5月3日 おはよう日本
日本はレアアースの約90%を中国から調達している。
その中国が一昨年 輸出枠を大幅に削減すると発表した。
実際に日本への輸出が滞ったうえに
その後も価格の高騰が続いた。
日本の産業界からは中国への依存度の高さに対する強い懸念の声が上がっている。
そのため政府は
レアアースに代わる新たな素材の開発に乗りだすとともに
新たな調達先を開拓するための資源外交を精力的に勧めていた。
こうしたなか豊富な埋蔵量が見込まれる中央アジアで
大手商社の住友商事が参画して
現地企業と鉱山の共同開発をすすめることで正式に合意した。
カザフスタンの首都アスタナで2日に開かれた会談には
日本から枝野経済産業相のほか
住友商事と
独立行政法人JOGMEC石油天然ガス・金属鉱物資源機構の代表が出席した。
そしてカザフスタン国内にあるレアアース鉱山を
資源開発を行なっている現地の国営企業とともに共同開発したいと提案した。
国営企業を所管するシュケエフ国家福祉基金総裁は日本側の提案を歓迎。
このあと関係者がレアアース鉱山の共同開発の合意書に署名した。
カザフスタンには
ハイブリッド車には欠かせないレアアースの一種ジスプロシウムの
豊富な埋蔵が見込まれている。
今回の合意で住友商事は
来年中に共同開発を始め
将来的には日本国内の消費量の10%余をカザフスタンから調達できる見通しである。
枝野経済産業相
「資源(の調達)については特定国に集中するのではなく
できるだけ多角化を図ることが重要。
そうした意味で(今回の合意によって)多角化に向けて大きな前進が出来た。」
中国の輸出規制によって
レアアースの新たな調達先の確保が各国の課題になる中
資源国として注目を集めているカザフスタンには
ドイツやロシアなども働きかけを強めている。
日本がこうしたライバルに打ち勝つためには
カザフスタンにとって大きな課題となっている製造業の育成など
双方にとってメリットとなる協力関係を築けるかどうかが
課題となりそうである。
レアアースの調達先を多角化する日本の取り組みは
去年3月にオーストラリアで
日本の商社が大規模なレアアース鉱山の権益を獲得した。
去年の12月にはインドとレアアースの共同開発を行なうことを合意した。
さらに今回カザフスタンともレアアース鉱山の開発で合意したことによって
政府は必要なレアアースの半分以上を中国以外から調達できるめどがたったとみている。
ただレアアースには17もの種類があって
中国が生産量のほとんどを占めているものもある。
今後 必要な種類のレアアースを中国以外の国から調達するために
ターゲットを絞った資源外交を展開することが課題となっている。