4月29日 サンデーモーニング
政府が再稼動を目指す関西電力大飯原子力発電所。
政府は立地自治体である福井県おおい町で住民説明会を開き
再稼動への理解を求めた。
おおい町民
「もっと住民の命を守ると言うことを真剣に考えてもらえれば
再稼動に賛成。」
「こういう事故が二度と起こらないと保障してください。」
「経済面と安全面を絶対に切り離して考えるべき。」
賛否両論あったものの原発の運転再開には慎重な意見が相次いだ。
福島第一原発の事故以来
国民の間に広がる原発への不安。
国の安全確認を終えた原発の再稼動に賛成か? (4月JNN世論調査)
反対 54%
賛成 39%
ところが地元自治体では原発をめぐって世論とは食い違う現象が起きている。
今月、運転停止中の中部電力浜岡原発の地元である
静岡県御前崎市で行なわれた市長選挙。
再稼動反対を訴える二人の候補を破って現職の石原茂雄氏が当選した。
石原氏は原発再稼動について
市民の意見を聞いてと慎重な姿勢を見せているものの
他の候補と違い再稼動反対は訴えていない。
御前崎市の住民
「原発がなかったら仕事を失う人たち
収入が減る人たちが大勢いますから。」
「大きな工場があるかといったら何もないし
もともと原発がなければただの村だから。」
「全国で原発反対と言っている人も
(地元で)生活している人のことを親身に考えている人がどれだけいるのか。」
御前崎市のように脱原発を訴える候補者が選挙で落選するケースが
原発事故後に相次いでいる。
瀬戸内海に面する山口県上関町には中国電力による原発建設計画があるが
現在、反原発派の抗議などによって計画が中断。
しかし去年9月の町長選挙では原発推進派の現職が大差で当選を果たした。
上関町 柏原重海町長
「税収がどんどん落ち込む中でやはり原子力財源に代わるものはない。」
また 去年10月
北海道の泊原発から半径10キロ圏内の岩内町で行なわれた町長選挙でも
原発容認派の現職候補が当選している。
岩内町の住民
「岩内町は原発がなくなったら大変。
今のところ現実的な話ではない。」
世論調査で大勢を占めるのは脱原発・再稼動反対。
それにもかかわらず地元や周辺の自治体では
脱原発候補が負け続けるという一種のねじれ現象。
東京自治研究センター 伊藤久雄研究員
「もともとは原発以外に産業がないところがほとんど。
ある村は財政の8割ぐらいは原発関連の財源に依存している。
原発がない暮らしはほとんど考えられてこなかった。
いま原発関連の財源がなくなったら財政破綻します。」
浜岡原発の地元の御前崎市の場合
2011年度当初予算の約4割が原発関連の交付金・固定資産税などである。
こうした原発マネーや原発から生まれる雇用なしでは
自治体の運営や地元経済そのものが成り立たない。
ほとんど原発立地の自治体は同様の状況にあり
原発なしで立ち行かない状況が
こうした自治体の首長の選挙で脱原発を掲げる候補の落選を招いているともいえる。
原発に深く依存し
そこから容易に抜け出すことの出来ない地元の自治体。
そうした状況が変わる可能性はあるのか。
伊藤久雄研究員
「ひとつに村とか町だけではどうするのかというのはなかなか難しい。
国がはっきりビジョンを示す。
脱原発・廃炉という方針を明確にする。
原発がなくなった後の街づくりをどうしていくのか。
少なくとも5年なり10年は国はこういう方針でのぞむと明確にすれば
地元でも色々な議論が出来る。」
原発事故で共生非難を余儀なくされ
いまも仮設住宅で暮らす福島県双葉町の人々。
「原発はもういらない。」
「現実派こうなってしまうんだよというのは見て欲しい。」
「対岸の火事ではない。」