の常識や慣習にとらわれ、イノベーションが育たず活かされず、かえって衰退を招くという事例は歴史的にもよくあります。
一方、酒造業。東北や北陸や近畿など、大きな酒造メーカーが地域を引っ張っているようなところよりも、静岡県のような、業界としては規模が小さく、経済環境の変化にさらされ、従来の慣行を踏襲するだけでは生き残れない切羽詰まった地域にこそ、創意工夫やイノベーションが育つ…。静岡県が吟醸王国になったのも、静岡県が酒どころじゃなかったから、という逆説的な解釈もできるわけです。
農業や環境といったジャンルは、ライフスタイルや価値観もさることながら、これからの時代は理想を具現化する理系の発想や異分野の技術転用が必要不可欠だとつくづく実感します。静岡の茶業界が衰退しているとは思いませんが、堀部さんのような異分野の奇人?をうまく活用し、イノベーションの刺激で大いに活性化し、日本一の茶どころを自認する以上は、日本一、茶農家が元気な地域になってほしい、と思います。
堀部さんの開発商品のネーミングやキャッチコピーを頼まれ、頭を悩ませながらも、その奇人的発想に大いに活力をもらった私は、その足で、藤枝の2大奇人?である松下明弘さんと青島孝さんに会い、25日のトークセッションの打ち合わせをしました。
「一応、どんなテーマで話すか決めておいたほうがよくね?」(松)
「決めたところで、あなたがた、話し出したら止まらなくなるじゃん」(鈴)
「俺は自制がきくけど松下さんは絶対止まらなくなる(笑)。金先生はどんな変化球を投げてくるかわからないから怖いな」(青)
「コメや酒の素人だからってズケズケ直球で聞いてくるかも。答えられなかったら恥ずかしいなぁ」(松)
「やっぱちゃんとネクタイしてかないとダメ?」(青)
「おれもスーツとか着ないとまずい?」(松)
「…らしくない恰好はやめてよ。いつものまんまでいいよ(笑)」(鈴)
などなど喧々諤々話しあいましたが、結局は「なるようにならぁ」。
ふだん、言うことを聞かない稲や微生物を相手にする彼らだけに、どんなクセモノもどーんと構えて受け止める、そんな気持ちのゆとりがあるようです。
一方、クセモノ金先生は、「なんで先生がコメと酒?」と周囲からさんざんつつかれているそうですが、「奇人変人、いずれは開拓者だって話をするんだよ」と答えているとか。
幸い、これまで参加申し込みをした人から「どんな話をするんですか」と訊かれたことはなく、「この3人でどんな話が飛び出すか楽しみ」という声が寄せられています。
広いホールでお席は十分ありますが、配布資料の準備等もあり、できたら今日中にお申し込みをいただければと思います。もちろん当日いきなり参加!でも構いません。
どんなトークバトルになるのか私も予想がつかずワクワクしています。ぜひ多くの皆様にお越しいただきたいと思います!
第31回しずおか地酒サロン特別トークセッション「国境を越えた匠たち」
◆出演 松下明弘(稲作農家)、青島孝(青島酒造蔵元杜氏)、金両基(評論家、哲学博士)
*現在制作中の地酒ドキュメンタリー『吟醸王国しずおか』パイロット版(最後の公式上映)をご覧いただいた後、3名のトークセッションをお楽しみください。
◆日時 10月25日(土) 19時~21時 (受付18時30分)
◆会場 静岡市葵生涯学習センターアイセル21 1階ホール(静岡市葵区東草深)
*駐車場が少ないのでバス(県立総合病院線「アイセル21」前下車)をご利用ください。
◆会費 1000円 (高校生以下無料)
◆申込 しずおか地酒研究会(鈴木真弓) msj@quartz.ocn.ne.jp