杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

中條峰雄先生の回顧展&こなみ農園訪問

2012-01-13 10:49:06 | アート・文化

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 現在、御前崎市にある静岡カントリー浜岡コース&ホテルのカルチャーフロアで、駿河蒔絵師・中條峰雄先生の回顧展『うるし うるわし 中條峰雄 漆の世界展』が開催されています。

 

 昨年末に静岡新聞で紹介され、当ブログの中條先生を紹介した記事にも急にアクセス件数が増えたので、早く行かなきゃ~と焦っていました。昨日(12日)、ようやくうかがうことができました。

 

 

 前回、静岡県立美術館ギャラリーで開かれた回顧展は2010年。こちらのブログ記事では、中條先生の作品を市民ギャラリーでしか展示できない静岡市のアート環境にモノ申してしまいましたが(苦笑)、静岡カントリーのカルチャーフロアは、さすが、落ち着いた優雅な雰囲気で、中條先生の比類なき漆アートの世界を心ゆくまで堪能できました。・・・改めて、こういう作家が静岡から輩出されたことを、市民のハシクレとして本当に誇りに思いました。

 

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 1月29日(日)まで開催中です。10時30分~19時、入場無料。ホテル内には手ごろなランチをいただけるレストランもあります(こちらを)。

 付近には旬のいちご狩り農園が点在しており、地元・JA遠州夢先のファーマーズマーケットでは格安の地場野菜や、特産の芋切干しが買えます(こちらを)。葉物が高騰している時期だけに、本当に助かりますよ! ドライブ気分でぜひいらしてください。

 

 

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 浜岡を後にして、午後は浜松の旧浜北にある塚本こなみさんの農園を久しぶりに訪ねました。先週お会いしたときに、「みかんを刈るから採りにいらっしゃいよ」とお誘いをいただいたのです。

 

 こなみさんの農園を訪ねるのも2010年以来(こちらを参照)。前回は9月でしたが、昨日の畑の主役はかんきつ類や根菜類。広さが2千坪になっていて、本当に多種多様な作物が、農薬や化学肥料を一切使わず、こなImgp5503
み流のブレンド有機肥料と独自農法ですくすく育っていました。

 「プロの農家から見たら邪道と言われるかも」と苦笑いされるこなみさんですが、浜北の赤土の特徴と日照時間と、それぞれの作物の成長過程の特性を熟考した、樹木医ならではの育て方のようです。

 

 「いつもお昼はこれ」と味見させてもらったサツマイモは、ふかして軽く焼きつけただけなのに、味付けしたような甘くて濃い味わい。もぎたてネーブルは、皮はかたいけど、実はたっぷりジューシー。清水で品Imgp5496
種改良で生まれたという、皮ごと食べられる金柑「ポン太」は、金柑の概念をくつがえすような美味しさでした。

 

 

 

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畑の一角にあった盛土は、こなみさん
が庭園を手掛けられた浜松駅前の地ビールレストラン「マインシュロス」から提供されたビール粕でした。店では産廃として有料処分していたそうで、こなみさんの土壌肥料に使いたいという申し出に感謝感激だったとか。・・・農業ってまだまだ開拓できる伸び代部分ってあるんだろうと思いました。

 

 

 今は収穫できたものを家族や親せきや親しい人にわけて喜んでもらうだけで十分とおっしゃるこなみさんですが、六次産業化に向けて次なる仕掛けを考えているはず。というか、ファンの一人として、農業の新しい可能性をきちんと外へ発信してほしい、それができるこなみさんにはやる使命がある、と思うのです。

 

 漆という古い伝統の新しい表現を切り拓いた中條峰雄先生に、身近に触れてきた後だけに、その思いがいっそう強く感じられました。