杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

志太美酒の価値を世界へ!

2011-06-16 10:34:45 | 吟醸王国しずおか

 1週間経ってしまいましたが、6月9日(木)、恒例の志太平野美酒物語(於・焼津松風閣)が開かれました。今年で19回目を数える日本酒党の大事な年中行事です。・・・思えば私も19回、懲りずに出没し、少しずつ若返り&女性客の増量ぶりを眺め、静岡酒の市場の広がりを実感し続けてきました。

 

 今年は久しぶりに一参加者として心ゆくまで試飲を楽しませていただきました。また『吟醸王国しずおか』の制作に何かとお力添えをいただいた方々をお招きすることもできました。実行委員会のみなさま、本当にありがとうございました!私はカメラを持たず、ひたすら試飲とおしゃべりに没頭してしまったので、会場の様子はこちらをご覧ください。

 

 東京からは、吟醸王国しずおかの『Web酒場・しずおか吟醸伝』にメッセージを寄せてくださった元日本銀行静岡支店長の武藤清さん、吟醸伝に、静岡県酒造組合元専務理事の故・栗田覚一郎さんの思い出をつづってくれた牧之原の菓子処・扇子家の高橋克壽さん(栗田さんの甥)をお招きすることもでき、OFF会のような気分で呑めました。

 

 また、志太平野美酒物語を毎年楽しみに参加してくださった駿河蒔絵師の故・中條峰雄先生の奥さま良枝さんと、今年5月の松坂屋静岡店の個展で酒林の染色画を出品された松井妙子先生にも来ていただけました。

 

 吟醸王国しずおかのカメラマン成岡正之さんは、(パイロット版撮影の3年前とは)雰囲気の変わった会場内を新たに撮りおろしました。こちらからお願いしたわけではないのに、自主的にカメラを持ってきてくれたのです。

 

 成岡さんのお誘いで本プロジェクトに参加することになった映像作家・脇田敏靖さんにも東京からわざわざ来ていただきました。初・志太美酒体験に目を白黒させながら、日本酒ファンのパワーの凄さを実感されているようでした。ご本人は無類の日本酒好き。こちらが誘導せずとも、『初亀』の時間限定酒の列にしっかり並んでいました
 

 

 脇田さんは海外で映像の仕事を手掛け、JAPANに注がれる眼が熱く複雑になっていることを体感し、『吟醸王国しずおか』の世界観にシンパシーを感じてくださって「ぜひ海外へ出せる映像作品にすべき」と協力を申し出てくれた方です。こんな奇特な人、こちらから意図して探そうと思っても、なかなか見つかりません。時間がかかっても慌てず止まらず志を失わず、地道に努力を続けていれば、こういうご縁に恵まれるんだなあとしみじみ嬉しくなりました。

 彼のことはまた改めてじっくりご紹介します。

 

 

 

 

 志太平野美酒物語の開催から1週間経った昨日(15日)、ふたたび焼津・松風閣での宴席に招かれ、久しぶりに『吟醸王国しずおかパイロット版』の上映を行いました。島田信用金庫の焼津地区の顧客で構成された“焼津島信会”定時総会の講演会で映像を流しながら地酒のお話をさせていただいたのです。

 

 志太地区のお膝元で活動される実業家のみなさんですから、そこそこ興味を持っていただけるのでは、と、期待していましたが、終了後は思いのほか、いろいろな方に声をかけていただき、激励され、本当に有難かったです!

 

 

 映像には南部杜氏の多田信男さん(磯自慢)、能登杜氏の故・波瀬正吉さん(開運)、志太杜氏の伝統を継承しようとする青島孝さん(喜久醉)といった職人たちが登場するので、酒造り技能者の地域別の違い等を、志太地域の歴史にからめてお話したところ、「うちの会社(鰹節製造)にも昔、冬場に蔵へ働きに行っていた鰹節職人がいた」なんてご当地ネタを教えてくださった方も。

 また、静岡酵母の力によって吟醸酒の品質が向上したというお話には「うちの会社(食品バイオ)もビールメーカーと技術提携している。スゴイ商品を開発中なんだ」なんて嬉しそうに反応してくださった方も。観光関連の方からは「静岡空港利用者をこの地へ呼び込むのに、こういう映像があると助かる」とも。

 

 ・・・今更ながら、ですが、志太地域のモノづくりにはとてつもないポテンシャルがあって、あまり知られていないけど、ホントに世界基準の技術と技能がある・・・!と実感させられました。

 

 

 そんな地元の方々から、「世界に出す価値のある映像だ」と背中を押していただきました。・・・手前味噌で恐縮ですが、震災の後、初めて通しで観たパイロット版に、自分でウルウルしてしまいました(苦笑)。

 地元の方々に褒めていただいたのはこの上ない励みですが、今のご時世でどんな支援をお願いしたらいいのか私自身、整理し切れていない段階・・・。それでも、成岡さんや脇田さんという映像のプロが、このタイミングで“使命感”を持って取り組んでくれるようになったということは、酒のように一定の熟成期間を経て少しずつ“作品”に近づいてきているのかなと手応えを感じているところです。

 彼らのような世界基準で映像の仕事をしているプロが、自分の作品のつもりで本気で取り組んでいるということも、ちゃんと伝えたいと思っています。

 

 まだまだ地元でも知らない人が多い地酒の価値と、『吟醸王国しずおか』制作プロジェクト。どんな小さな会場でもDVDが再生できさえすれば駆けつけますので、よろしくお願いいたします!